【東京】牛肉の匠がいるレストラン4選


【東京・渋谷】ビストロ
アデニア入江眞史さん

パスチャーフェッドビーフで味わう厚切り牛肉の醍醐味

パスチャーフェッドサーロイン
「肉の特徴が一番分かりやすいステーキはシンプルに」と、味付けは塩、コショウのみ。付け合せにはマッシュポテトと朝採れたカブのグリル。「牛肉がサッパリしているので、付け合せも選びません」と入江シェフ。西洋ワサビとヨーグルトのレフォールソースで。好みで、赤ワインソースとトリュフのフォン・ド・ヴォーソースの3種類から選べる。

「座って料理が出てくれば、さぁパーティの始まり!」。そんな場になればと、入江眞史シェフは2年半前に店を構えた。テーブルの中心にはガッツリぶ厚い牛肉を、と開業前からオーストラリア牛を使うと決めていた。「ヘルシーなので、女性でもおいしく全部食べられます『。ガッツリ食べる』のが、オージービーフの醍醐味だと思うので」と入江シェフ。なかでもパスチャーフェッドビーフは、栄養価の高い牧草を計画的に育て、牛の成長に合わせて牧草を変えて放牧して育てた牛で、赤身が多く、サッパリとした脂身が特徴だ。通常のグラスフェッドより、肉質のばらつきがなく、入江シェフが注目する肉のひとつである。

パスチャーフェッドビーフ
グレートサザンブランドの「パスチャーフェッド」を使用。冷涼で降雨量が安定しているオーストラリア南部の契約農家が自然育ちにこだわり、抗生物質、成長ホルモン、遺伝子組変えの飼料は一切使用しない牧草で育てる。黒毛和種よりも適度に赤身が多くバランスがいい。

 入江シェフは、「焼いている時の音で、肉が喜んでいるかどうか判断する」と言う。脂はグリルに落とし、焦げた脂で肉を燻し、ジュは閉じ込めていく。感覚を研ぎ澄ましていると、肉の表面が膨らんでくるのが分かる。ジュが詰まっている証拠だ。「ステーキはぶ厚い方がおいしい。焼きの面積の割合が小さいほど中身がジューシーになるから」
 ガッツリ300グラムのサーロインステーキ。ひとりで平らげるも良し、数人でシェアするも良し、肉好き納得の渾身のひと皿だ。

入江シェフの匠の技
旨味を最大限に引き出すソースと火入れ

レフォールソースは、漉したヨーグルトと西洋ワサビを合わせたもの。ヨーグルトの酸味とワサビの辛味が肉の旨味を引き立てる。日本のワサビよりも、脂と合わせても辛味が立つ西洋ワサビを使用することがポイント。
グリルに脂を落とし燻す。1面ずつ4回ひっくり返すのが基本。表面が焼けると、温度の低い位置へ移動させ、肉のジュが膨張し、表面が丸く膨らんできたら、一番いい状態だ。
Masafumi Irie
1970年東京生まれ。23歳で渡仏し、料理の世界へ。帰国後、都内数店で経験を積み、「パークハイアット東京」にて副料理長を勤める。2012年3月「アデニア」を開店。

アデニア
ADENIA
東京都渋谷区鉢山町1-7
03-5489-5151
● 11:30~22:00LO
● 無休
● 32席


民輪萠=取材、文 大野利洋=撮影

本記事は雑誌料理王国第245号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第245号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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