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ロバートキャンベルさんに聞いた外国からの友人を誘いたくなるレストラン5店


自分の領域を深堀りし俯瞰できるテーマをもつこと

──1985年に来日されて、福岡・博多が最初の赴任地だったんですね。

 九州大学文学部の研究生として日本に来ました。博多で10年務めて、東京大学に赴任しました。

──現在の肩書きは?

「東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻比較文学比較文化コース教授」。漢字が多いですね(笑)。

──超域文化科学って何?

 地域のボーダーも、学問のジャンルも、場合によっては時代も越えて、横断的に研究する。だから、目の前にフランス文学をやっている人がいれば、隣には中国の古代思想を研究している人もいる。つまり、それぞれ使っている言語が違う。毎日、他流試合をしなければならないんです。

──他流試合をするには何が必要?

 まず自分の領域を深堀りしていることです。それが浮ついてグラグラしていては、ダメ。軸足がしっかりあって、その上で「向こうの森」を見たいという気持ちが大切です。われわれは研究者ですから、理論とか、共通のテーマとか、俯瞰できるテーマで自分の中に理論を作れるか、ということが重要だと思います。

──軸足をしっかりして、好奇心をもつのは、レストラン経営でも大事ですよね。他流試合も盛んだし、国籍のボーダーもなくなっています。

 素材を深く知っているか、ということも似ています。素材を極め、理解、認識し、それを一つひとつ、言葉にしてきちんと人に伝えることができるかどうか。学者も同じです。

──物ごとの本質を見極められるか、ということですよね。キャンベルさんが話してくださったことを、ひとつのキーワードに落とすと?

「オンリーワン」ということです。そして、レストランの経営者であり、シェフが考え抜いているかどうか。技や良い食材を使っているのはもちろんですが、どこかで頭脳をきちんと使っている。私たち客の要求とか欲、つまり、ここを触ればすごく気持ちが良い、というツボを、見透かしている人が作っている店なんです。

──確かに「オンリーワン」ですね。

 だれもが気楽に「感覚で」と言いますが、私が挙げたお店は、最後まで思考を手放していないんだと思います。流されることなく、思考を研ぎ澄ましていく。あるところで、均衡を見て、足し算をせず、バランスをずっと保ちながら、ゆるやかに時代のなかで変えていく。そんななかでちょっと挑んでみるのも大切ですよね。「挑むこと」は、私たちを引っ張っていってくれる力です。それは、万人向けではないかもしれませんが、そんなお店に、外国からの友人を連れて行きたくなります。

──たいへん面白かったです。ありがとうございました。

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