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未来を担う若者へ!世界で活躍するグランシェフ10名からのメッセージ #2


未来を担う、シェフたちへ

フランス料理、イタリア料理、日本料理、中国料理、パティスリーの各ジャンルで長年キャリアを積む世界のグランシェフの方々から、料理界の未来を担う若きシェフたちに向け、メッセージを寄せていただいた。
料理への情熱、お客をもてなす心、スタッフの育成、シェフとしての社会的役割など、グランシェフが贈る熱いメッセージのひとつひとつに、「シェフ」という職業の誇りや重みを感じてほしい。

各シェフへの質問事項
①シェフという仕事を誇りに感じるときは?
②シェフに必要不可欠な3つの条件とは?
③これからの時代、社会に求められるシェフの役割とは?

中島眞介 Shinsuke Nakajima 「ホテルニューオータニ」シェフパティシエ

中島眞介
Shinsuke Nakajima
「ホテルニューオータニ」シェフパティシエ

① 難しい課題に対し、スタッフみんなで取り組み、全員が納得するスイーツができ上がる瞬間を誇りに思う。

② 1. スイーツに限らず、広く情報に敏感になり、新しいものに挑戦していく心。2. 多種多様なおいしいものを知っている。3. すべてにおいて、「謙虚」な姿勢、心で臨むこと。

③ いわゆる食育という観点から、次世代に基本技術をしっかりと伝えていくこと。日本国内の優れた食材に注目し、食べ物を無駄にせず、大切にしていく心を継承していくこと。

野﨑洋光 Hiromitsu Nozaki 「分とく山」料理長

野﨑洋光
Hiromitsu Nozaki
「分とく山」料理長

① お客さまに評価されたとき。

② 1. 人より優れた知恵。2. 人より優れた体力。3. 臆病なる気配(お客さまへの細やかな気配りができるかどうか)。

③ 中医栄養学的な方向で健康について考える必要がある。現代は食の安心、安全が失われ、料理も「物を作る」という作業になってしまっているが、医者であることと同じくらい食について勉強し、健康について考えなければならない

日髙良実 Yoshimi Hidaka 「アクアパッツァ」シェフ

日髙良実
Yoshimi Hidaka
「アクアパッツァ」シェフ

① この仕事に就いた最初の頃は、厨房でジャガイモやニンジンと過ごす時間が一生のほとんどを占めるだろうと思っていたが、実際にシェフになってみると、いろいろな方と知り合ってさまざまな経験をすることができる。また食を通じて世の中のいろんなことが見えてくる、とても素晴らしい仕事。

② 1. 好奇心。2. 体力。3. 真摯な心。

③ 安心、安全、身体に良い食事を提案することはもとより、食べることの「楽しさ」や「喜び」、生きていくことの「幸せ」を世の中に発信できる貴重な立場にある。

アンヌ=ソフィ・ピック Anne-Sophie Pic 「ピック」シェフ

アンヌ=ソフィ・ピック
Anne-Sophie Pic
「ピック」シェフ

① 自分自身の料理が、メディアやお客さまを通して、きちんと認められていると感じるとき。

② 1. 忍耐強さ。2. 自分自身の仕事に対する自信と懐疑をバランスを持って同時に持つことができる心。3. 波のない一様な仕事、精神的肉体的な強さ。

③ その時代に応じた進化、つまりその時代のお客が望むこと、味わい、消費動向に応えることが必要になるのではないか。レストランではよりバランスがとれた、消化の良い、迅速性のある料理が求められるのではないかと思う。しかし、つねに創造性が求められるはず。

牧野修三 Shuzo Makino  「レ・シュー」シェフ

牧野修三
Shuzo Makino
「レ・シュー」シェフ

① ともに仕事をした若者が、それぞれ自分の料理をめざして巣立っていく姿を見るとき。

② 1. 味覚。いろいろな味覚を覚えること、そして自分の味覚に自信を持って味を作ること。2.素材を見る目と調理方法と技術。3. 総合的統率力。

③ 古きよき時代の料理を残しながらも新しい刺激のある味を追求しつつ、フランス料理の基本を大切にしていくこと。

山口浩 Hiroshi Yamaguchi 「神戸北野ホテル」総支配人、総料理長

山口浩
Hiroshi Yamaguchi
「神戸北野ホテル」総支配人、総料理長

① 師であるベルナール・ロワゾー氏より学んだフランス料理、フランスの文化、人とのつきあい方、師匠と師弟の関係など多くのことを、いまロワゾー氏への感謝の意もこめて、若い世代に引き継げること。

② 1. 素材、人、伝統を愛すること。2. お客さまの意見を率直に聞くこと。3. 知識、技術に対して努力を惜しまないことはもちろんのこと、その時々に感じた感性を大切にすること。

③ 「おいしい料理と素敵な時間、空間を提供する」ことはレストラン運営において必須だが、近年とくに必要と感じるのは「伝統とエスプリの継承」。師の教えを若い世代へ受け継ぐことが私たちの役割だと思う。

山根大助 Daisuke Yamane 「ポンテベッキオ」シェフ

山根大助
Daisuke Yamane
「ポンテベッキオ」シェフ

① シェフは自分がいいと思うこと、おいしいと思う料理や空間などを提案するのが仕事なので、それが認められて喜んでいただけたとき。

② 1. 体力。2. アイデアや発想力。3. おいしさがわかる、味を記憶できる舌。

③ 素材を最大に生かす調理法の提案。食を楽しむことをいろいろな角度から提案。新しい素材の提案(栽培方法や飼育法など)。調理器具や厨房機器の開発。

山本次夫 Tsuguo Yamamoto 「ベルグの4月」シェフパティシエ

山本次夫
Tsuguo Yamamoto
「ベルグの4月」シェフパティシエ

① 19歳からパティシエになり、今まで(現在57歳)になるまで続けてこられたのはとても幸せ。とてもクリエイティブな仕事でそれを表現してお客さまに「おいしい」という幸せを提供できること。

② 1. 何にでも興味を持つこと。2. 情熱。3. 次代を読む力をつけること。

③ 人を育てる。伝統を重んじながらも時代を読むこと。

横田秀夫 Hideo Yokota 「菓子工房オークウッド」シェフパティシエ

横田秀夫
Hideo Yokota
「菓子工房オークウッド」シェフパティシエ

① 自分と一緒に働いた部下たちが、外に出て活躍している姿を見るとき。

② 1. どんなときでもおいしいものを追求する心。2. 勝負する時の集中力。3. 包容力と柔軟性。

③ 基本技術を大切にしながらも新しい味を追い求め続け、時代に合った形を作り出し、突き進み続けること。

クリスチャン・ル・スケール Christian Le Squer 「ルドワイヤン」シェフ

クリスチャン・ル・スケール
Christian Le Squer
「ルドワイヤン」シェフ

① 自分自身の能力を余すことなく発揮できると感じるとき。たとえば、初めてシェフという立場に就いたとき。メニュー作り、スタッフなどに対して、全面的に責任があると感じ、さらに士気が高まる。

② 1. 料理技術に関する揺るぎない基礎。2. クリエーションを愛すること。3. けっして満足せず、前進する心。

③ 素材自身の味わいをリスペクトした、軽やかで香り高く、革新的な料理を作ること。つねに変化に富んだ動きのある料理を創造できること。


沖村かなみ=文・構成、伊藤文(パリ)=文

本記事は雑誌料理王国第175号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第175号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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