「多賀城 Outdoor Dining」で出合った古代米と宮城県産ワイン

「多賀城 Outdoor Dining」で出合った古代米と宮城県産ワイン

料理王国100選プロデューサーの中村が、食材探しの現場からレポートする「料理王国100選日記」。第一回目は、11月27日に行われた多賀城創建1300年記念事業のイベント「多賀城 Outdoor Dining」で出合った古代米と、宮城県産のワインについて。

料理王国100選は、本誌で取材してきた食材やシェフたちが自信を持って推薦してくれた食材、熱意ある生産者やメーカーからの公募品など、これまでに累計1,000商品以上を審査してきた品評会です。品評員には、百貨店や専門店などの名だたるバイヤーたちに加え、料理王国でも何度も掲載してきたトップシェフたちが名を連ねているのが特長です。エントリー商品のレベルも年々高まり、品評員からも「店で使いたい」「取引して仕入れたい」という声がますます挙がっています。つまり、料理王国100選で高く評価されるということは、単に彼らの評価を聞くことが出来るというだけでなく、トップシェフたちのレストランのメニューに並ぶチャンスを得る、ということです!

2023年度は、品評会、ウェブでの入賞商品の速報が終わり、1月6日発売の23年2月号での優秀賞の発表を残すばかり。現在は2024年度に向けた準備とエントリー食材探しに奔走しています。
そんな中で、宮城県多賀城市の古代米の話を聞き、「宮城県多賀城市創建1300年記念 多賀城Outdoor Dining」(企画運営:TSP太陽株式会社)というイベントに視察と試食を兼ねて行ってきました。

「多賀城 Outdoor Dining」で出合った古代米と宮城県産ワイン

特別史跡に指定されている多賀城跡からは、当時を物語る様々な品が出土しており、その1つに「黒舂米(こくしょうまい)」と書かれた木簡があり、この地域で古くから米作りが行われていたことがうかがえます。こうした歴史を背景に、現在では稲の原種に近い、「古代米」と呼ばれる米を多賀城市の特産品として認定し、栽培を奨励しています。また、この「古代米」を使った様々なグルメ商品を、多賀城の「しろ」と古代米の「むらさき」がかった色にちなんで「しろのむらさき」としてブランド化しています。

「多賀城 Outdoor Dining」で出合った古代米と宮城県産ワイン
多賀城しろのむらさき

今回は、2022年11月27日(日)に行われた「多賀城Outdoor Dining」に参加して、「古代米」を試食してきました。このイベントは、国の特別史跡「多賀城跡」の特設スペースに、宮城県内のフランス料理店のシェフ達やワイナリーの協力のもとに1日限りのプレミアムレストランをオープンし、古代米の新たな魅力を表現した「多賀城オジャ(Olla)スタイル」を盛り込んだコースメニューと、宮城県産ワインのマリアージュを楽しんでもらおう、というものです。
西暦724年に創建し、古代東北の政治・文化の中心として繁栄した多賀城。現在、多賀城市では令和6(2024)年の多賀城創建1300年に向けて、様々な記念事業が実施されています。この「多賀城Outdoor Dinning」もその一環として行われましたが、特別史跡であるこの場所での宴席は、古代の官人たちによる宴席以来、約1300年ぶりという特別なイベントでした。

「多賀城 Outdoor Dining」で出合った古代米と宮城県産ワイン
会場は城前官衙(かんが)地区にある屋外のあずまや。この時期のアウトドアダイニングならではの冷涼で澄んだ空気の中、厳粛な雰囲気で幕を開けました。(私は夜に参加しました)

一日限りのシェフコラボと特別な食材による宴席

「古代米」と宮城県産の食材をテーマに、故きを温ね新しきを知る、万葉の世界とのフュージョンを表現したのは、仙台市青葉区のフレンチレストランnacrée(ナクレ)の緒方稔シェフと、地元、多賀城市の人気ビストロBeau Bourg(ボーヴル)の高橋秀一シェフ。

Nacrée 緒方稔シェフ
Nacrée 緒方稔シェフ
Beau Bourg 高橋秀一シェフ
Beau Bourg 高橋秀一シェフ

メインシェフを務めた緒方シェフはイタリア・フランスの星付きレストランで研鑽を積んだのち、2011年に帰国しNacréeを開業。「ミシュランガイド宮城 2017 特別版」にて、1つ星を獲得しました。
高橋秀一シェフは多賀城市の野菜や塩釜の魚介など、自ら目利きした食材で気兼ねないフレンチを地産地消型で提供。「多賀城オジャスタイル」のアンバサダーを務めます。

