名物を守り続ける、男気ビストロ。迫力漲るバヴェットステーキが待っている


名物は、切り口から肉汁が潤沢に迸るバヴェットステーキ。レバームースはゲンコツ大に盛り付けられ、フォアグラは100gをまるっと使う。芯の太さと繊細さを兼ね備えた男気料理に圧倒されること間違いなし。

肉の加熱には、炭火やオーブンではなく、波型に鋳造されたグリルプレートを愛用する小濵純一シェフ。

「もしも肉屋がビストロを経営したら…」。そんな思いで小濵純一シェフは自らの城を構えた。ビストロの顔ともいえるバヴェットステーキに使うのは、アメリカやカナダ産の横隔膜肉。いわゆるハラミだが、中でも脂が少なく赤身の肉々しさを愉しめる“サガリ”の部分のみを選り分けてステーキに使うのが、小濱シェフの信条だ。
加熱に使うのは炭火でもオーブンでもなく鋳鉄のグリルプレート。10分焼いて10分休ませ、仕上げに少々再加熱…。肉を労るようにして焼く。グリルプレートも凹凸のある波型を使う。平面のフライパンだと、肉の表面がすべて鉄板に接するため、肉が火傷をした状態になり仕上がりが固くなってしまうからだ。「波型のグリルプレートは、凹凸の“凹”の部分で反射熱が発生し、肉の中面に火が通るのでおいしく仕上がるんです」と小濵シェフ。緻密な気配りによって仕上がった「ハラミのステーキ」は、切れば薄紅色で美しく、噛めば肉汁がみずみずしい。

蓄熱性の高い鋳鉄製グリル板で20分かけて火を通した「ハラミのステーキ」(2,900円)。にんにくを利かせたエシャロットとバターのソースが香味となり赤身肉はさらに昇華する。
「白レバーのムース」(1,000円)はこぶし大の重厚感。コニャックの絡んだ厚い香りが口中に広がり、舌触りは滑らか。カシスで仕立てたソースの酸味で輪郭を帯びた味わいに。

国産鴨のフォアグラを100g使う「フォアグラのポワレ」(1,800円)。ポルト酒とコニャックをフォンに加えたソースペリグーの甘味とトリュフ香を味わいの軸にする仕立てだ。

今回ご紹介する料理は、創業当時からシェフが提供し続けてきた思い入れの強い料理ばかり。いずれも重厚感溢れる盛りの良さで、本場のビストロ感をボリュームという意味でも愉しめる。

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text 中村麻矢 photo 八田政玄

本記事は雑誌料理王国2020年2月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年2月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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