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明治維新から150年 年表で読む日本人と【牛肉の歴史】


1557年
キリスト教の宣教師たちの手によって、復活祭で牛肉が信者たちに振る舞われる。

1687年
「生類憐みの令」により獣肉食の禁忌が強固となるなか、彦根藩(現在の滋賀県)により牛肉の味噌漬け「反本丸(へんぽんがん)」が考案される。続けて乾燥牛肉も考案され、牛肉の味噌漬けは、養生薬として日本各地に広まる。

1868年
明治元年
明治維新。新政府は肉食を奨励し、肉食は文明開化の象徴とされる。

1871年
開化亭」が横浜に創業。醤油を隠し味に使ったステーキが評判になる。

1872年
明治天皇が初めて牛肉を食べ、それから牛鍋がブームに。1877年には、500軒を超える牛鍋屋があったとされる。
日本初の西洋料理店「築地精養軒」が開業。相次いで西洋料理店が誕生。

1900年
食肉、役用牛を品種改良するため、海外から交配用の牛を輸入する。

1904年
日露戦争開戦 明治後期から大正期
当時の軍隊の携行食には「牛肉の大和煮」があった。
洋食の大衆化とともに、牛肉食も広まる。陸軍の公式レシピ集に、ビーフステーキやコーンドビーフ等々が記載されている。

1912年
大正元年
それまで在来種と輸入種を交雑して改良を続けていた牛を「改良和種」と総称し、さらに改良が続けられる。

1945年
太平洋戦争終結
日本の食文化はアメリカの影響を大きく受ける。

1953年
高度成長期
アメリカ統治下の沖縄でステーキの店「ジャッキーステーキハウス」開店。

1956年
神戸・三宮に「麤皮(あらがわ)」がオープン。

1962年
農業の近代化で役用牛が廃れ肉用牛としての改良が進み、「黒毛和種」の審査基準が改訂される。

1964年
東京オリンピック
この時期、外食産業の幕開け。
(この頃)すき焼き、ビフテキがごちそうとされるようになる。「ステーキハウス ハマ」(1964年、東京・六本木)、「麤皮(あらがわ)」(1967年、東京・新橋)など。

1960年代半ば ~ 1980年代
ステーキからフレンチへ。フランス料理の隆盛。
一流ホテルにフランス料理のメインダイニング誕生。以来、1980年代にかけてフランス料理の絶頂期へ。

1980年代末 ~ 1990年代
イタリア料理ブーム。骨付き牛肉“ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ”が日本で知られるように。「トゥリオ」(1986年、東京・浜松町)、「リストランテ カルミネ」(1987年、東京・神楽坂)、「イル・ボッカローネ」(1989年、東京・恵比寿)など。

1988年
ソウルオリンピック
韓国料理に注目が集まる。

1991年
バブル崩壊期
牛肉の輸入が自由化。海外から安価な牛肉が輸入されるようになる。
(この頃)韓国料理が注目される中、91年の牛肉自由化と相まって、焼肉ブーム。焼肉業界が活況を呈す。韓国料理と焼肉を提供する店から焼肉にシフトする店が増える。「焼肉京城」(1973年、東京・北千住、当初より松坂牛を使用)、「スタミナ苑」(1967年、東京・鹿浜)、「ゆうじ」(1990年、東京・渋谷)など。
(この頃)イタメシブーム。高級フレンチよりカジュアルで手軽なイタリア料理が好まれるようになる。

2001年
日本でBSE(いわゆる狂牛病)が確認される。
EUからの牛肉の輸入が禁止される。牛肉市場に深刻なダメージを与えた。

2003年
アメリカ、カナダでのBSE発生のため、両国から牛肉の輸入が禁止。消費者の牛肉離れが進み、焼肉業界は大打撃を受ける。
(この頃)「焼肉チャンピオン」(2005年、東京・恵比寿)など、希少部位を売りにする焼肉店が出来はじめる。希少部位への消費者の関心が高まり、牛肉ブームの足掛かりとなっていく。焼肉店の牛一頭買いが現れはじめる。
(この頃)霜降り肉から赤身肉へ。赤身肉ブームの下地が作られる。
赤身の旨い肉に関心がもたれるようになり、「短角牛」(日本固有の肉専用種)に注目が集まる。

2006年
アメリカ、カナダから牛肉の輸入が完全に再開。

2008年
熟成肉専門店「中勢以」が東京・田園調布にオープン。熟成肉が東京に現れる。
(この頃)熟成肉の波及と平行し、赤身体質の牛肉の需要が増える。
すだち牛」(徳島・天恵牧場、褐毛和種)、「土佐あかうし」(高知、褐毛和種)、「北里八雲牛」(北海道・北里大学八雲牧場、交雑種)、「尾崎牛」(宮崎、黒毛和種だが赤身肉に高い評価)といった牛肉に注目が集まる。

2010年前後
焼肉、ステーキとそれぞれに熟成肉が浸透していく。「かるびあ~の」(2006年、東京・新橋)、「ゴッサム グリル」(2009年、恵比寿)「37ステーキハウス&バー」(2010年、六本木)、「キッチャーノ」(2011年、東京・赤坂)などが人気店として注目されるようになる。

2011年
東日本大震災
焼肉チェーン店で牛肉の生食による集団食中毒事件が発生。生食への規制が厳しくなる。翌年には、牛レバーを生食として販売、提供することが禁止される。
(この頃)赤身肉ブームを支える健康志向。コースの肉は赤身のみの「肉山」(2012年、吉祥寺)がオープン。

2013年
EUからの牛肉の輸入再開。BSEにより厳しくなっていた牛肉の輸入条件も緩和された(米国牛も。月齢20カ月以下から30カ月以下に)。日本国内のBSE問題も収束する。
イタリア・スタイルの薪焼きの店「ヴァッカロッサ」(東京・赤坂)がオープン。
(この頃)骨付き肉の輸入が認可され、Tボーンステーキ旋風が起こる。

2014年
2月「ウルフギャング・ステーキハウス」の1号店が東京・六本木にオープン。
アメリカ産骨付き塊肉がブームとなる。これに伴い、熟成肉(ドライエイジング)の存在が広く世に知られる。
(この頃)「ルビージャックス ステーキハウス&バー」(4月、六本木)や、「BLTステーキ」(9月、六本木)など、アメリカンステーキハウスが次々にオープン。
ラ・ピヨッシュ」(2013年、東京・水天宮)、「イバイア」(2013年、東京・銀座)など肉ビストロが人気に。

2015年
ユーゴ・デノワイエ」恵比寿店オープン。「フルヤオーガストロノム」(2015年、東京・赤坂)や「ル・セヴェロ」(2016年、東京・西麻布)など、バザス牛などの欧州牛を扱うレストランが増えはじめる。

2016年
タクボ」(東京・代官山)がオープン、薪焼きに注目が集まりはじめる。
THE WAGYUMAFIA」(6月、赤坂)、「29ON(にくおん)」(10月、西新宿)など、会員制の牛肉店
がオープン。新しい業態として注目を集める。

料理王国=文

本記事は雑誌料理王国281号(2018年1月号)の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は281号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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