日本海と山々に囲まれ、海・里・山の幸が多彩に揃う福井県の食材を生かした「美食福井レストランフェア2025〜首都圏・軽井沢〜」が、11月より開催される。参加料理人たちはひと足早く現地を訪れ、生産の現場から福井の滋味を体感した。
「食の國」福井では、24品目の代表的な県産食材を「美食福井」食材として発信している。今回、首都圏から訪れた料理人たちは、魚介・肉・野菜・ソバと幅広い生産の現場を巡った。早朝の敦賀・相木魚問屋では、競りを終えたばかりの魚が次々と並び、活気溢れる港町の空気を体感。敦賀湾では、若狭ふぐや敦賀真鯛などの養殖現場を訪ね、低水温の海でゆっくりと育つ魚の力強さに触れた。さらに、若狭牛を丁寧に捌くホクチクでは肉の艶と精肉技術に目を奪われ、石臼挽きでそば粉をつくるカガセイフンでは、在来種の香りの高さに驚くなど、土地の風土を五感で感じる旅となった。
11月1日から30日まで開催される「美食福井レストランフェア2025〜首都圏・軽井沢〜」では、今回の旅に参加した4店舗を含む首都圏・軽井沢の各店で、「美食福井」食材を使った特別メニューが提供される。料理人たちが福井で感じた風土の記憶は、どのように皿の上で昇華されていくだろうか。ぜひ味わっていただきたい。

最初に訪れたのは、「越前かにの名付け親」として知られる敦賀市の相木魚問屋。敦賀水産卸売市場の目の前にあり、競りを終えたばかりの魚が次々と運び込まれていく。冬場は蟹一色となり、茹でたての湯気と香りが立ちのぼる光景が名物。料理人たちは真剣な眼差しで魚を見つめながら、その新鮮さと活気に心を奪われていた。




福井県敦賀市蓬莱町16-11
TEL 0770-22-0645

敦賀湾で船に乗り、身質の良さに定評のある「若狭ふぐ」「敦賀真鯛」「若狭まはた」の養殖現場を見学。「低水温期が長く、時間をかけて育てることで天然魚に匹敵する味わいになる」と中村英樹さん(福井県海水養魚協会会長)。


福井県敦賀市沓12-10
TEL 0770-26-1152

生鮮から乾物、加工品まで県内のあらゆる食材を扱う「生商」の野村眞美江さんと野田宙代さん。旬の食材を日々迅速に届け、料理人や小売店から使い方や必要量の相談もよく受ける頼れる存在だ。
福井県福井市大和田1-101
TEL 0776-53-2761

あわら市富津地区はさつまいも“とみつ金時”の産地。「フィールドワークス」では、収穫したさつまいもを一定の温度・湿度で保存するキュアリング貯蔵を行っている。「独自の貯蔵技術で糖化が進み、甘みが増す上に長期間保存もできます」と代表の吉村智和さん。試食では濃密かつ上品な甘みに料理人たちも顔をほころばせた。




福井県あわら市北潟271-60-1
TEL 0776-79-1011

福井市で若狭牛を中心に、食肉加工を行うホクチク。牛脂中のオレイン酸含有量が55%以上のものを「三ツ星若狭牛」として選別し、一頭一頭丁寧に処理。枝肉が並ぶ冷凍室の迫力に、息をのむ料理人たち。温度管理と職人の技術が支える品質の高さに感銘を受けていた。


福井県福井市問屋町1-15
TEL 0776-21-3360

そば処・福井で代々石臼挽きで製粉を行うカガセイフンは創業140年。「福井のそばは、雑駁だけど複雑な旨みが特徴」と語る代表の加賀健太郎さん。加賀さん自ら手打ちしたそばを試食し、力強い香りと舌触りに、風土がそのまま息づいていることを実感した。



福井県福井市高木中央1-3004
TEL 0776-54-0578
訪問した料理人(冒頭写真右より)
梢 ひろしさん(高輪台「鮨 梢」料理長)
大和田良彦さん(銀座「福和」料理長)
前場 剛さん(銀座「方舟」大吟醸いろり店総料理長)
池田 博さん(銀座「方舟」大吟醸しずく店副総料理長)
食材に関するお問い合わせ先
福井県農林水産部 流通販売課
TEL 0776-20-0421
ryutsu@pref.fukui.lg.jp
text: Ai Ishihara photo: Yuko Sakai
