【日本語・英語・フランス語】プロのための図解・部位辞典~牛編~


<日本式>

  1. かた
    うでの部分の総称。よく運動する筋肉が集まっており、筋や筋膜が多い。肉質は硬く、きめは粗い。肉の色はやや濃いめ。煮込み料理やスープ、ブイヨンをとるのに向いている。
  2. 肩ロース
    肩の部分にあるロース部位。肉厚で柔らかく、きめが細かい。脂肪はほどよい霜降り状で筋肉中に分布しており、濃い風味がある。味や香りも優れる。厚切りよりも薄切りが適する。
  3. リブロース
    背ロースの肩寄り、前半分の部分。霜降りになりやすい箇所で、霜降りはきめ細やか。肉質は柔らかで光沢がある。断面積が大きく見栄えがよいので、ロ ーストビーフやステーキに。
  4. サーロイン
    サー(Sir)の称号を冠しているように、リブロースと並ぶ高級肉。背肉の後半部に当たる。適度の脂肪が混じっており、濃い風味があり、肉質はまったりと柔らかい。
  5. ランプ
    腰からももにかけての部位。ほかのももの部位に比べて、肉のきめは細かい。鮮やかな赤身肉の中に適度な脂肪があっさりと入っている。精肉業界では、単にランとも呼ばれる。
  6. そともも
    一番運動する筋肉が集ま っている、もも肉の外側。脂肪はほとんどなく、肉質は総じてきめが粗く硬い。長時間煮込む料理に適している。コンビーフに加工されるのもこの部位。
  7. うちもも
    ももの内側の部分の肉。内側に付着している皮下脂肪を取り除けば、ほとんど脂肪がない赤身肉である。大きな塊の肉なので、ブロックや大きな切り身で扱えるのが特徴。
  8. かたばら
    厚みのある、かたの部分にあるばら肉。肉質はすねやネックに続いて硬い。煮込み用に適する。脂肪と赤身肉が交互に層をなす三枚肉は風味に優れ、業務用スライスに使用される。
  9. すね
    四肢のふくらはぎの部分の肉。運動量の多い部位で、伸筋、屈筋などの発達した筋肉が集まり、肉と筋の割合は半々。エキス分、ゼラチン質に富み、スープをとるのに適する。
  10. ともばら
    肋骨の周辺腹部の肉、“ばら”の中で後方のロインに近い部分のこと。繊維質、筋膜が多く、肉のきめは粗いものの、赤身の中に網目状の脂肪交雑が入り、濃厚な風味をもつ。
  11. ヒレ
    サーロインの内側にある腰椎にそった肉。運動をしない筋肉なので、どの部位よりも柔らかい。脂肪はなく、きめ細かい肉質なので、煮すぎたり焼きすぎたりしないようにする。

<イギリス式>

1.ネック neck
2.チャック・アンド・ブレード chuck and blade
3.ファイア・リブ fire rib
4.サーロイン sirloin
5.ランプ rump
6.トップサイド・アンド・シルバーサイド topside and silverside
7.ティック・フランク thick flank
8.レッグ leg
9.フィレット fillet
10.クロッド clod
11.ティック・リブ thick rib
12.ブリスケット brisket
13.シン shin
14.シン・フランク thin flank

<フランス式>

1.コリエ collier
2.バス・コート basse côte
3.アントルコート entrecôte
4.フォ・フィレ faux-filet
5.ロムステーク romsteck/rumsteck
6.フィレ filet
7.タンド・ド・トランシュ tende-de-tranche
8.ジート・ノワ gîte noix
9.パルロン paleron
10.マクルーズ macreuse
11.プラ・ド・コート・デクーヴェールplat de côtes découvert
12.バヴェット・ド・フランシェbavette de flanchet
13.タンドロン tenderon
14.フランシェ flanchet

【内臓類】

タン
舌。脂肪が多く味は濃厚。煮込むと柔らかくなる。表面の皮は食べられないので、むいて調理する。

レバー
肝臓のこと。最も大きな内臓で、重量は5~6kg。鉄分、ビタミンAに富む。血抜きして使用する。

テール
尾。長さ60~70cm。骨がつながっているので、関節ごとに切って使う。コラーゲンを多く含む。

ハツ
心臓を指す。臭みが少なく、肉厚。筋繊維が細かいので、コリコリした歯応えがある。味は淡泊。

ミノ
牛の4つの胃の第一胃で、黒い表皮を取り除いた白身の部分。独特の歯応えがある。別名・ガツ。

ハチノス
牛の胃の第二胃のこと。内壁のひだが蜂の巣に似ていることからこの呼び名が付いた。食味がよい。

センマイ
鉄分豊富な第三胃。色はグレー、無数の突起があり、千枚のひだがあるように見えることから命名。

ギアラ
第四胃のこと。ほかの胃よりも柔らかい。表面はなめらかで、薄く、大きなひだがある。

小腸
脂肪が厚く、肉質はほかの臓器に比べて硬い。内壁をよく洗ってから使う。別名・ひも。

大腸
シマチョウとも呼ぶ。小腸に比べて、肉厚、太く硬い。かなり硬いので、長時間煮る必要がある。

ハラミ
横隔膜の腹側の部分。柔らかく、適度に脂肪がある。肉の厚いものはスカートステーキと呼ばれる。

サガリ
横隔膜の腰椎に近い部位。適度な脂肪があり柔らかい。ハラミと区別せずハラミということもある。

腎臓
マメともいう。脂肪が少なく、しこしこと歯ざわりがよい。半分に切り、中の白い筋を取り除いて使用する。

カシラニク
ほおとこめかみの部分。ほお肉ともいう。脂のりがよく、歯ごたえがある。主に加工品に使われる。


羽根則子=文

本記事は雑誌料理王国第181号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第181号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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