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東南アジアのコーヒーが“熱い”山岳民族も取り組むミャンマーコーヒー。

「ブルーボトルコーヒー」や「猿田彦珈琲」の登場以降、コーヒーにこだわり、生豆から自家焙煎して販売する専門店が増えています。これらの店で提供されるコーヒーの多くは、高品質なスペシャルティコーヒーです。

主に加工用やインスタント用に生産されてきた東南アジアのコーヒー豆生産国も、この数年でスペシャルティコーヒーとして適したコーヒー豆が増え、知名度が上がっています。都内を中心に東南アジア産のコーヒー豆に特化した店も次々とオープンしていて、今後さらに注目されることでしょう。

そこで今回は、東南アジア好きな私が東南アジアのコーヒー事情を探るべく、ミャンマー産のスペシャルティコーヒー専門店「アウンコーヒー」代表の奥富毅人さんにお話をうかがいました。

東南アジアのコーヒー事情

ミャンマーコーヒーの話の前に、まずは東南アジアのコーヒー豆の生産について知っておきましょう。

コーヒー豆はアカネ科の果実の種子で、熱帯に自生もしくは栽培されている常緑樹です。赤道を挟んで北緯、南緯それぞれ50度の範囲で、標高差が大きく寒暖差がある産地がコーヒー豆の栽培に適したエリア。この範囲のことを「コーヒーベルト」といいます。

この範囲で見ると、東南アジア11か国すべてがコーヒーベルトのエリアに入っていて、そのうちの9か国がコーヒー豆を生産しています。

東南アジアコーヒー豆生産量(2019年)*FAO(国際連合食糧農業機関)
2位ベトナム
4位インドネシア
12位ラオス
18位フィリピン
28位東ティモール
30位タイ
40位ミャンマー
48位マレーシア
60位カンボジア

因みに1位はコーヒー大国の南米ブラジル。2位にベトナム、4位にインドネシアがランキングしているところを見ると、私たちも知らずに東南アジア産のコーヒーを口にしていることがあるかもしれません。

新規オープンした店舗(都内)では、インドネシア産コーヒー豆に特化したジャカルタに本店がある「コピカリアン 東京」(東京・渋谷区)2020年)が女性を中心に人気に。神楽坂の住宅街にある「アカアマコーヒーロースターズ トーキョー」(東京・新宿区)はタイ・チェンマイの日本一号店で、タイ産のコーヒー豆を使用しています。どちらの店も2020年開店のニューウェーブ。さらに今年11月には東ティモールコーヒー専門店「ラッシュコーヒー ロースター&ラボラトリー」がオープンするなど、東南アジアコーヒー店巡りができるほどです。

山岳民族によるコーヒー栽培も。ミャンマー産に特化した「アウンコーヒー」

東南アジアのコーヒーが私たちの身近にあることがお分かりいただけたところで、私が注目しているミャンマー産のコーヒーについて探求したいと思います。ミャンマーは、東南アジアで最も北に位置していて、タイ、ラオスに接しています。

ミャンマースペシャルティコーヒー専門店「アウンコーヒー」代表の奥富毅人さんにお話を伺いました。

「アウンコーヒー」 奥富毅人代表。

奥富さんは、長年ミャンマーの農園に足を運び、個人でコーヒー豆を日本に輸入し始め、2020年に同店をオープンされました。

「コーヒーベルト地域の中でも北部に位置するミャンマーは、1500mを超える山が連なっていて、コーヒー豆栽培に適した気候によって、質の良いアラビカ種のコーヒー豆が多く栽培されています。特にミャンマー第2の都市であるマンダレーから車で1時間半ほど行ったピンウールウィンは1100mほどの高地で、コーヒーの町として有名です。ここで栽培されたコーヒー豆が世界へと輸出されてます」と奥富さん。

ピンウールウィンは高冷地特有の気候から、イギリス植民地時代から避暑地として人気があり、「メイミョーコーヒー」という練乳入りのコーヒーが有名で、同店でも提供されています。

イギリス植民地時代の面影が残る佇まいのピンウールウィンのカフェ。

紅茶の盛んなイギリスの植民地であったと聞くと、私はコーヒーよりも「紅茶文化」の色が強く根付いているのでは?と思ってしまうのですが、奥富さんにお聞きすると、やはりそうでした。今でも、町なかには「ラぺイエサイン」と呼ばれる大衆カフェがあり、「ラぺイエ」という甘いミルクティーが飲まれています。少数派のコーヒーの場合もブラックではなく、紅茶と同じく甘くして飲むのが日常です。そんな紅茶文化の国で、どのようにコーヒー産業が行われているのでしょう。

NGO団体の協力によってコーヒー栽培を自分たちの手で!

コーヒー豆自体の栽培は歴史が古く、イギリス植民地時代にさかのぼるものの、スペシャルティコーヒーの栽培が本格的に動き出したのはここ6~7年ほど。

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