岐阜県食材商談会が大阪で開催、さらに6名のトップシェフや外食企業オーナーが産地見学にも


2023年6月14日、岐阜県から飛騨牛、鮎、そして野菜の生産者など関係者が大阪に集い、関西のシェフやバイヤーたちを招いて展示商談会が開催。同26、27日には6名のトップシェフや外食企業オーナーたちが産地を訪れ、実際の自然環境や生産の現場を見学し、さらに理解を深める機会となった。

日本列島のほぼ中央に位置する岐阜県は豊かな自然と昔から交通の要衝だったという歴史とが相まって、西と東の交差する独自の食文化を育んできた。3000mを超える北アルプスの山々に囲まれた北部の飛騨高山地方は、冬は一面の銀世界。雪解け水のミネラルを多く含んだ土壌と夏の昼夜の寒暖差で作られる野菜はその品質の高さで知られている。また、赤かぶ漬けのような冬の寒さを乗り越えるための保存食の文化もこの地域ならではだ。

一方で南部の美濃地方は、長良川、木曽川、揖斐川の木曽三川に代表される多くの河川が流れており、鮎をはじめとする独自の川魚食文化が見られるエリアだ。さらにこの豊富な水源を抱える濃尾平野は全国でも有数の米どころとなっている。また、県内には江戸時代から続く老舗の酒蔵も多く残っているなど、こうした山と川の恵みを活かした日本酒の産地としても高く評価されている。

そして南北でこのような特徴を持つ岐阜県の統一銘柄であり、全国の和牛が揃う多くの大会で最優秀枝肉賞などを受賞、(公社)日本食肉格付協会による牛枝肉格付においても全国平均を大きく上回る最高等級(5等級)の発生率を誇るなど、岐阜県を代表する食材として知られているのが飛騨牛だ。23年1月には、その地域ならではの特性を持つ産品を地域の知的財産として保護する地理的表示(GI)保護制度にも登録され、さらなるブランド力の向上と世界中での認知向上が期待されている。

飛騨牛の試食をする料理人たち。奥には郡上鮎のブースも。

今回はそんな岐阜県から大阪・梅田の料理王国直営のキッチンスタジオ、「グルメスタジオFOOVER」に、県内トップクラスの飛騨牛の取扱量を誇る「肉のひぐち(株式会社ネオプライムヒグチ)」、清流・長良川の上流域の水質の良さと急峻な流れで、香り豊かで身の締まりの良い天然の鮎の出荷と鮎の生育環境の保全などに取り組む郡上漁業協同組合、そして飛騨高山の自然環境とこだわりの土づくりでスナップエンドウやパプリカから飛騨一本葱のような伝統野菜まで様々な野菜を作る東農園が集まり、自慢の食材が紹介された。

会場に訪れたのは「有 伽藍堂」大澤広晃氏、「プレスキル」佐々木康二氏、「リストランテキメラ」筒井光彦氏といった関西の各ジャンルのトップシェフたちをはじめ、約30名の料理人やバイヤーたちだ。

また、満田健児氏(懐石料理 桜会)、寺田繁氏(日本料理 寺田)、多々良大展氏(大和串Planning株式会社)、山口幸男氏(トラットリア イル フィオレット)、稲見育大氏(株式会社リ・ライフ)、木村重成氏(中華私房菜ハスノハナ)の6名のシェフや外食企業オーナーたちが6月26日、27日の2日間に渡る産地見学会に参加し、長良川では鮎釣りの様子の見学や鮎の塩焼きの試食をしたほか、日本酒づくりの現場や希少な飛騨地鶏の産地などを巡り、県産食材についての見識を深めた。

このような商談会や産地見学会に参加した店舗を含む関西圏延べ38店舗と、関東圏延べ39店舗のレストランで8月1日から31日の1ヶ月間、各店舗が考案した飛騨牛や県産鮎のオリジナル料理が食べられる「岐阜を味わうメニューフェア2023」が開催(一部開催期間の異なる店舗あり)。岐阜県産食材のさらなる利用拡大とブランド力の向上が、特に関西においては2025年の大阪・関西万博の開催を見すえて、期待されている。

「岐阜を味わうメニューフェア2023」
https://gifu-fair.info/

text:小林乙彦(料理王国編集部)

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