料理と濃厚にとろけ合う理想の食中酒 vol.3 ふふ 京都


2023年10月、飲食店ルートのみ数量限定で初出荷された松竹梅白壁蔵『然土(ねんど)』。宝酒造株式会社の松竹梅が一貫してめざしてきた「食中酒として飲みごたえがあり、飲み飽きしないおいしさ」というコンセプトを最も高い次元で体現した日本酒だ。2024年3月に2度目の出荷を迎えるにあたり、3店舗から飲料メニューについてやペアリングの考え方、『然土』の位置づけなどをインタビュー。最終回となるvol.3では京都のスモールラグジュアリーホテル「ふふ 京都」を訪ねた。

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松竹梅がこれまで培ってきた技術を用い、料理と濃厚にとろけ合う、味わいに厚みのある食中酒を目指した松竹梅白壁蔵『然土(ねんど)』。

原料米を供給する専業農家と契約するところから始まったという酒造りは、兵庫県西脇市の篤農家とパートナーシップを組んで土づくりや日照条件といったデータを日々蓄積。中でも稲作時に発生し、CO2の25倍もの温室効果に影響を及ぼすメタンガスの排出量を、稲の中干し期間を延長するなどして2023年の米作りにおいては最大約70%削減に成功。そのほか、「有機農業が最良の稲作方法であるか」を検証しながら有機資材を活用し、減農薬に取り組むなど環境負荷に配慮したサスティナブルで質の高い山田錦を栽培している。

これら丹精込めた酒米は兵庫・灘の白壁蔵にて手間と時間をかけた伝統的な生酛造りで醸し、米の魅力を感じる厚い旨味、複雑で奥深い香りと味わいを持つ食中酒に。酒造りの全工程を261まで細分化し、そのひとつひとつを深掘りして完成したという松竹梅の金字塔たる一本だ。

また大手酒造メーカーがサスティナブルな酒づくりという社会課題に真正面から取り組むことで、日本酒業界が抱える課題を業界内に共有・可視化し、新しい日本酒の未来を拓くことを示唆している。

名店に聞く『然土』の魅力とは?
Vol.3 ふふ 京都「京野菜と炭火料理 庵都」

今回、訪ねたのは風雅な日本庭園を眺めるメインダイニング「京野菜と炭火料理 庵都(いほと)」。提供するのは“京野菜と炭火料理”をコンセプトにした日本料理だ。

長年、京料理を学んできた料理長・中村健治氏による料理は、多国籍かつ幅広い年齢層のゲストが楽しめる“喰い味”(薄すぎないちょうどよい味付け)が信条。京野菜を含む四季折々の素材を盛り込むことはもちろん、野菜や発酵食品で作るソースやタレを随所に忍ばせ、“味変”を意識してお酒が進む味わいに。客席に炭床を用意し、ゲスト自身がお好みで食材を炙って食べるといった参加型のプレゼンテーションも評判だ。

宿泊者限定のディナータイムでは、食事に合わせてワインと日本酒を織り交ぜたアルコールペアリングのコースがあり、人気だという。シニアソムリエの資格を持ち、「ふふ 京都」のドリンクをセレクトする太田和宏氏にペアリングのポイントや『然土』について聞いた。

『然土』を初めて口にした時の印象は「純粋に旨い、の一言。インパクトがありました」と話す太田氏。グループ統括ソムリエ・三浦春悦氏から「とんでもなく素晴らしい酒」と事前に聞いていた通りだったという。

太田氏はイタリア料理店での調理師を経て、サービスに転身。神戸市内のホテルで10年、「ル フェドラ」(神戸市)、「レストラン パトゥ」(当時神戸市、現東京都)、「ル・コントワール・ド・ブノワ」(大阪市・現在閉店)といったフレンチレストランで計13年勤め、ウェスティンホテル大阪、ワインバーなどを経て2019年カトープレジャーグループに入社。21年12月より現職。

「精米歩合は非公開のようですが、磨きすぎていない日本酒特有の米の甘味、ふくよかさがあり、骨格もある。私は常々、日本酒は骨格や米の風味がないと料理に負けすぎてしまうと考えているため、然土はまさしくフードフレンドリーな食中酒だと感じました。その一方で、ワインでいえばロマネコンティやボルドーの五大シャトーのように完成度が高く、五味のバランスが調和されていて、味が“まあるい”印象を受けました。一般的にお酒に何か足りない要素がある場合は、酒肴で補いたくなるものですが、そんなことをせずとも楽しむことができる、つまり酒肴が無いバーなどでも楽しめるお酒だと感じました」

