名物は、切り口から肉汁が潤沢に迸るバヴェットステーキ。レバームースはゲンコツ大に盛り付けられ、フォアグラは100gをまるっと使う。芯の太さと繊細さを兼ね備えた男気料理に圧倒されること間違いなし。
「もしも肉屋がビストロを経営したら…」。そんな思いで小濵純一シェフは自らの城を構えた。ビストロの顔ともいえるバヴェットステーキに使うのは、アメリカやカナダ産の横隔膜肉。いわゆるハラミだが、中でも脂が少なく赤身の肉々しさを愉しめる“サガリ”の部分のみを選り分けてステーキに使うのが、小濱シェフの信条だ。
加熱に使うのは炭火でもオーブンでもなく鋳鉄のグリルプレート。10分焼いて10分休ませ、仕上げに少々再加熱…。肉を労るようにして焼く。グリルプレートも凹凸のある波型を使う。平面のフライパンだと、肉の表面がすべて鉄板に接するため、肉が火傷をした状態になり仕上がりが固くなってしまうからだ。「波型のグリルプレートは、凹凸の“凹”の部分で反射熱が発生し、肉の中面に火が通るのでおいしく仕上がるんです」と小濵シェフ。緻密な気配りによって仕上がった「ハラミのステーキ」は、切れば薄紅色で美しく、噛めば肉汁がみずみずしい。
今回ご紹介する料理は、創業当時からシェフが提供し続けてきた思い入れの強い料理ばかり。いずれも重厚感溢れる盛りの良さで、本場のビストロ感をボリュームという意味でも愉しめる。
cul de sac(キュル ド サック)
東京都中央区日本橋本石町4-4-16
TEL 03-6214-3630
月~金 11:30 ~ 14:00 、17:30 ~ 23:30
土 17:00 ~ 22:30
日祝休(土 不定休)
text 中村麻矢 photo 八田政玄
本記事は雑誌料理王国2020年2月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年2月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。