パリの下町ラ・マレ地区のような場所を求め、たどり着いた人形町


パリの下町ラ・マレ地区のような場所を求め、島田哲也シェフが辿り着いたのは人形町。
ランチからカフェ、ディナーまで、今や人形町に欠かせないコミュニティ的存在となったビストロのBGMは客の賑わい。それがなんとも心地よい。

「恵比寿イレール」ほか名店を多数手掛けた島田哲也シェフ。3年前に通りの向かいに日本酒バー「トワビス」をオープン。人形町の名酒屋「佐々木酒店」とイベントなども開催し、今や地元に欠かせない存在。

恵比寿に構えた自身のレストランで15年以上作り続けてきた先鋭的な料理ではなく、もっと気軽に楽しめる料理を、親しみやすい環境で提供したい。食べる人の近くで素直な料理を作りたい。

業界のトップをひた走ってきた島田哲也シェフが人生の舵を切ったのは、2013年のことだ。目指すは、気軽だが味はどこにも負けないビストロ。そして、街に住む人に愛される店。なんとなく訪れた人形町の雰囲気にピンときた。
「空が広くて、暮らしの賑わいが感じられて、老舗も多い歴史のある街。通りの雰囲気の良さは店へのアプローチとしても楽しめる」。

かくして誕生した新生「イレール」は、レストランでもシグネチャーだった得意の野菜料理はもちろん、ビストロに欠かせないカスレやパテ・ド・カンパーニュなどの定番メニュー、あるいは旬の魚介をつまみ風にアレンジした気軽な一皿など盛りだくさん。食後のコーヒーにもこだわり、パンも自家製だ。
「自分ができることは何でもやってみたい。コーヒーも淹れ方から習ったり、新しい学びが楽しい。以前より自由に、料理そのものを楽しんでいる自分がいる」。
店内は若手アーティストのギャラリーも兼ね、様々な人が訪れる開かれた空間として育ち続ける。

「ウサギもも肉のコンフィ オニオングラタンソース」(2,400円)。低温調理でしっとり仕上げたウサギに、うま味の詰まった玉ねぎのソース、トリュフが香る根セロリソース添え。
断面の美しさに歓声が上がる「彩り野菜のテリーヌ」(1,680円)は、誰もがオーダーする人気の皿。旬の野菜6 ~ 10種がぎっしり、シークワーサーやにんじんのソースがアクセント。
本日のメニューより「いかとセロリの和え物」(1,200円)。新鮮なイカのワタにブランデーやシェリービネガー、ごま油などを加え、コクと酸味がワインを呼ぶオリジナルなソースに。

イレール人形町

東京都中央区日本橋人形町2-22-2
TEL 03-3662-0775
11:30 ~ 14:00
17:30 ~ 22:00LO
10:30 ~ 16:30(カフェ)
日・第三月休


text 馬田草織 photo 八田政玄

本記事は雑誌料理王国2020年2月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年2月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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