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シェアすることを前提としたユニークな提供スタイル。「カラペティ バトゥバ!」


麻布十番の「カラペティ バトゥバ!」は、カウンター席中心のカジュアルな雰囲気とシェアを前提としたメニュー構成、それでいて上質で洗練された料理、というアンバランスさが魅力の店だ。「フレンチレストランという垣根を取り払い、もっと身近にフランス料理を感じてほしい。ただし、あくまでも〝料理ありき〞という店にしたかった」と、オーナーソムリエの長雄一さんが、兼子大輔さんをシェフに迎えて2009年9月にオープンした。

シェアを前提とした
ユニークな提供スタイル

この長さん、実はなかなかのアイデアマン。たとえば、お客との会話を楽しみ、カジュアル感を演出するためにカウンター席は導入したが、くだけすぎないようにあえてオープンキッチンにはしなかった。

しかも、カウンターの端に厨房をレイアウトし、お客の目の前を通って料理を運ぶ動線にした。この演出効果により、お客は「次はあの料理をオーダーしよう」と食欲をそそられるのだ。

また、シェアを前提にボリューム感を出し、お値打ち感を訴求したユニークなメニュー構成にも注目だ。1オーダーでふたり分のポーションの同一料理を注文してもらうことで効率をアップし、抑えた人件費を料理の価格に反映したのだ。

「カップルやひとり客向けにコースも設定するが、いろいろな料理が楽しめ、使い勝手のよいアラカルトを売り物に打ち出していく。ただし、料理の質を落とさず価格面でもカジュアル感を出したい。それらをすり合わせた結果がこのスタイルでした」と長さん。これによってひと皿160g の肉を使いながら、ひとり1000円台で楽しめるメイン料理などが実現した。もちろん、ひとり分ずつ盛り付けてサービスする。

さらに、このシステムは調理上にも大きなメリットがある。「ひと皿に盛り込みすぎず、作り込みすぎないシンプルな料理を心がけていますが、それでも忙しくなるとなかなか大変。でも、このスタイルならばオーダーに追いかけられることなくしっかり料理に集中できます」と兼子さんも強調する。

写真のカエル料理のような遊び心あふれるひと皿や、バラの花のように盛り付けられた鴨料理のようにオリジナリティが光る料理は、こうした集中力から生まれているのだろう。

同店は、オーナーソムリエの店らしくワインも充実し、20種類近いグラスワインのほかカラフェも提供。めずらしいイスラエルのワインも提供するなど、お客を楽しませる仕掛けがまだまだ尽きない。

絶妙な“アンバランス感”が生むオリジナルの上質さ

冷製フォワグラをのせたイチジクのタルトレット 1890円
焦がしバターのサブレの上にイチジクのコンフィチュールを塗り、フォワグラのコンフィをのせたシンプルな前菜。甘さを抑えたサブレの食感とシナモンパウダー、マルドンの塩がアクセント。写真はハーフポーション。

オーナーソムリエの長雄一さん(右端)は1973年神奈川県生まれ。「コート・ドール」「レ・クレアシヨン・ド・ナリサワ」を経て同店をオープン。隣の兼子大輔さんは79年広島県生まれ。三田「コート・ドール」、パリ「アラン・サンドラス」等で修業後、同店のシェフに。

カエルモモ肉のフリット香草ベニエ 1470円
パセリ、エシャロット、ニンニクのペーストを衣に加えて揚げたフリットに、パセリとサワークリームのソースで水紋、ナスタチウムで蓮の葉をイメージさせる遊び心溢れるひと皿。写真はハーフポーション。

気軽にワインを楽しんでもらおうと、グラスワインだけでなくカラフェでも提供。その日のおすすめグラスワインは黒板に書いてアピール。

存在感を感じさせる、北海道産タモの木のがっしりとしたカウンター(15席)。ほかにカップルやグループ客向けにテーブル席(8席)も用意。

カラペティ バトゥバ!
東京都港区麻布十番2-3-12
ビスコビル2F
☎03-3455-9951
●17:30~0:00LO
●日休
●www5.ocn.ne.jp/~quand/index.html
●コース 4725円、6300円、アラカルトあり

text : Toshie Shimizu / photo : Yuko Uehara

本記事は雑誌料理王国197号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は197号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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