Le George/みんなが喜ぶ料理と環境を作り出す仕事。和田茂行さん


フランスで活躍する日本人シェフを紹介する連載企画。第五回目は、自動車関係のメーカーを退職し、パリで料理人を志し渡仏。現在は、ル・ジョルジュのスーシェフを務める和田茂行さんをご紹介します。

高知県生まれ、東京の大学で電気工学を勉強した後自動車関係のメーカーに勤めていたが、サラリーマン生活に違和感があり数年で退職した。次なるステップに選んだのは、パリで料理人になること。「海外に住んでみたかったのと、学生時代の居酒屋バイトで経験した料理をもっとやってみたくて。せっかくならフランス料理をやろう、とパリに来ました」。

会社員時代の貯金を携え、語学学校へ入学。学校には料理人、パティシエ希望の生徒が多くいたので、友達もすぐにできた。学校の紹介でマリウス・エ・ジャネットでスタージュを始めた。「料理学校で勉強した経験がなかったので、当時のシェフが食材のことも料理のことも、全部親切に教えてくれました」。ここで4年近く働き、料理のベースと料理人としての働き方を学んだ。

魚料理が中心の同店から、肉がメインのビストロ、クロ・デ・グルメへ。その後は、ラ・ターブル・ド・ジョエル・ロブションへ移った。ロブション流の良い素材を使ったシンプルな料理を知り、「飾りの多い高級料理よりも、気軽に食べられて美味しい、みんなが喜んでくれる皿を作っていきたい」と思うようになった。

ホテル・ブリストルの114、トゥーミュー等を経て、現在スーシェフを務めるル・ジョルジュに入店。ホテルのレストランにおけるスーシェフの仕事とは、「まさに中間管理職」だという。「シェフの希望を聞いて店のあり方に反映させる、食材の仕入れを含むコスト管理、スタッフの人事評価やスケジュール管理。店におけるすべての調整役といったところです」。多国籍なスタッフは個性派揃いだが、仲が良いのでチームを保つのにもやりがいを感じるという。

「お客様が満足できる料理を作るのはもちろん、一緒に働いているメンバーが満足できる環境を作るのが今の使命だと思っています」。(恵)

Le George

Adresse : 31 avenue George V 8e, 75008 Paris , France
TEL : 01. 4952. 7209
アクセス : George V
URL : www.fourseasons.com/fr/paris/dining/restaurants/le_george/
無休 12h30-14h / 19h-22h

取材・文=吉田 恵理子ワイン&フードライター。コピーライター。
1975年生まれ、フランス・パリ在住。お茶の水女子大学博士前期課程修了、人文学修士(西洋哲学)。都内の広告制作会社を経て、コピーライター、ライターとして独立。フランス国立ランス大学HEG(美食に関する最先端研究機関)に留学。英国ワイン&スピリッツ教育財団(WSET)アドヴァンスト資格所持、英国酒ソムリエ・アソシエーション(SSA)認定酒ソムリエ。著書に『ランチタイムが楽しみなフランス人たち』(産業編集センター)、『ワインを飲めばすべてうまくいく 仕事から恋愛まで起こる10のいいこと』(インプレスICE新書)がある。ワイン専門誌、パリの日本語新聞「オヴニー」に寄稿。Twitter:@erikomri_wine


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