食の未来が見えるウェブマガジン

美味なるエスプレッソに素材理解は必要不可欠【エスプレッソ豆図鑑】


おいしいエスプレッソを淹れるための最後の難関は「素材」、そう豆であります。豆は天からの贈り物。味と香りはさまざまです。産地によっても、生産年の天候によっても変わる、それ。各メーカーは大変な労力をもって、豆を選び、焙煎し、ブレンドし、品質を保っているのです。さぁ、それらの個性を理解して、本当のマニアになりましょう。

コーヒーの生産地は北回帰線と南回帰線の間の地域。ここをいわゆる「コーヒーベルト」と呼ぶ。中南米、アジア、アフリカと、その範囲は広い。それぞれの生産国、農園によって、味、香りに特徴がある。コーヒー豆には「アラビカ種」「ロブスタ種」「リベリカ種」の3種がある。アラビカ種はエチオピア原産。海抜1000メートル前後の高地が栽培地として適しており、コーヒー豆全体の生産量の7〜8割を占める。逆にコンゴ原産のロブスタ種は低地でも生産が可能。またリベリカ種は生産量が非常に少なく、エスプレッソ用豆は前者ふたつが使われることがほとんどだ。エスプレッソ用豆は各国、各農園の豆の組み合わせと、アラビカ種とロブスタ種のブレンド比率で個性を出す。イタリアの国際カフェテイスティング協会(IIAC)では5〜13種類の豆をブレンドしなければエスプレッソと呼べない、という規定がある。一般的にライトを好む北イタリアはアラビカ種を多く用い、南イタリアはロブスタ種の配合量を増やし、パンチ力を出す。また、焙煎度合いも味を大きく左右する。深煎りは苦め、煎りが浅くなるほど、酸味が感じられるようになる。味と同じぐらい注意したいのが消費期限。焙煎豆は購入日から2週間で使い切ること。挽いた粉はさらに劣化が早いので目安は3日、冷暗所での保管がベストだ。味、香りの個性を深く知り、さまざまに比較検討して、使いたい豆を選ぼう。

代表的な生産国の特徴

ブラジル中庸な酸味、苦味が特徴。
ケニア特徴的な酸味と深いコク。
コスタリカ上品な甘味。
エチオピアアロマが高い。
インドネシアまろやかな酸味。ロブスタ種中心。
グアテマラ香り豊かで、やや酸味が強い。
コロンビア香りが甘く、酸味がまろやか。

ラバッツァ トップクラス

ブラジル、インドネシア、中米、アジア各国の豆で構成。粒が大きく、大豆のように丸みを帯びているのが特徴。焙煎度合いは中深煎りだが、豆の色はかなり浅い。ふくよかでボディが強く、「チョコレー トのような味」と評される。ブラジル産の持つコクのある後味にインドネシア産の弱めな酸味が絡み合う。アラビカ種とロブスタ種の割合は約半々。

UCC島珈琲カフェモデルノ

コロンビア、ブラジル、エル・サルバドルなどの豆をブレンドしている。ライト系のなかにも、コクや苦味がしっかりと感じられ、北イタリア好みな味を表現している。 焙煎度合いはやや深煎り。焙煎直後の豆をマイナス2度で急速冷却するアロマフリージング製法で、豆のフレッシュさを保っている。

イリーノーマルロースト

ブラジル、エチオピア、グアテマラ、エル・サルバドル、ケニア、インド、コスタリカなど9カ国の豆をブレンド。光センサーの選別システムでひと粒ずつ検査、不良豆を完全除去している。アラビカ種100%で、 その味わいは繊細でスムース。軽やかな酸味が特徴。砂糖を入れると苦味がマイルドになり、バニラやチョコレートのようなコクが出る。焙煎はやや深煎り。

UCC上島珈琲インターシティ

ブラジル、インドネシアなどの豆をブレンド。焙煎度合いはやや深煎り。今回セレクトしたなかでは、唯一のシアトル系(72ページ参照)である。それゆえ、ストレートだけでなく、ミルクを使う飲み方にも合う。芳醇なコクがあり、パンチのある味わいに、少々の酸味が加わる。焙煎度合いはやや深煎り。モデルノ同様、アロマフリージング製法をとっている。

ムセッティパラディッソ

ブラジル、グアテマラ、エチオピア、コスタリカなどの豆を使用し、アラビカ種80%にロブスタ種20%をブレンドしている。 酸味、苦味がバランスよく、フルーティな、すっきりとした味がする。甘い香りが特徴。イタリアのコーヒー品質認定協会(CSC)から品質を認定されており、 ひと袋ごとに認定通し番号シールがついている。深煎り。

text by Cuisine Kingdom/photographs by Yusuke Mukasa

本記事は雑誌料理王国158号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は158号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


SNSでフォローする