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【レシピ付】「リゴレッティーノ」今村裕一さんが選んだ『尾崎牛』


旨みの爆発力、持続性が圧倒的に違う

リゴレッティーノ 今村裕一さん

グリル板で表面を焼いたら150℃のオーブンで加熱

いくら探しても、納得できる牛肉が見つからない。いっそ牛肉料理などやめてしまおう、と店のメニューから消してしまうほど深刻に悩んだ。「それが故郷・宮崎で見つかるんですから、灯台下暗しですよね」と、「リゴレッティーノ」のオーナーシェフ、今村裕一さんは相好をくずす。

旨い牛肉遍歴を繰り返したあと、今村さんが惚れ込んだのは、宮崎市郊外にある尾崎牧場の牛肉だった。尾崎牛と呼ばれるその肉は、牧場主である尾崎宗春さんが、父親の代から35年間かけて作り上げた自慢の牛である。

その魅力は、赤身の奥深い味わいと脂身のほどよい甘みだ。

「その旨みが、他の牛肉とは比べものにならないくらい素晴らしいんです。とくにメスの肉は、味に加え、しっとり感が違う。料理人の自分が言うのもおかしいですけれど、料理する人間を選ばない、絶対的な旨みがある牛肉なんです。噛めば噛むほど旨味が増すので、お客様には『噛みしめてみてください』とおすすめしています」

しかも、どんなに多くのスパイスを使っても、肉の旨味がスパイスに負けない。旨味がずっと持続する。脂身がくどくないのも、現代人の食の志向にマッチしている。

「小腸やトリッパといった内臓になると、他の牛肉との差はさらに大きくなります。やはり、肥育環境がいいからなんでしょうね。旨さが格段に違います」

惚れ込んだ尾崎牛は、野性的に焼くのがいちばん、と今村さんは言う。まずは肉の上下をグリルする。焼き色がついたら、オーブンに入れて15〜20分加熱する。

「高い温度で加熱すると、肉のタンパク質が固まって、肉が硬くなります。ですから本当は、オーブンの温度もあまり高くはしたくないんです。でも、お店ではそれほど時間がかけられないので設定温度は難しいのですが、僕の感覚では、90℃くらいのオーブンに入れるのが理想ですね」

また、タンやテール、ハチノスなどは、煮込みにすると旨味がさらに増す。

「尾崎牛は、やわらかくなるまでに時間がかかります。でも、手間暇はかかるけれど旨さは抜群。調理しがいがありますね」

4年ほど前に尾崎牛と出会って、牛肉のレパートリーがにわかに増えた。牛肉の旨味が料理人の感性を刺激し、いくつものアイデアを授けてくれるのである。

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