ボルドーで立ち寄りたい!シャトーオーナーたちが愛するフレンチ伝統の味


絶妙の焼き加減でローストされた牛肉や鴨肉、厚切りのフォワグラを豪快に盛った料理が、ドンとテーブルの上に置かれ、それを目の前にしたゲストは、思わず生唾を飲む。「レストラン ル リオンドール」の魅力をひと言で表現するなら、こんな場面がふさわしいでしょう。飾り気はないけれど、伝統的なフランス料理が文句なく「旨い!」食堂。この店のファンには、有名なワイナリーのオーナーがとても多いのです。彼らは接待の際には高級感のある洒落たレストランを選びますが、家族や友人との食事には、「味重視」でこの食堂を選びます。地元の隠れ家的な存在の店といえるでしょう。

バルビエさんは、ボルドー名物として愛されるカヌレを毎朝焼き、その味は、「ボルドーで一番おいしい」とまで言われている。


人気の理由はコストパフォーマンスのよさ。そして、オーナーシェフであるジャン・ポール・バルビエさんの作る料理が、骨格のしっかりとしたボルドーの赤ワインと、よく合うことです。バルビエさんは、1981年に大叔母からこの店を受け継いだそうです。お気に入りのワインを持ち込むことができるのもワイン好きに好評。店内には鍵のかかる棚があって、そこに「シャトー・マルゴー」や「シャトー・ラトゥール」のオーナーのように貴重なヴィンテージワインを保管している常連客もいると聞いています。

ローストした鳩とフォワグラにアルマニャックソースをかけた昔ながらの料理。シンプルな料理だけに、焼きのテクニックが料理の出来を左右する。ジューシーに仕上げた鳩、そして表面はカリッと、中はとろけるようなフォワグラの焼き加減は完璧。

ボルドー北部のポイヤック、通称「シャトー通り」に面した「レストラン ル リオンドール」。オープンは1856年。約160年もの歴史を刻む店の店内は気取りがなく、「食堂」の呼び名がしっくりくる。

最近、フランスでは、繊細な料理が注目される一方で、伝統料理の復活も目立ちますが、この食堂のように流行に左右されることなく、長年、ひとつのスタイルを貫いてきた店は貴重な存在。そんな一途さも、ワイン造りにひたむきなオーナーたちに親しまれる理由かもしれません。

豚肉のローストの下拵えをするバルビエシェフ。豚肉はブドウの木の枝で焼く。

レストラン ル リオンドール
Restaurant le Lion d’Or

11 route de Pauillac
33460 Arcins
☎+33 5 56 58 96 79
● 12:00~13:45
19:00~21:30
●日休
●アラカルト 40~50€

増井千尋=取材 ソフィー・ブリソー=撮影

本記事は雑誌料理王国233号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は233号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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