「白(つくも)」が追求する“未完の美” 古都・奈良に息づく日本料理の真髄


レクサスオーナーのための特別な食体験「LEXUS DINING JOURNEY」に、料理王国とのコラボレーションで奈良の「白 Tsukumo」が加わった。
日本人はもちろんのこと、近年では外国の旅行客からも注目度が高く、日本の食文化のルーツともいえる奈良で日本料理店「白」を営んでいるのが料理人・西原理人氏。決して完成することのない「未完の美」を追求し続け、古の都・奈良の伝統と歴史に敬意を払って生まれるその一皿には、未来へと続く静かな情熱が息づいていた。

日本建国の地・奈良で紡ぐ、日本料理の源流

「初心に立ち返る覚悟を込めて、店名を『白』と決めました。読み方を「つくも」とすることによって100から1を引いた99という数、つまり『未完』という意味も込めています」

そう語るのは、奈良・紀寺町の日本料理店「白(つくも)」店主・西原理人氏。店内にはカウンター6席とテーブル2卓、1部屋の個室のみ。和紙と土でできた壁の素朴な質感と、無垢材の家具が織りなす静かな調和に、心があたたまっていくのを感じられる。過度な装飾はなく、光と影、温度と香りがゆっくりと流れる、上質な空間だ。

幼い頃から料理人への夢を抱いていた西原氏は、高校卒業後に京都の名店「嵐山 吉兆」へ。懐石料理の持つ美しさや真髄、思想に日々心を奪われ、10年の修行の後は長野で蕎麦懐石への造詣も深めた。その後、京生麩の老舗「麩嘉」の主人に見いだされニューヨークで精進料理店の立ち上げを任される。自身で料理長も務めた。

「嵐山 吉兆で懐石料理に魅せられ、もっと深く学びたいと思いました。そのとき、懐石料理の奥には茶懐石があると教わったんです。
ニューヨークでは精進料理の店で料理長を務めましたが、その精進料理こそが、茶懐石のルーツにあたると知りました。
懐石料理を掘り下げると茶懐石料理があり、さらにその奥には精進料理がある。日本が歴史とともに紡いできた食文化はこんなにも奥深いのだと、海の向こうにいながらも実感できたのです」

精進料理は、単なる菜食・和食ではなく、禅の修業であり、食材への感謝の表れ。そしてその精神的ルーツは、かつて日本の都が最初に置かれ、仏教とともに文化が花開いた奈良にこそ深く根ざしている。
「白」で表現される料理には肉や魚が用いられるが、その根底には精進の精神が宿っている。積み重ねられてきた悠久の歴史への敬意が流れているのだ。

たとえば、自身が敬愛する歌人「在原業平(ありわらのなりひら)」の和歌にインスパイアを受けた料理がある。2025年は歌人「在原業平(ありわらのなりひら)」の生誕1200年の節目の年にあたることから、西原さんは古の歌人に思いを寄せた一皿を毎月提供している。

「大和茄子のしのぶの乱れ椀」は「春日野の 若紫のすり衣 しのぶの乱れ かぎり知られず」という一首から表現されたひと椀。ナスの皮の色素を引き出したスープで、乱れ模様の紫色の「しのぶ染の衣」を情感豊かに表現した。また、夏と冬の2種類のトリュフを用いて、歌の背景にある「ひとめぼれした姉妹」を演出。和歌の解釈を遊び心たっぷりに感じることができる。

「中秋の名月 采女祭」は、秋の食材がふんだんに盛り込まれた、見た目にも賑やかな料理。奈良の伝統行事「采女祭」で催される「管弦船の儀」に見立てている。
鮮やかな藍色の器に浮かぶのは、満月。世界中の誰もが共有する夜の情景を、奈良の秋を彩るワンシーンに投影した。

花鳥風月を愛で、あらゆるものに感謝をする。
せわしない現代で誰もが忘れかけていた「やまとごころ」を思い出させてくれるに違いない。

夢と理想を追求した先にたどり着いた、「原点」としての奈良

8歳で料理人になることを心に決め、着実に夢と理想を追い求めてきた西原氏。今では自分で陶芸を嗜んだり畑での農作業に勤しんだりしながら、極めて自然体で、自分の料理と向き合っている。

また、奈良で行われる神事や年中行事にも積極的に参加しているという。先人たちが歩んできた歴史を自分自身に落とし込み、それを料理にアウトプットしているそうだ。実際に、店を訪れる地元の常連客の中には、西原氏の料理と解説を通して新たに奈良の歴史を知ることもあるという。
「こうして奈良の歴史に触れる機会をいただけることは、本当にありがたいことです。しかしそれに自惚れることなく、今はただ、料理人として自分がここにいる意味を考え、自分ができることを精一杯やっていくだけです」

また、奈良で行われる神事や年中行事にも積極的に参加しているという。先人たちが歩んできた歴史を自分自身に落とし込み、それを料理にアウトプットしているそうだ。実際に、店を訪れる地元の常連客の中には、西原氏の料理と解説を通して新たに奈良の歴史を知ることもあるという。
「こうして奈良の歴史に触れる機会をいただけることは、本当にありがたいことです。しかしそれに自惚れることなく、今はただ、料理人として自分がここにいる意味を考え、自分ができることを精一杯やっていくだけです」

憧れを叶えた場所で、歴史と日々を積み重ねていく。
変わり続ける時代のなかで変わらないものを愛でながら、西原氏は今日も一皿に思いを刻む。

白 Tsukumo
奈良県奈良市紀寺町968
0742-22-9707

LEXUS ELECTRIFIED PROGRAM
https://lexus.jp/models/bev/lep/

LEXUS BEV(電気自動車)オーナー様専用サービス。様々な共創パートナーと共に、LEXUSならではのサービスや体験を提供し、オーナー様がBEVとともに過ごす時間を新しく、そして豊かにしていくものです。
その一環としてLEXUS DINING JOURNEYでは、サステナブルな活動を行う全国選りすぐりのレストランに特別なお席をご用意してお待ちしております。

LEXUS DINING JOURNEY
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text: Sayaka Mitsuda, photo: Tetsuo Ogino

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