イタリア料理の花形であるパスタ。スパゲッティをはじめペンネやリングイネなど、その種類は豊富で、製造するメーカーも多数存在する。各メーカーが厳選した原料を用いて丁寧に製造されているが、個性は様々。今回は編集部が推すシェフたちが、どんなパスタメーカーを推しているのか徹底取材。パスタメーカーの特徴とシェフたちのパスタにかける想いを紹介する。
茹でている時も茹で上がった後も非の打ち所がないコンディション
横浜の山下公園のほど近くにあるリストランテ「SALONE2007」の料理長で、バリラが主催する「第8回パスタ・ワールド・チャンピオンシップ2019」の日本代表としても選ばれている弓削啓太シェフ。同コンテストではもちろん、店舗で使うスパゲッティもバリラ社の製品だ。「『バリラのパスタは目が細かい』と聞いたことがあります。茹でている時に溶け出す粉が非常に少なく、茹で上げた後もベッタリとせずにコシもしっかりある。ソースと合わせて煮込んでも、もたつくことがありません。他社製品のパスタとの大きな違いですね」と話すように、弓削シェフが手がけるパスタメニューは目安の茹で時間より少し早めに湯あげし、火にかけたソースの中に入れて仕上げることも多いそうだ。一昨年の「パスタ・ワールド・チャンピオンシップ2017」で、ファイナリストの一人に選ばれた際に作ったのは「スパゲッティ・アル・ポモドーロ」。ロングパスタのスタンダードで、店舗で提供するパスタメニューにも使用しているスパゲッティNo.5を用いて、トマトの甘味、酸味をソースではなくスパゲッティのみで表現。シンプルなパスタだからこそ、麺そのものの持ち味が左右する。「パスタに味がちゃんと入っていること、食べている間もずっと風味が楽しめること。味の決め手のひとつは、やっぱりバリラのパスタですよ」と絶対の信頼を置く。
Barilla(バリラ)
1877年にピエトロ・バリラ氏によって創業された、イタリア最大級の食品メーカー。良質なデュラム小麦を開発し、世界各国の契約農家から小麦を仕入れる。 120種類以上のパスタ製品を製造・販売し、一般家庭だけでなく世界中のレストラン&シェフたちなど、好みが多様化する顧客のニーズをひしと掴む。
問い合わせ先/バリラジャパン
TEL 03-3230-8301
http://barilla.co.jp/
今回の撮影では、日本のマーケットを対象に開発された新商品1.6mmのスパゲッティNo.4を使用。甘味、酸味、うま味のバランスがいい完熟トマト約4kgを使った、 2リットルのトマト水で茹でるスパゲッティは、見た目からは想像がつかないほどトマトの風味と絶妙な酸味がダイレクトに染み入り、香り立つ。食べ進めるごとにトマトのみずみずしさまでもが口中に広がっていくから驚きだ。「イタリア料理を作る上で大切にしているのは、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味それぞれの角をあえてしっかりと立てること。完成品としては五味がバシッと調和しているような料理を作っていきたい。バリラのパスタは、ソースや素材の風味をより引き立ててくれると同時に、日本人好みのプリッとした食感も持ち合わせています」。スパゲッティそのものに核となる味が入りやすいため、食べている間はもちろん、喉を通り抜けるその瞬間までおいしさが続く。「パリで行なわれるパスタ・ワールド・チャンピオンシップ2019の決勝戦では、自身の出身である佐賀県、修業先のフランス、そしてイタリア料理の魅力をバリラの製品を使ってしっかり表現したいと思っています。参加するからには優勝を!」。日本を代表する料理人として、今まで培ってきた技量とセンス、ユーモラスなアイデアを惜しみなく注いだ渾身の一皿は世界へ。バリラ社のスパゲッティは、いつだって想像の斜め上をいく弓削シェフのパスタメニューになくてはならない特別な存在だ。
SALONE2007
神奈川県横浜市中区山下町36-1
バーニーズ ニューヨーク横浜店B1F
TEL045-651-0113
12:00 ~ 13:00LO、
18:00 ~ 20:00LO
無休
http://www.salone2007.com/
text 新居鮎美 photo きくちよしみ
記事は雑誌料理王国2019年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2019年11月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。