「点心」とひと口にいっても、多種多様。村上さんがイタリア料理に活かせると思える3種の点心の技を、「なかの中華!Sai」宮田俊介さんから教わった。
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いよいよレクチャー開始。まずは村山さんが一番知りたかった、発酵させるパオズの生地の作り方から。「ポイントは『老麺』という酵母作りです」と宮田さん。点心独特の酵母である「老麺」は、天然酵母をもとに培養するのが伝統的だが、宮田さんはイーストを使って元種を作り、その一部を取って小麦と水を加え、また新たな種を作り、それを数回繰り返す。そうすることでイースト臭さのない「老麺」ができるという。「老麺」を使った生地作りでは、コシを出すために適量のかん水を加える。表面を炸裂させる仕上がりにするには、適量のアンモニアパウダーとベーキングパウダーで生地の膨らみを補う。
「自家製のパン作りに悩んでいた」という村山さんは、「老麺」に興味深々。練り上がった生地に触れて、その仕上がりを確かめる。
村山さんが知りたかったもうひとつの技は、具材(餡)とそれを包む生地、どちらも最高の仕上がりにするコツだ。宮田さんは、具の水分が出過ぎないよう工夫を凝らす。
叉焼包の餡は、つなぎに片栗粉やコンスターチを使い、しっかり加熱してから冷やし固める。固めることで包みやすくなり、蒸しても余計な水分が出ないのだ。
海老餃子は、エビの食感を出すために、あえてエビの身の仕上がりがまばらになるように手でつぶす。そこに具材と調味料を加えた後、ラードをネギ・ショウガ・タマネギで香りづけした葱油を加える。ラードは冷えると凝固するので、味わいの付加だけでなく、生地を固める要素として使い、餡は包む直前まで冷蔵庫に入れておく。
小籠包は、多めのゼラチンを入れた固めのにこごりを餡に加える。包んだ時にスープが生地にしみこまず、蒸しあげた時に中からスープが溢れ出る仕上がりにするためだ。
点心の調理のポイントは、「計量」だと、宮田さんは言う。「一つひとつの点心の重量の誤差は1グラムまでが鉄則」。計量が嫌いな人は、点心に向いていないそうだ。レシピには、「銭」という中国古来の単位も登場する。村山さんはレシピをメモ。
「すぐ老麺作りに挑戦します」と前向き。果たして、点心の技は、イタリア料理とどう融合するのか。