有名レストランのシェフを虜にするパン屋さん「モリノ オーロ グラーノ」


有名レストランのシェフを虜にする「モリノ オーロ グラーノ」のパンはなぜ選ばれるのか

東京都北区の閑静な住宅街に佇む小さなパン屋。
ここから全国の名だたるレストランで使われるパンが生みだされている。同店のパンが名店のシェフたちに愛される理由を探った。

町の小さなパン屋が作る本格的なイタリアパン


 東京・王子の住宅街に静かに佇む「モリノオーログラーノ」。一見するとごく普通のパン屋だが、実は東京のみならず、全国の名だたるレストランにパンを卸している名店である。店頭では日本的な菓子パンも販売しているが、本来の売りはイタリアパン。独自にイタリアから直輸入する最高級の小麦粉を使い、天然酵母から製造工程まで本場と変わらない伝統工法を採用している。その味と風味に惚れ込んだシェフは数知れず、現在では約60のレストランと契約。うち30社には配送でパンを届けるが、オファーに応じて常温と冷凍を使い分けるきめ細やかなサービスを提供している。従業員7名の少人数体制ながら、毎日丸パン3000個、バゲット250本を出荷しているというから驚きだ。

今回、お話を伺った、株式会社モリノ オーロ グラーノの代表・鈴木富雄さん。

レストランや季節ごとに形や味をオーダーメイド


 モリノオーログラーノがシェフに愛される理由は、単に本場の味だからというだけではない。同店ではパンを作る前にシェフと綿密な打ち合わせを行い、味や食感、見た目などをその都度アレンジ。レストランの雰囲気、サービス方法、器などに合わせてオーダーメイドのパンを作り出している。さらにシーズンごとに料理が変われば、再度打ち合わせを行い、その季節の料理にベストマッチングなパンを提案するという。自身の料理にこだわりを持つシェフが同店のパンに惚れ込む理由もわかるというものだ。「モリノオーログラーノ」代表・鈴木富雄さんは、「パンは最初に提供される料理であり、レストランの第一印象を決める名刺のようなもの。料理を引き立て、料理とマリアージュすることが何より大事」と強調する。

酵母、小麦粉、ミキサー……本場に近づけた製造環境


 工場内をのぞくと、そこには同店のこだわりがたっぷりと詰まっていた。パンの命ともいえる天然酵母は、開店当初にイタリアから持ち帰ったもので、10年間大切に育てられている。風味豊かな小麦粉は北イタリアの最高級品をダラジョバーナ社とモリニラリオ社から代理店などを使わず直輸入しており、鈴木さん自ら何度も現地に足を運んで決めたという逸品だ。パン生地をこねるために使われるダブルアームミキサーもイタリア製。熱が加わりにくく、風味を損ねることがないという。発酵には、わずかなドライイーストを長時間かけてゆっくり発酵させたパン生地の素、「ビガ」という種を使うのがイタリア流。ビガは冷暗所で保管しなければならないため、場所も手間もかかるが、最高のパンを作るためには妥協しないのが「モリノオーログラーノ」のやり方だ。従業員も全員がパン作りのプロフェッショナル。とくにイタリアで本場の技を学んだ経験を持つ商品企画開発の責任者・森嶋かな子さんは卓越したパン職人である。

店舗に併設された工場内。ここから、多くの人気レストランやホテルで提供されるパンが生まれる。

 最高の技術者が最高の素材と製法で生み出すイタリアパンは、風味や香り、味わいが豊か。単体でも存在感を示すが、料理と一緒に出されれば引き立て役としての仕事もきっちりこなす名脇役となる。

 この10年でイタリアンはすっかり日本に定着し、本格的な料理を出す店が急増。同時にパンにこだわりを持つシェフも増えていると鈴木さんは言う。閑静な住宅街の小さなパン屋が生み出すパンが、日本のイタリアンを支えている。

発酵にはステンレスではなく木の板を使用。細かいところまで妥協せず、パンに優しい環境を整えている。

私が選んだ理由
「ランベリー」グランシェフ 岸本直人さん

 10年前に知人の紹介でパンを試食した時に、食感が軽く、でも粉の味がしっかり出ていることに感動し、それから「ランベリー」のパンはこちらでお願いしています。定番のカンパーニュのほか、年に数回、「有明海苔」「塩麹」など、こちらが要望するさまざまな食材を使った個性的なパンも作ってもらっています。料理やソースとの相性も考えられているし、何度も試食を重ね、根気強く私たちの要望を叶えてくれるので、この10年信頼し続けられているのです。

モリノ オーロ グラーノ
Molino Olo Grano
東京都北区豊島7-6-18
03-5959-7671
● 9:00~18:00
● 無休(休む場合は事前に広報) www.molino.jp


山田井ユウキ=取材、文、撮影

本記事は雑誌料理王国第268号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第268号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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