ローカルガストロノミーの本質「里山十帖」x「とおの屋 要」

スキーリゾートへの拠点としても知られる、越後湯沢駅。筆者が訪れたのは3月末だったが、駅から見える景色も一面の雪。カラフルなスキーウェアに身を包んだ行楽客の姿もちらほらと見受けられる。そこから車で20分、訪れた秘湯・大沢山温泉にある里山十帖が、今回の訪問の目的である、地方における美食「ローカルガストロノミー」について考えるイベントの会場だった。

見渡す限りの雪原。それは「純白の闇」と、表現できるのかもしれない。漆黒の暗闇は、人が誰しも、本能的にある種の恐怖を感じるものだろう。しかし、それ以上に、雪国の人は、命の存在を拒む雪の堆積を恐れ「雪地獄」と呼んだ。

左:「里山十帖」桑木野氏、右:「とおの屋 要」佐々木氏

築約150年の古民家を生かした「里山十帖」

この時期の里山十帖の入り口

到着すると、入り口には、まだ2メートルほどの残雪がある。「これでもだいぶ溶けたんです、1月には5メートル近くにまでなって」と出迎えてくれたスタッフはすこし困った顔で笑う。この辺り独特の、湿気を含んだ重たい雪は、屋根からおろすのにもひと苦労だ。あまりに高く積もるので、この地域では雪かきではなく「雪掘り」というのだという。

里山十帖は、そんな雪深い場所で築約150年の古民家を生かし、デザイナーであり、編集者でもある岩佐十良氏が2012年にオープンした温泉旅館だ。人が五感を生かして様々なインスピレーションを感じることができる「媒介(メディア)としての宿」を目指している。

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