食の未来が見えるウェブマガジン

手間を惜しまず価格よく、酒の揃いも二重丸。呑兵衛にとことん寄り添う酒場の名店。


新鮮な魚でつくる気の利いたツマミが揃い、吟味を重ねて女将が選ぶ日本酒のラインナップが潤沢にして的確。酒飲みの「あったらいいね」がきっと揃う名酒場、甘酒横丁にあり!

馬喰町で10年、甘酒横丁に移転して四半世紀。「山葵」が日本橋界隈の呑兵衛を惹きつけて止まない理由は、気の利いたツマミの数々と幅広く揃えられた日本酒の選択眼の的確さだろう。刺身は毎朝豊洲で仕入れる。「日本人は鮮度に敏感。その日のうちに使い切るのがルール」と料理人の木村さん。そのため、一般的には鯵で作られることが多い「なめろう」にはブリやカンパチ、シマアジなどが隠れていることもある。美しく盛り付けられたたっぷりの薬味が味の変化と奥行きを生み、ひと口舐めるごとに楽しい一皿へと昇華する。
季節の白身魚を厨房で練り、砂糖だけを加えて味付けした創業時からの定番「さつまあげ」もいい。噛むたびにうま味が滲み出すので、盃が進んでしまって困るぐらいだ。

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この日の「なめろう」(770円)はブリとカンパチでつくった。味噌をベースに醤油や昆布茶を合わせた味付け。薬味はネギ、赤芽、大葉、茗荷、生姜と見目鮮やかで賑やか。
テリーヌのような盛り付けで意表を突かれる「ポテトサラダ」(610円)。明太子とトビコをゆで卵と合わせたペーストを、ジャガイモとさつまいものポテトサラダが包む。
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「鰯の香味揚げ」(870円)。鰯ベースの自家製ダネに椎茸と人参を加え、海苔で挟んで素揚げに。隠し味の梅の酸味が味わいに差し込み、鰯の風味を引き立てる。
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創業当時からの人気No.1は「さつまあげ」(710円)。上品な甘みのある生地はしっかりとした弾力があり、人参の食感と大葉の香りが小気味よい。揚げたてが絶品だ。

女将が吟味した日本酒のラインナップも幅広い。例えば「さつまあげ」を美味しく味わえる日本酒は?…というような注文にも「私はお酒のことしかわからないから任せてね」と、カラッとした軽口を添えて的確に銘柄を選んでくれるのだから、たまらない。
酒もツマミも女将さんも、呑兵衛にとことん寄り添ってくれる「酒飲みのためのコンビニ」のような酒場。…いい店だなぁ。

山葵

東京都中央区日本橋人形町2-11-4
TEL 03-3666-6977
17:00 ~ 22:00(LO21:30)
日祝第2土休


text 近藤由美 photo 松園多聞

本記事は雑誌料理王国2020年2月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年2月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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