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レシピ付き!「味坊」の大人気メニュー「ラム肉のクミン風炒め」


ビオワインと一緒に楽しむ羊料理は、体と心を温める中国・東北地方の郷土料理

東京・神田味坊 梁宝璋さん

 食べる物にこそ活力の源があるとする「医食同源」の考え方は、中国で生まれた梁さんのDNAにすり込まれている。とくに梁さんが生まれ育った東北地方は、モンゴル平原に近い場所で、冬はマイナス度にもなる厳寒の地。野菜の収穫は秋に済ませ、雪が積もると、肉や豆腐などのタンパク源とともに雪中に保存する。東北地方に暮らす人々は、先人の知恵に感謝して、体を温めるためのさまざまなスパイスや食材を活用して、厳しい寒さを乗り越えてきたのだ。それは、先人たちの家族への愛情。その愛情が育んできた東北料理は、それを作る梁さんの温かな人柄と相まって、今、日本で季節を問わず、多くの人に親しまれている。

日本風にアレンジしてスープのコクと旨味を出す

 梁さんが東京の神田駅近くに「味坊」を開いたのは15年前。日本に来たのはそれより3年前で、最初はラーメンやチャーハン、ギョウザが中心のごく一般的な中華料理屋だった。やがて日本から中国に赴任する会社員が増えると、彼らは帰国後、本場の味を懐かしんだ。そんなゲストにせがまれて、裏メニューとして作っていたのが東北地方自慢の羊料理。しかし、「日本人の求める味はこれだ」と直感した梁さんは、その店を閉めて神田に移転。新たに東北料理専門店「味坊」をオープンさせたのだ。

 メインは羊料理で、やわらかなラム肉の肩ロースを使ったしゃぶしゃぶや串焼き、炒めものに人気が集まる。ラム肉に欠かせないのはクミン。その使い方も絶妙で、このほか、ハッカク、ナツメ、チンピ、ケイヒ、トウキなど、何十種ものスパイスや乾燥した薬用植物を料理に使う。

ラム肉はすぐれた高タンパク食材。ミネラル、鉄分、ビタミンB1・B2が豊富で、体をあたためて体力の不足を補う。コレステロールの含有量が低いうえに、脂肪燃焼を促すカルニチンも含まれている。

「味坊」の常連客は、羊料理をビオワインとともに楽しむ。料理に合わせて、スパイシーな赤ワインを選ぶゲストが多いが、よく冷えた白にもロゼにも、梁さんの羊料理は合う。「郷土の味を大切にしていますが、ワインとのマリアージュは日本ならではですね」と梁さん。「旨味を重んじる日本人は、コクのある味わいが好きだから」と、ラム肉のしゃぶしゃぶ用スープは日本人向けにアレンジしている。母国では湯を使うところ「、味坊」では豚骨でだしをとり、さらに豚バラ肉でコクを加えたスープを使っているのだ。

厨房でフライパンをふりながら、「料理の師は母親」と語る梁さん。母親とは野草摘みにも出掛ける。「お酒の飲み過ぎで肝臓が疲れている人は、タンポポの葉をかじったり、ジュースにして飲むといいですよ」。

 ただし、鍋料理で「絶対に変えないと決めている」ことがある。それは銅鍋を使い、炭で調理すること。現在は中国でも、ガスや電気の鍋で提供するモダンな店が増えているが、梁さんは、あくまでも昔ながらの炭にこだわり、銅鍋は北京から仕入れている。

「炭を使った時の熱の伝わり方と、電気やガスとは違う。調味料や食材だけでなく、調理法にこだわることも大切だと思います」
 この言葉通り、たとえば鍋に入れる豆腐は一度冷凍してから使う。「故郷では、豆腐を雪中で保存していました。冷凍期間は長いほどよく、水分が抜けてスポンジのようになる。これがスープをよく吸って、とてもおいしいのです」
 日本でも鍋が恋しくなる季節。梁さんの料理とやさしい笑顔が心身ともに和ませてくれるだろう。「医食同源」が、人間のために人間が考え出した知恵なら、それを伝える人もまた、愛ある人であってほしい――。

「味坊」を訪れるゲストはそれを求めて、今日も店にやってくる。

【レシピ】 味坊の大人気メニュー「ラム肉のクミン風炒め」

ラム肉のクミン風炒め
「味坊」の人気メニューのひとつで、クミンの香りをまとって香ばしく焼けたラム肉の辛さは、一味唐辛子による味付け。クミンは梁さんがもっとも使う調味料で、食欲を増進させ、消化を高める効果があるとされる。

材料(1皿分)

味付けラム肩肉…400g/タマネギ(スライス)…1/6個/クミン、炒りゴマ…各5g/一味唐辛子…3g

味付けラム肩肉
ラム肩肉…1㎏/A【卵…1個/タマネギ…1/4個/塩…5g/コショウ…3g

作り方

  1. ラム肩肉は、食べやすいサイズに切ってボウルに入れ、Aの材料を加えてよく混ぜる。混ぜ終えたら冷蔵庫に最低3時間入れ、味を染み込ませる。
  2. 味を付けたラム肩肉400gを油通ししておく。
  3. 中華鍋に油をひき(分量外)、スライスしたタマネギを炒め香りを出してから、2のラム肉とクミン、炒りゴマ、一味唐辛子を加えて、軽く炒めてから、皿に盛る。

味坊
03-5296-3386
● 11:00~14:30、17:00~23:00
● 日祝休
● 80席


上村久留美=取材、文 依田佳子=撮影

本記事は雑誌料理王国第255号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第255号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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