巨匠マルケージのDNAを受け継ぐ者②「勇気を持って形を変える」〜ダヴィデ・オルダーニ〜


Davide Oldani(ダヴィデ・オルダーニ)
勇気を持って形を変える

Profile
1967年生まれ。クラッコと同期でマルケージの元で修業。2003年「リストランテ・ドー」をオープンし、ミシュランの星を獲得。ハーバード大学特別講師も務めた。

Ristorante D’O 
(リストランテ・ドー)
Piazza della Chiesa, 14, 20010 San Pietroall’Olmo, Cornaredo (Milano)
+39 02 9362209
https://www.cucinapop.do
営業時間:火~土 12:30 ~ 14:30
19:45 ~ 21:30
休:日·月

第二の父から学んだものは、パスタに眠る無限の可能性。伝統を重んじつつ、といって既成概念にとらわれ過ぎないで自分の感性を信じること。

マルケージは日本との関わりも強かった。マルケージは常に日本を見ていたと、弟子であるダヴィデ・オルダーニやエンリコ・クリッパが証言する。神戸牛や柚子、山葵など日本特有の食材から包丁の使い方と研ぎ方、魚のおろし方や揚げ物、日本独特の直火焼きや燻製、会席料理の盛りつけや器、旅館のおもてなしに至るまで熟知し、多くの日本文化の要素を取り入れていたことが知られている。
イタリア料理はマルケージ前と後では全く異なる。シェフを目指すものたちすべてに、イタリア料理を文化遺産として継承する責任があることを訴え続けた。「オープンラヴィオロ」を始めとする有名レシピを公開し、広くヌオーヴァ・クチーナ・イタリアーナつまり新イタリア料理が浸透することを促進した。
愛弟子たちをさまざまな国へ送り、名店で修業させ、視野を広げて国際感覚や芸術と文化の知識を身につけさせた。広く深い心で弟子たちを愛し、育成したのである。
マルケージは「若い頃はスポンジのように何でも吸収できる。そしていつか吸収したものを出せる時が来る」と言った。「料理の基礎は技術力。シェフはいかに素材を生かすかを考え、正しく調理しなければならない」と教えた。弟子たちはこの精神を受け継いでいる。

ムール貝とアサリ、エビのスパゲッティ・カルトッチョ
魚介のソースを添えて

80年代に一世を風靡したカルトッチョを銀箔で表現。マルケージの金箔のリゾットへのオマージュ。オルダーニのスペシャリテだ。アサリ、ムール貝を蒸し焼きにし、殻から身をはずしておく。エビをローストしておく。ゆでたスパゲッティにE.V.オリーブ油をからめ皿の縁にのせる。先の魚介類の身を皿の中央に盛る。魚介類のソースを乳化させて熱々の状態で盛る。 スパゲッティに銀箔をのせる。

text 山田美知世(Michiyo Yamada)
ミラノ在住38年。ファッションや料理に関する情報を発信し続ける。 マルケージとの交流も深い。

本記事は雑誌料理王国2020年8・9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年8・9月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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