一般社団法人 料理レシピ本大賞実行委員会
委員長 加藤 勤
書店のブックスタマなど複数の会社を経営。レシピ本の賞の中で最も権威があり全国の書店で展開されている、料理レシピ本大賞の実行委員長を務める。昨年料理部門の大賞を取った「リュウジ式 悪魔のレシピ」は20万部のベストセラーとなる。
2020年の料理レシピ本大賞の料理部門大賞を受賞した作品、平たく言えば2020年に書店員から最も支持されたレシピ本です。作者はYouTuberのリュウジさん。YouTuberというと軽いイメージがあるかも知れませんが、リュウジさんのレシピは簡単ながらも、よく考えられています。いろいろな分野で、YouTubeを最初のステップにして才能を開花させる人が登場していますが、料理の世界も例外ではないでしょう。
なぜこの本が大賞を取ったのか?それはこの本の冒頭に書かれている通り、世の中には「料理が好きな人」よりも「好きじゃないけど何らかの理由があって料理をする人」の方が圧倒的に多くて、そういう人たちのために書いたという点が、この本がこれだけ評価を得た理由だと思います。
ためしに「茄子のオリーブオイル南蛮漬け」を作ってみましたが、調味料を本に書かれている通りに計量して入れると、料理初心者の私でもちゃんと美味しく仕上がりました。どの料理も2ステップか3ステップで出来上がるように、工夫がされています。
上等な調味料を使えば、料理の味もおいしく仕上がりますが、この本は調味料には手を抜いていません。よく使う調味料として15種ほど紹介されていますが、それをそろえることが料理を好きじゃない人でも、失敗しないで料理できる秘訣なのだと思います。
また、低糖質のレシピが充実しているのも、ダイエットには低糖質の食事、というのがほぼ常識となっている今の時代にはうれしいポイントです
変わり種で、ネットでも話題になっていたのは「奇跡のじゃがアリゴ」。カルビーの「じゃがりこ」とさけるチーズでアリゴ風のジャガイモ料理が出来上がってしまうという、ねるねるねるねのようなレシピです。最初は本当にこんなのでできるの?と半信半疑でしたが、根気よく混ぜると、ちゃんと出来上がりました。最初に考えた人エライ、と思いました。