World News NY:ド派手な演出に圧倒!話題のイタリアンアメリカン


昨今ニューヨークで新しくオープンする飲食店といえば、クリーンでモダンなデザインを打ち出した店が多い。引き算の美しさとクールさがもてはやされる潮流のなか、あえて真逆の選択肢を取った店がある。それが、そのド派手な内装でもって鮮烈なデビューを飾った「バッド・ローマン」だ。

デコラティブで鮮烈な印象を与える内装

無機質な商業施設タイムワーナーセンターの中にありながら、ドア開くとそこは別世界。鮮やかな赤を基調にしたシートに始まり、天井や壁、照明もデコラティブで、フロアの至るところに脈絡なく動物の彫刻が鎮座しており、静謐とは無縁だ。そんな奇抜なマキシマリストの世界観はともすれば俗っぽくなりがちだが、満席の客で埋め尽くされるとフロアの活気がこの派手な空間にぴたりとはまる。

動物の彫刻が配された店内

しかも、遊びに満ちているのは見た目だけではない。ここの料理は、あえてオーセンティックなイタリアンではなく、自由な発想を詰め込んだ“イタリアンアメリカン”がテーマなのだ。前菜にしても、巷ではピザの具としてお馴染みのカリカリに焼かれてそり返った“ペパロニ・カップ”を、そのままランチドレッシングのディップと提供したり、ユダヤ系発祥の甘いパン、バブカにガーリックを練り込んでみたり、ニューヨークに馴染みのある品のアレンジが楽しい。

料理の一例

実はこの店、人気レストランをいくつも生み出してきた「クオリティ・グループ」によるプロジェクト。しかも、自家製パスタでミシュラン一つ星を獲得している「ドン・アンジー」のシェフが手掛けているとあって、ここでもパスタはスター的存在だ。「ケールのマッファルディーニ」や、味噌が隠し味になった「ロックシュリンプのガルガネッリ」のほか、ラビオリを冠したステーキもある。ラビオリにナイフを入れるカチョペペソースが肉にからまる仕掛けで、パスタとメインが味を高め合うマリアージュの妙に脱帽だ。

英語では「表紙だけで本の中身を判断するな」という言い回しがあるが、まさに外見だけで判断することなかれ。ジョークに満ちた見た目の裏には確かな実力が発揮されており、また来たいと思わせる魅力があった。

ラビオリを冠したステーキ

Bad Roman
10 Columbus Circle, Third Floor New York, NY
https://www.badromannyc.com/
Instagram @badromannyc

text:小松 優美 photo:Christian Harder / Bad Roman

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