村山さんが栽培する120種類以上のトウガラシのなかから、ちょっと珍しいトウガラシを「辛み」と「香り」で比べてみた。
ブラジル /ブラジリアン・スターフィッシュ
味や香りは、パプリカのようなみずみずしさを持つ。このなかでは、もっとも辛みがないトウガラシになっているが、十分に辛い。肉厚なのが特徴で、ピクルスにして漬け込むと、果肉にとろみがうまれる。
販売時期 8月~
ブラジリアン・スターフィッシュは、このなかで一番辛みが少ない─はずなのですが、十分辛いです!!!
ペルー/アヒ・シト
比較的に抑えられているとはいえ、食べてからすぐに、舌の奥に辛さがやってくる。香りがよく肉厚。ペルー語で、アヒはトウガラシを意味する。ペルーの黄トウガラシでは、アヒ・アマリージョがよく知られている。
販売時期 7月下旬~
アヒ・シトは、ペルーの「セントラル」で働いていたときに、よく使っていましたので、懐かしいです。
日本/黄トウガラシ
舌ではなく、ノドにくる辛さ。しかも、その辛さが持続的に残るのが特徴といえよう。一方で、香りはあっさりとしていて、個性的な要素は感じない。日本のトウガラシのなかでもっとも辛いとされている。
販売時期 7月下旬~
ブータン/シャエマ
世界一辛い料理を食べるブーダン(66ページ参照)のトウガラシ。じっとりと重い辛みが、時間をかけて舌に伝わってきたかと思うと、舌がジンジンとした辛さにおそわれる。この中では、香りはそれほどない。
販売時期 7月下旬~
こうして食べ比べてみると、思っていた以上に、品種それぞれに個性があることがわかりました。
今回は「辛み」と「香り」でしたが、実の厚さや皮の硬さなどもそれぞれ違うので、いろいろな視点で食べ比べてみてほしいですね。
メキシコ/ハバネロ
完熟すると真っ赤になるハバネロは、ふっくらとした愛らしい形とは対照的に、かなりの辛さをもつ。強い辛さのなかには、フルーツのような香りを見つけることもできる。
販売時期 8月~
ブラジル/ゴールデン・ゴースト・ペッパー
ハバネロの2倍以上の辛さをもつ。インド原産の「ブート・ジョロキア」というトウガラシは「ゴースト・ペッパー」と呼ばれ、長らく「世界一辛いトウガラシ」としてギネス認定されていた。
販売時期 8月~
トリニダード・トバゴ/トリニダード・スコーピオン・モルガ・ダブル
品種改良によって、「世界一辛いといわれるトウガラシ「ハバネロ」の2~3倍の辛さをもつ。わずかなひと片でも、強烈な辛さを感じ、汗が噴き出す。少量で辛さを出せるので大量調理向き。
販売時期 8月~
この3つは、本当にものすごい辛いですね。汗がどんどん出てくる……。村山さんは、これぐらい平気ですか?
辛いの好きですが、この3つは、
頼まれない限り食べませんよ(笑)。
タイ原産/プリッキーヌ・スアン
タイ料理には欠かせない小さなトウガラシ。「ネズミの糞」という意味をもつ。緑は未熟で、完熟すると赤くなる。香りが抑えめなので、シャープで強い辛さを感じる。
販売時期 7月中旬~
プリッキーヌ・スワンは、タイ料理でよく使われていますよね。輪切りにして酢漬けにしていたり。
はい、そうですね。とても小さいですが、辛みはしっかりありますね。タイで辛いものが好きな人は、ご飯と一緒に生でポリポリと食べています。
ええっ! これを生で!? かなり辛いのに。経験を重ねれば食べられるようになるんですかね……。
メキシコ/チレ・チポトレ
メキシコでは、さまざまな種類のトウガラシを燻製にして乾燥し、保存している。これは、熟したハラペーニョを桜のチップで燻製させたもの。お湯で戻して、ペーストにして使うことが多い(58ページ参照)。
メキシコ/チレ・ワヒージョ
熟したワヒージョを、桜のチップで燻製にして乾燥させた。ワヒージョは、ハラペーニョよりも大きく、しっかりとした辛みのなかに、甘味や苦味などをもつ。数種類の燻製トウガラシを組み合わせてペーストにする。
実ったさまざまなトウガラシは、村山さんが自作した通販サイト「Peppers.jp」で販売している。また、収穫時期には、隔週の日曜に、青山ファーマーズマーケットにも出店してる。www.peppers.jp
本記事は雑誌料理王国299号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は299号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。