京・要町で劇場型レストランとして名を馳せた「81(エイティーワン)」が、現在の西麻布に移転後、同じ場所にオープンさせたのがその名も「0831(オヤサイ)」というレストラン。そこでシェフを務めるのが、「81」の永島健志シェフの右腕として活躍した青柳陽子さんだ。「元々、農業者と一緒にやる『ファーマーズレストラン』というコンセプトを考えていました。お店ではOme Farmから仕入れた野菜を使っているのですが、2019年秋にオープンして3ヶ月間は、農家さん自らお店に立ってもらい、料理を出していただいていました。2020年の3月からバトンタッチして、現在は私が週に一度農場に通いながら料理をつくっています」と青柳さんは話す。
約1年前から農場へ通う青柳さんは、店では季節ごとにテーマを設定し、野菜をふんだんに使った9品を、ひとつのストーリーにのせてコースに仕立てる。今回紹介する一汁一菜も、実際にディナーコースの中で1品目と2品目に提供されているものだ。「プラントベースには、食べ物を無駄にすることなく丸ごと食べるという考え方があるので、野菜の全部を食べてもらえるメニューということで、この2品を紹介しました」と青柳さんは説明する。野菜を丸ごと使うといっても、ポタージュのように刻んで混ぜるのではなく、「出汁を取る」のが青柳さん流だ。「ひと手間かけてこのスープをつくっておけば、かつお出汁を使うようにさまざまな料理に代用できます」と青柳さん。
一菜の、素揚げした茄子でつくるエスカベッシュには、仕上げにナスタチウムの葉が薬味のように飾られている。「ナスタチウムは茄子のコンパニオンプランツで、一緒に植えることで互いに病害虫を予防する作用があり、成長を助けるんですよ」と青柳さんは話す。農園で実際に見てきた風景が現れる青柳さんの皿は、想像力を働かせながら食べるという楽しさを教えてくれる。「お店では肉も魚もお出ししていますが、0831の料理をきっかけに、食べるもの自体に興味をもってもらえたら」
応用力抜群 野菜のうま味に驚く
調理時に出た端野菜(皮や根など2 ~ 3種類をブレンド)
今回使用したもの
トマトのヘタ、湯剥きした皮など(4個分)
玉ねぎの皮(1玉分)
小松菜の芯(4束分)
モロヘイヤの茎(4束分)
水……400ml
塩……適量
※保存する場合は氷水で急冷し、冷蔵で3日間、冷凍で1週間の日持ち