ERH|オリジナリティのある料理で、 二つ星を目指す。


フランスで活躍する日本人シェフを紹介する連載企画。第11回目は、「レ・クレアシオン・ド・ナリサワ」でスーシェフを務め、2008年に渡仏、現在レストラン「ERH(エール)」のシェフとして活躍する北村啓太さんをご紹介します。

「フランス料理の世界で一流になりたい」。専門学校で調理を学んでいるときから、強い想いを抱いていたという北村さん。一流になるなら一流のシェフの側で働きたい、と学校卒業後は小田原のラ・ナプールへ入店した。まだ30代前半だった成澤由浩シェフは「当時からすでに世界を目指していた料理人」。大きな影響を受けた。最初の店ではフランス料理のクラシックをしっかり学んだ。「ジビエも全種類触らせてもらったし、白トリュフも使っていて、今から思えば貴重な経験でした」。同シェフの店が東京に移転し、レ・クレアシオン・ド・ナリサワになってからはスーシェフを務め、当時最先端の技術だった分子調理学を取り入れたスペインの料理などにも触れていった。

北村さんのスペシャリテ 
燻製フォアグラ マンゴー

パリへ来たのは2008年のこと。ピエール・ガニエール、シェ・レ・ザンジュを経て、オ・ボン・アクイユでシェフを5年務めた。「日本で培った技術はパリでも十分通用しましたが、フランス人の勢いやパワー、メリハリのある働き方には驚いたし、学ぶところが多くありました」。ビストロ料理を知ることで、ガストロノミックな料理にない煮込みやコンフィなど主に肉料理の技術を取得できたことも大きかったという。

現在の店ERH(エール)がオープンして2年半。昨年度にはミシュラン一つ星を獲得した。「店を続けるうちに、お客様から『料理で世界を旅しているようだ』という感想を頻繁にいただくようになり、そこから最近のテーマ『旅』が生まれました」。フランスのテロワールに、日本的テクニックやアジアのスパイスを巧みに加え、新たな料理を生み出す。「昔は醤油や味噌なんて絶対に使わない!と思っていましたが、今は気持ちがラクになって、自分らしく、いろんな可能性を探れるようになりました」。次の目標はミシュラン
二つ星。北村さんの旅は、これからも続く。(恵)

ERH
Adresse : 11 rue Tiquetonne, 75002 Paris , France
TEL : 01. 4508. 4937
アクセス : M° Étienne Marcel
URL : http://www.restaurant-erh.com
日月休。12h30-14h/19h30-21h

取材・文=吉田 恵理子ワイン&フードライター。コピーライター。
1975年生まれ、フランス・パリ在住。お茶の水女子大学博士前期課程修了、人文学修士(西洋哲学)。都内の広告制作会社を経て、コピーライター、ライターとして独立。フランス国立ランス大学HEG(美食に関する最先端研究機関)に留学。英国ワイン&スピリッツ教育財団(WSET)アドヴァンスト資格所持、英国酒ソムリエ・アソシエーション(SSA)認定酒ソムリエ。著書に『ランチタイムが楽しみなフランス人たち』(産業編集センター)、『ワインを飲めばすべてうまくいく 仕事から恋愛まで起こる10のいいこと』(インプレスICE新書)がある。ワイン専門誌、パリの日本語新聞「オヴニー」に寄稿。Twitter:@erikomri_wine


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