【前菜】京の恵
日本料理を提供する「ふふ」の中でも京都だけの一品で、旬の京野菜と山海の恵みを取り合わせた創作性の高い前菜。出汁で炊いた海老芋、丹波しめじ、わらびの下には山葵味噌を、京都牛のローストビーフと金柑の蜜煮、バターで炒めた京都産アスパラガスの下には出汁と鶏のブイヨンでのばした完熟万願寺唐辛子のペーストを合わせて。柴漬けパウダーの酸味が味を引き締める。どの素材、味付けにも『然土』が寄り添う。

現在、日本酒のグランドメニューは京都という地域性を表現できる地元の酒蔵、そして食中酒という観点に加え、「香りよりも味がしっかりと感じられ、精米歩合は60%前後のコシがあるタイプ」という太田氏の好みや、ワインとの差別化から「原料である米らしさ」を感じる10〜15銘柄を用意しているという。そうした中、入荷数が限られる希少な『然土』は、売り方を悩んだという太田氏。心から日本酒が好きなゲストに提供する“スペシャルな裏メニュー”の位置付けにしたという。

提供する客層は、例えばペアリングに含まれるシャンパーニュやワインを全て日本酒に変更することを望んだ日本酒好きのゲストや会話の中から、米を磨きすぎる日本酒よりも米の旨味、甘味を好むゲスト、純米酒好きの好みをすでに把握している常連のVIPなど。いずれも飲み慣れた男性客が多く、「美味しいね」「おまかせして良かった」などといった非常にいい反応が返ってくるという。

料理とペアリングについては「ワインと日本酒ではやや考え方が異なる」と話す太田氏。

ワインではハーブやスパイスなどひと皿の中で突出した香りを見出し、そこにドリンクを合わせていく感覚に対し、日本酒の場合は料理の味付けと酒の余韻の相性を考慮。ストレートにコクのある料理にはコクのある酒、さっぱりした料理にはさっぱりした酒を合わせることが多く、考え方はシンプルだという。

『然土』はペアリングコースで提供する場合、「2杯目または3杯目に提供したい」と話す。

まず泡で前菜を楽しんでもらい、出汁を味わう椀を経て3品目に提供されるコースの見せ場、造りの「鮮と炭遊び」にて『然土』を提供する。この料理は造りと創作性の高い野菜串の炭火焼き2皿が出る構成だが、『然土』は香りが強すぎず、米の甘味が余韻に残る特徴から炭火焼きの香ばしい香りを引き上げ、一方でバランスのとれた味わいが造りにも寄り添い、両者にピタッとハマるという。

また、口含んだ際に粘性を感じ、香りや味わいに膨らみがありながら、すっきりと喉を伝う飲み心地から、油脂のある食材とも“とろけ合う”感覚が好相性。

【造里】鮮と炭遊び
出汁で炊いた京都産タケノコにウニ、木の芽を合わせた串といった2種の串とサワラをゲストがお好みで炙る“炭遊び”、マグロ中トロとタイの造り“鮮”の2皿構成で提供される名物。中トロやウニの濃厚な味わいと『然土』の厚い旨味がリンクし、口の中でとろけ合う。
【炭】黒毛和牛の炭火焼き
この日は口溶けがよくあっさりとした油脂が特徴の京都牛のサーロインを使用。炭焼きした牛肉を保温や香りの演出として炭床に乗せて提供。塩、山葵、カブの漬物をすりつぶしたソースと共に。肉の油脂にも負けない「然土」の旨味を感じるファーストアタック、そして喉を通った時のすっきり感が油脂を洗う感覚。

最後に日本酒業界における『然土』の存在について問うと「『然土』の誕生によって私も含め、多くの人の業界に対する意識が変化した、革命的かつ革新的なお酒ではないでしょうか。今までの日本酒とは違う、貴重な存在です」と話す。

現在、農業的にも醸造的にも挑戦を続け、毎年更新を続けるとしている『然土』。

「ワインの世界では同じ銘柄のヴィンテージによる味の違いは当たり前でも日本酒にはこうした考えがあまりありません。そのため、今後の取組も、その素晴らしさを伝えるのが我々の仕事だと思っています」と言葉に力を込める。

ふふ 京都
京都府京都市左京区南禅寺草川町41
https://www.fufukyoto.jp/

松竹梅白壁蔵 然土
https://www.takarashuzo.co.jp/products/seishu/nend/

公式インスタグラム
https://www.instagram.com/n.end_nihonshu/

お酒は20歳を過ぎてから。ストップ飲酒運転。妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の
発育に悪影響を与えるおそれがあります。お酒は楽しく適量を。のんだあとはリサイクル。

text:佐藤良子 photo:村川荘兵衛 sponsored:宝酒造株式会社

(2024年2月時点の情報です)

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