多くの料理人が海を渡り、本場で洗礼を受けるなか、イタリア料理のDNA は日本人の中でじっくりと確実に育まれてきた。
本場の味にふれて多くを学んだシェフたちの次なる目標は、進化――。
豊かな感性と考え抜いた流儀で新たなおいしさを追求し続ける。
日本のだし文化を活かした新スタイル
風味豊かなスープとパスタとのペアリング。複雑で繊細なうま味が響き合う。
「アルテレーゴ」平山秀仁
ホワイトアスパラガスとウニトマトとオリーブのスープ
「ホワイトアスパラガスとウニ トマトとオリーブのスープ」。炭火で焼いたホワイトアスパラガスの穂先とウニをのせたパスタ、スープが一緒にサーブされる。「まずアスパラの穂先の食感と香りを楽しみ、そのあとスープで味の変化を楽しみつつ、パスタを召し上がってください」と平山シェフ。
パスタだけでも十分においしく完成度も高いが、スープを挟むとさらに満足度が増す。
材料 (1人前)
キタッラ(乾麺)……60g
ホワイトアスパラガス(L)……2本
海水ウニ……40g
コショウ……少々
E.X.オリーブ油……30~50ml
ホワイトアスパラガスのだし……100ml
トマトとオリーブのスープ……30ml
塩、パルミジャーノチーズ……適量
●ホワイトアスパラガスのだし(1人前)
ホワイトアスパラガスの皮……2本分
生ハムの切れ端……10g
水……400~500ml
●トマトとオリーブのスープ(作りやすい分量)
トマト……1kg
種なしグリーンオリーブ……80g
水……1.5~2L
作り方
●ホワイトアスパラガスのだしを作る。
- ホワイトアスパラガスの皮、生ハムの切れ端、水を鍋に入れて強火にかける。
- 沸騰したらアクを取り、弱火で2時間火にかけてシノワで漉す。
●トマトとオリーブのスープを作る。
- トマトを1cm幅にスライスにして、クッキングシートを敷いた天板にのせて、180℃のオーブンで30~40分ローストする。
- 鍋に1とスライスしたオリーブを入れて香りを立たせる程度に炒め、水を入れて強火にかける。
- 沸いてきたらアクを取り、弱火にして3時間煮てシノワで漉す。
●ホワイトアスパラガスとウニ トマトとオリーブのスープを仕上げる。
- 皮をむいたホワイトアスパラガスの穂先部分は別にとっておく。軸はキタッラと同じ太さに切り、炭火で焼く。
- 塩分1%の熱湯でキタッラを5分ゆでる。
- 2と1の炭火で焼いた軸をホワイトアスパラガスのだしに入れて5分加熱。途中で水分が足りなくなったら、だしまたは水で調整する。
- 仕上げにE.V.オリーブ油を入れて、塩で調整し、皿に盛り付ける。
- 4の上にウニをのせて、コショウをかけて完成。
- 穂先は炭火焼きにして別皿に盛り付け、塩、コショウ、パルミジャーノチーズをふる。パスタ、トマトとオリーブのスープとともに提供する。
漁師と猟師 ジャガイモのスープ
「漁師と猟師 ジャガイモのスープ」に使ったのも乾麺のキタッラ。エビと鶏肉の風味が融合したパスタは絶品。ローストしたジャガイモの香ばしさとハーブのきいたスープがよりふくよかな味わいに。
材料 (1人前)
キタッラ……80g
ウチワエビ(殻付き)……300g
白ワイン……80ml
トマトピューレ……60g
水……500ml
カッチャトーラオイル……15ml
オリーブ油、E.V.オリーブ油……適量
ジャガイモのスープ……30ml
●カッチャトーラオイル(作りやすい分量)
鶏皮……2㎏
赤パプリカ……5個
タマネギ……1個
ニンジン……1本
トマトピューレ……700g
水……2L
赤ワイン……250ml
オリーブ油……100ml
●ジャガイモのスープ(作りやすい分量)
ジャガイモ(インカのめざめ)……1.5㎏
水……4~4.5L
ニンニク……1片
ローズマリー……2本
作り方
● カッチャトーラオイルを作る。
- 熱した鍋にオリーブ油を入れ、スライスした赤パプリカ、タマネギ、ニンジンを加え、弱火で水分を飛ばすように30分ほど炒める。
- 鶏皮を加え、色がつかないように30分ほど炒め、赤ワインを入れてアルコールを飛ばす。
- 2に水、トマトピューレを入れて丸1日煮込む。
- ほとんど水分がなくなったら漉して冷やす。しっかりと冷え固まったら上澄みの脂のみ取り除く。
● ジャガイモのスープを作る。
- ジャガイモを皮付きのまま3mm幅にカットし、クッキングシートを敷いた天板にのせて160℃のオーブンで1.5時間ほど乾燥焼きにする。
- 鍋に焼いたジャガイモ、水を入れて中火で3時間ほど煮込む。仕上げにニンニク、ローズマリーを入れて漉す。
● 漁師と猟師 ジャガイモのスープを仕上げる。
- ウチワエビの身は湯通しをして殻をむく。頭は半割りにして味噌を取り除いておく。
- 熱した鍋にオリーブ油を入れて頭と殻を炒める。白ワインを入れてアルコールを飛ばしたらトマトピューレを加える。水を加えつつ、2時間ほどアクを取りながら煮たら、漉す。
- 塩分1%の熱湯でキタッラを5分ゆでる。
- 3を2の中で5分調理する。途中で水分が足りなくなったら、だしまたは水で調整する。
- ウチワエビの身はバーナーで炙って、ひと口大にカットしておく。
- 4にE.V.オリーブ油を入れて、塩で調整し、皿に盛り付ける。エビをのせて、最後にカッチャトーラオイルをかける。ジャガイモのスープとともに提供する。