コースのメニューは、三陸産牡蠣と味醂のヴィネグレット、勘八とドライフラワーのタルタル、カラフル古代米と三陸海苔のクロケット、宮城産ホタテとスパイスソース、松島トマトとブッラータ、フレーグラのアンチョビ風味、カマンベールタルト、多賀城古代米オジャスタイル 蟹おじや、仙台牛藁つつこ エピスソース、宮城産のキノコと宮城県産鹿のコンソメ
コースのメニューは、三陸産牡蠣と味醂のヴィネグレット、勘八とドライフラワーのタルタル、カラフル古代米と三陸海苔のクロケット、宮城産ホタテとスパイスソース、松島トマトとブッラータ、フレーグラのアンチョビ風味、カマンベールタルト、多賀城古代米オジャスタイル 蟹おじや、仙台牛藁つつこ エピスソース、宮城産のキノコと宮城県産鹿のコンソメ
多賀城古代米オジャスタイル 蟹おじや

「多賀城オジャスタイル」とは、米を煮込んだスペイン料理の”olla”にちなんだ、いわば洋風の「おじや」で、今回は蟹などの出汁で煮込んだ「古代米」をエピスソースでまとめ、上に蟹肉をのせて仕上げられていました。

デザートはササニシキ リ・オレ、フロマージュブランのアイス、マロン羊羹、冷たいカプチーノ、宮城産フルーツ(イチゴ)
デザートはササニシキ リ・オレ、フロマージュブランのアイス、マロン羊羹、冷たいカプチーノ、宮城産フルーツ(イチゴ)

料理に合わせたワインも、宮城県の2つのワイナリーから2種類ずつが提供されました。
秋保ワイナリーからは、洋梨やハーブの香りと適度な酸味、ほのかな苦みで飲み飽きしない「シャルドネ」と、11月25日に発売されたばかりの、果実味豊かで味わい深い「ヤマソーヴィニヨン」。
了美ヴィンヤード&ワイナリーからは、同じシャルドネながら樽由来のバニラの香りが特徴の「ゼフィールシャルドネ」、そしてメルロー43%、マスカットベリーA35%、ピノ・ノワール19%、ガメイ3%というユニークなセパージュで複雑なアロマとしっかりとした厚みを備えた「ラセリー了 レ カトル セパージュ ルージュ」。

秋保ワイナリー代表の毛利さん
秋保ワイナリー代表の毛利さん
秋保ワイナリー「シャルドネ」
秋保ワイナリー「シャルドネ」
了美ヴィンヤード&ワイナリーの早坂さん
了美ヴィンヤード&ワイナリーの早坂さん
了美ヴィンヤード&ワイナリーのゼフィールシャルドネ
了美ヴィンヤード&ワイナリーのゼフィールシャルドネ

多賀城市では今後も2024年の多賀城創建1300年に向けた記念イベントが企画されており、2023年1月27日からは「多賀城オジャスタイル」フェアが多賀城市内の飲食店で開かれ、各店独自の「多賀城オジャスタイル」の料理が提供されるとのことです。

多賀城創建1300年記念事業および多賀城産古代米、しろのむらさきについてのお問い合わせ
多賀城創建1300年記念事業実行委員会事務局
多賀城市企画経営部市民文化創造課
TEL:022-368-1141
https://tagajo1300.com

多賀城Outdoor Dining、多賀城オジャスタイルについてのお問い合わせ
TSP太陽株式会社
TEL:022-721-7091


そして料理王国100選では、この多賀城市の「古代米」のような特産品や「しろのむらさき」のような地域ブランドを集めています。地域の食材を、トップシェフやバイヤーたちに試食、品評してもらうことで地域の活性化につなげたいような自治体様、ぜひ下記からお問い合わせください。

「料理王国 100選」事務局
https://cuisine-kingdom.com/100item
Tel:03-6861-6101 / Fax:03-6861-6102
担当:中村和久
nakamura@cuisine-kingdom.com

text:中村和久(料理王国100選プロデューサー)

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