世界中のシェフが信頼する調味料ブランド「マイユ」。その新たな魅力を引き出したひと皿を競う、プロの料理人対象の「マイユ料理コンクール」。2019年まで8年連続で開催されてきたが、昨年は中止に。続くコロナ禍に置かれた今年は、 例年と趣向を変え「マイユプロフェッショナルクッキングコンテスト」として実施。テーマや最終選考など、これまでにないスタイルでの審査が行なわれた。
和食の基本5法に基づき、生食を除く4法で牛肉のさまざまな部位を仕立てた。メインのサーロイン味噌柚庵焼きは、2種の醤油と味噌にディジョンマスタードをプラス。味噌のマイルドな風味に重ねたマスタードのやわらかな甘味と香りが食欲を誘う。炊きたてに種入りマスタードを豪快に混ぜた牛すじのおこわは、どこか酢飯のような風味をまとい、食べ進むごとに弾けるマスタード粒のフレッシュな香りが牛すじのうま味を引き立てる。
使用商品:白ワインビネガー、バルサミコビネガー、種入りマスタード、ディジョンマスタード
バルサミコのうま味を主役にしたカレー。クミンやガラムマサラなどで仕立てたココナッツスパイスカレーに、とろとろに煮詰めたバルサミコをチャツネ代わりに加えフレンチカレーへと昇華させた。具材の牛バラ薄切りはカレーに添えるピクルス液を再利用して一晩マリネ。白ワインビネガーを効果的に用いてやわらかく仕上げた。種入りマスタードとハニーマスタードを加えた焦がしバターソースを塗ったチーズナンは、カレーとも合うが単品としても秀逸。
使用商品:白ワインビネガー、バルサミコビネガー、種入りマスタード、ハニーマスタード
冷めてもおいしいピッツァを考案。トッピングの牛肉はハニーマスタードを軸にヨーグルトやハチミツを加えてマリネ。牛特有の匂いを消しやわらかく仕上げた。生地はヨーグルトやハチミツと相性の良いナンを採用、種入りマスタードを練り込む。バルサミコとマスタードで和えたキノコのマリネが料理全体に一体感を与える。
使用商品:バルサミコビネガー、種入りマスタード、ハニーマスタード
ドーブ・ド・ブッフは本来老牛を調理する赤ワイン煮込みだが、サステナブルの観点から需要の少ない部位をミンチにして有効活用。赤ワインビネガーで仕立てたガストリックを隠し味に、煮込みソースには種入りマスタードを加えるなど、マイユの特性を生かし、フレンチのメインディッシュにふさわしいコクと風味を添えた。
使用商品:赤ワインビネガー、白ワインビネガー、種入りマスタード、ディジョンマスタード
ワインに合う寿司。豪州牛肉の特長をマイユのバラエティ豊かなビネガーやマスタードで巧みに引き出した。ベースになるシャリは赤白それぞれのワインを加えて炊き、各々に赤白のワインビネガーをすし酢として使用。バルサミコを加えて時雨煮した牛肉は乾燥させてふりかけ状に。噛むほどにうま味あふれる仕上がりとなった。
使用商品:赤ワインビネガー、白ワインビネガー、バルサミコビネガー、シェリー酒ビネガー、ラズベリー果汁入りワインビネガー、種入りマスタード、ディジョンマスタード、ハニーマスタード
多彩な味が一度に楽しめるテイクアウトならではの構成に。時間が経ってもモチモチの氷見うどんにはクリーミーなビシソワーズと赤ワインビネガーで仕立てたウフ・アン・ムーレットを添えフレンチ風仕立てに。俵形おにぎりにはシェリー酒ビネガーを染み込ませた黒とろろ昆布をのせるなど、富山名物も随所に盛り込んだ。
使用商品:赤ワインビネガー、白ワインビネガー、バルサミコビネガー、シェリー酒ビネガー、ラズベリー果汁入りワインビネガー、種入りマスタード、ディジョンマスタード
高級ワインの産地としても名高いブルゴーニュ地方ディジョンで1747年に誕生した「マイユ」は、フランスで最も歴史あるブランド。そのマイユのビネガーまたはマスタード1種以上と「豪州牛肉を使ったテイクアウトメニュー「が今年のコンテストのテーマ。全国から48件の応募があり、「テロワール・カワバタ」の川端清生オーナーシェフや、「アサヒナガストロノーム」朝比奈悟オーナーシェフなどのもとで厳正な一次審査が行われ、6名が最終審査へ進出した。
11月10日に「東京ガス業務用テストキッチン厨BO!YOKOHAMA」で行なわれた最終審査では、調理工程やメニューに込めた思いなど応募者自らが撮影したアピール動画を視聴。その後、応募者考案のレシピを代理の料理人たち(横浜ガストロノミ協議会協力)が仕上げ、テーマであるテイクアウトの観点からできたてではなく30分置かれて冷めた状態での試食という新たなスタイルで審査が行なわれた。
審査員は、「ロイヤルパークホテル」総料理長の松山昌樹氏や主催のエスビー食品株式会社の取締役ら6名。松山さんは「テイクアウトの料理とレストランの料理は同じようで違う。コロナ禍でデリバリーのニーズが増えましたが、その経験値が現れた完成度の高い料理ばかりでした。冷めた状態でもマイユの良さをしっかり感じられました」と称賛。調理を担当した横浜ガストロノミ協議会理事長で「シェ・フルール横濱」の飯笹光男オーナーシェフも「私たちはレシピ通りの再現に徹したからこそ、どれも研究を重ねたレシピだとより実感しました。面白い使い方もたくさんあり、私たちも学ぶべきところがありましたね」と応募者の熱意に拍手を贈った。
ロイヤルパークホテル 総料理長兼調理部長
松山 昌樹さん
「テイクアウトという制約から、これまでにないマイユの特長を引き出されたと感じました。レストランで提供する場合と異なり、食べやすさも然り、どういうお客さまがどんな場面で誰と食べるのかというシーンが具体的に想像できたかどうかが勝敗を左右したと思います」
ひらまつグループ 統括料理長
中谷 一則さん
「できたてではない料理を評価するのは初めての経験。興味深い大会でした。フランス料理やイタリア料理は不利と予想してましたが、やはり日本料理と比べると冷めたときの表現力がもう一歩ほしいと感じました。日本料理はビネガーの使い方が上手かった。印象に残りましたね」
「falo」料理長
樫村 仁尊さん
「飲食店も宿泊業も大変なコロナ禍において、こういうコンテストで新しいチャレンジをしようという心意気に感銘しました。とくに和食の方は、バルサミコ酢の使い方ひとつにしても僕らが考えない表現方法を取られていて興味深かったですね。いい刺激をもらいましたね」
フランスレストラン 文化振興協会代表
大沢 晴美さん
「初回から大会を見守っていますが、年々進化を感じますね。今年は病院食という分野からも参加され、マイユブランドの汎用性の高さだけでなく、日本料理界の多様性を感じました。これからの日本の可能性も感じました」
エスビー食品株式会社 取締役上席執行役員
小島 和彦さん
エスビー食品株式会社 営業グループ上席マネージャー
新田 慈さん
●エスビー食品株式会社内マイユページ
https://www.sbfoods.co.jp/maille/
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text: Yuki Kimishima photo: sono / bean