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発酵技術とスパイスを自由に操る奇才のシェフが作るパスタ。「28ポスティ」(ロンバルディア州)


2018年11月にIGC(国際穀物理事会)が公表した2018-2019年の生産データによると、イタリアはヨーロッパにおけるデュラムセモリナの生産、及び輸出量第1位にある。世界のデュラムセモリナ生産量4,2百万トンのうち11%がイタリアで生産され、そしてパスタにおいては過去20年間に世界中のパスタ消費量は63%上昇し、現在は14,8百万トンに及ぶ。イタリアの生産と消費量はともに世界第1位だ。イタリアからは世界約200カ国に向けてパスタが輸出され、その中心はスパゲッティであるが、イタリア国内では地方ごとに異なった形状のパスタが存在し、手打ち麺を含めると、パスタの形状も名前も星の数ほどあると言われている。まさにパスタ国なのである。そんなイタリアの一流シェフたちはパスタをどのように捉えているのか。

28 Posti 28ポスティ(ロンバルディア州)

茹で加減はアルデンテの前のクギ

ミラノは今やグルメの激戦地で、多くの店が競い合う。ナポリ湾に浮かぶプロチダ島出身の若きオーナーシェフ マルコ・アンブロジーノが、名の通り28席の小さな店をミラノ市内のナビリオ運河近くにオープン直後から予約の取れない店となったことは、多くのメディアの注目を浴びた。ちなみにミラノを首都とするロンバルディア州は、米の産地として知られ、パスタやデュラムセモリナは消費都市であって生産地とはされていないが、最もグルメで厳しい強者が集まっている。

Pasta mista/パスタ・ミスタ 様々な形状のパスタの発酵ソース、黒い豆で作った自家製味噌のパウダーがけ (euro 18)

マルコは発酵技術とスパイスを自由に操る奇才のシェフとして知られる。店のスペシャリティも、残ったパスタとパスタの茹で汁を乳酸菌で発酵させたソースを使った独特なパスタ料理である。シェフ マルコにとって、「美味しいパスタ料理には、クオリティの高いパスタが必要。そして次は茹で加減。僕たちはアルデンテの一歩前、さらに硬めの茹で加減をクギと呼んでいる」と言う。個人的には、出身地カンパーニャ州の象徴として知られるスパゲッティが好み。それは幼い頃の思い出につながり、母がミネストローネに長いスパゲッティを折って小さくしてから入れていたことを思い出す。スパゲッティはナポリ地域の代表的な保存食として、どこの家庭にも常備されていたからである。

Spaghettino/スパゲッティーノ (euro 18)

「パスタはイタリア料理と文化の象徴で、継承し、語り継がなければならない」とマルコは語る。1キロの小麦から1キロのパスタが作られ、大変生産性の高い栄養食品なのである。そしてパスタ料理の周りに廃棄食材はないことも大切な要素である。

マルコが休日に好んで食べるパスタはトマトソースだけのスパゲッティか、ナポリ風パスタとジャガイモのオーブン焼き。

Via Corsico 1, 20144 Milano
TEL 02 8392377
https://www.28posti.org/


text 山田美知世
イタリア在住38年。イタリア共和国公認日本人初のオリーブオイル鑑定士。AIPO,Sol d’Oro、NYIOOC、JOOPの審査員。イタリアの出版社より「ARTE DI SUSHI」「RAMEN」「SAKE」など数々の本を出版。

本記事は雑誌料理王国2019年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2019年11月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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