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語り継がれるスペシャリテ⑤ 庄司 夏子氏(été)「鰻」×SAKE HUNDRED「現外」


トップシェフたちが作るスペシャリテ。完成するまでには、試行錯誤と努力の日々がある。匠と思いが具現化した一品。だからこそ、その傍らには、日本が世界に誇るラグジュアリーな日本酒「SAKE HUNDRED」がふさわしい。美酒とともにスペシャリテの裏側にある物語を開いてみよう。

庄司 夏子

高校を卒業後、「ル・ジュー・ドゥ・ラシエット」(現 レクテ)、「フロリレージュ」を経て22歳で独立。季節のフルーツをふんだんにあしらった完全予約制、数量限定販売のケーキ「フルール・ド・エテ」を考案し、話題に。2015年7月に1日1組の完全紹介制のレストラン「エテ(été)」をオープン。その5年後の2020年にアジアのベストレストラン50でベストパティシエ賞を受賞。2021年8月にはケーキを渡すための専門スペース「フルール ド エテ(Fleurs d’ été)」を出店。

【シェフに選ばれた1本】
「現外」
25年を超える熟成により、甘味・ 酸味・苦味・旨味が複雑に絡みながら高い次元で調和した1本。

シェフのコメント
「お米を熟成したものにしか出せないような余韻や奥行きがあり、長く熟成したブランデーなど、一般的にイメージする日本酒とは違うニュアンス。」

自分と次世代のためのパスポート

季節のフルーツをジュエリーやファンションの感性で仕立てる唯一無二のケーキ「フルール・ド・エテ」で、また一日一組限定の予約困難なフレンチレストラン「été(エテ)」のオーナーシェフとして注目を集める庄司氏に、この春、新たな称号が加わった。「アジアの最優秀女性シェフ賞」(ASIA’S BEST FEMALE CHEF AWARD)。「アジアのベストレストラン50」の300名以上のアカデミー会員投票により選出される賞で、「優れた美食の新たな基準となる、献身的でスキルや創造性に優れた女性の成功を称える機会」という栄誉だ。
ここまで立ち止まることなく走り続けてきたことが評価されたのだろう。

「今後も脳みその100%をétéにつぎこんでいきたい。それは辛かった時にも支えてくれたお客様への恩返しでもあります」と言う庄司氏は、この栄誉の価値を「パスポート」と表現する。
「こうしたアワードを獲得することで聞く耳を持ってもらえる。説得力が違う。この年代でこれを持っていることで次世代の人たちも話を聞いてくれます。埋もれていたら機会がない」
自分のこれからのために、そしてこれからの人たちのために伝える力を持つこと。実は今回、『現外』を選んだのは味わいだけではなく、ここにも理由があった。

優美さの向こうに続く奥行き

その前に庄司氏が『現外』に合わせた料理を紹介しよう。メインは「鰻とトリュフ」。「鰻は日本人の多くが親しんでいるもの。日本酒が合わないわけがない」
そして日本人が親しむ鰻と言えばタレ。『現外』の熟成したニュアンスからも発想を得た。炭火で焼いた茄子と新玉ねぎをあわせたもの、砕いたクルミのキャラメリゼをベースにし、鰻にトリュフを載せる。鰻にはイノシシでとったジュ、熟成した蜂蜜に『現外』を加えたソースを吸わせた。

一見すると優美でシンプルなたたずまいだが、食してみればふくよかで心落ち着く味わい。鰻の脂、炭火の香ばしさ、野菜など幅広い甘やかさが口の中で広がる。ここで『現外』。『現外』の美しい酸によりこの甘やかさがさらに引きだされていく。すると、どこに隠れていたのか、想像以上に野生の強さや、凛とした表情も感じられる。庄司氏がすでに持っていた料理を『現外』のためにブラッシュアップした一皿。優しさ、緻密さ、猛々しさ、そして美しさへと様々な表情を見せてくれるが、『現外』の特徴を捉え、これを料理に取り込んでいるからこそ生まれた多彩なのだろう。『現外』の長い余韻の中で、また、料理の味わいがからみ、同調し、より深い奥行きとなって、はるか遠くに続いていく。

唯一無二という共通点

「日本酒というと柑橘系、清らかさというイメージが浮かびますが、『現外』は飴炊きしたナッツや柑橘のドライフルーツ、シェリー、長く熟成したブランデーなど日本酒とは思えないニュアンス。他にはないもの。唯一無二の感じが好きです。唯一無二のものを目指すのは私と一緒ですし」

庄司氏が『現外』を選んだ理由は、味わいとともに自身との共通点、そして目指すべき到達点。『現外』は、26年の時を経た熟成酒。1995年、阪神淡路大震災によって倒壊した酒蔵で奇跡的に生き残ったタンクにあった命の「酒母」。これを清酒にすることを決意。30%のみという精米により残した旨味がもたらす変化、歳月による熟成により、二度と再現することのできない唯一無二のヴィンテージ日本酒となった。

「お米を熟成したものにしか出せないような余韻や奥行きがある。米をいかに削るかという日本酒のトレンドはあるけれど、その真逆をいっている。その個性もいい」。

熟成という個性が持つ価値。それは酒や料理というものに対するマインドを変えていく可能性があると庄司氏は指摘する。酒も料理もわずかな時間で消える。だが、酒造りにおいては米の栽培、熟成期間を含めて職人が何年もかかわっていく。料理もそう。野菜を育てること、自分のシグネチャーとなるソースを作ること。これにかける時間は膨大だ。

「アートで言うギリシャのオブジェと一緒で、マスターピースの一つだと思うんです。その価値が日本酒にもある。私の中で、日本酒ってこれだけ手がかかっているのに、なんでこんな安いんだろう、というのがあって。そういうストーリーを伝えるのってなかなか難しいけれど『現外』にはそれがありました」

 そう、だから『現外』。庄司氏はこれまで数多くのアーティストとのコラボレーションを行っていて「誰もやっていないことをやるから、チャラチャラしていると思われていたこともあるけれど」と苦笑するが、狙いは次世代へ何を受け渡していくのか、というところにある。

「お酒を知らない人たち、飲んだことがない人たちが、ストリートやファッション系の人とのコラボを通して初めて飲んだら、これが当たり前と思うかもしれない。それが次のステップになる」
自身が次世代だからこそ、その次の世代に引き継がなければいけないというのが庄司氏の思い。

「次世代に近い人でないと親近感がわかないですし、頭に入ってこない。ニュアンスが付く前の学ぶ段階で、日本酒だってこの値段は当たり前、ケーキの値段も1万円以上のモノがあっても当然だし、それが生産者さんに還元されていくということを知ってほしい。自分の体が元気でがつがついけるときに教えていかないと(笑)」

選んだグラスはアールデコ期のオールドグラス。熟成している酒だからこそグラスもヴィンテージ。ヴィンテージは色褪せないもの。古臭いものではなく現代に通用するもの。目新しさだけを追求するわけではない。熟成したものの中に新しいきらめきを見つける。否定ではなく個性。対立ではなく多彩。そこから次世代もまた自分たちの価値を見つける。新しい称号を得た庄司氏、そのタイミングで出会った『現外』。互いに唯一無二の存在として、新しい価値を伝えていく。

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SAKE HUNDREDは、『心を満たし、人生を彩る』をパーパスに掲げ、比類なき価値を提供する日本酒ブランドです。最高峰のグローバルブランドとして、味覚だけでなく、お客様の心の充足に貢献し、人と人との豊かな関係を築いていきます。最上の体験によってもたらされる、身体的・精神的・社会的な満足、そのすべてが、SAKE HUNDREDのお届けする価値です。


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