料理王国8月号の特集、「オーベルジュ進化系」。静岡県伊豆市のオーベルジュ ロクワット西伊豆の編集こぼれ話。


取材先で出会った誌面で紹介しきれなかった様々な事柄をお伝えする野々山の編集長日記。料理王国8月号の特集「オーベルジュ進化系」の6件の取材先から、スタッフが届けてくれた編集こぼれ話。第四弾は「ロクワット西伊豆」の取材から、ライターの渡辺由美子さんの便りが届きました! 江戸時代から金山で栄えた温泉地、土肥の大地主の屋敷をリノベーションしたオーベルジュ。源泉掛け流しの露天風呂もあり、ぜひ行ってみたい!!

8月号のオーベルジュ特集の扉の見開きで紹介したダイニング。緑に囲まれた癒しの空間。

大関シェフがアスパラガスを皿に盛りつけ、塩を振る。沼津の井田地区産だというので詳しく聞こうとすると、横にいたスタッフ弓削直豊(ゆげなおと)さんが待ってましたとばかりに、

「僕の母方の家で作っている“おくだ荘の井田塩”です。民宿を経営しているんですが、先代の祖父が文献を見つけて。1500年前、第20代安康天皇の目の病が井田の塩により治ったという。“癒えた”から井田の地名になったとか。それで、祖父が失われていた塩作りの歴史を復活させたのです。日本有数の透明度を誇る海水を汲み上げ、薪で13〜16時間焚く手法です。東京の有名鮨店や料亭でも愛用いただいています」

すきあらばお客さんにも塩愛を語る、人呼んで “塩ボーイ”は、立て塩、いや、立板に水で説明してくれました。リピーターの宿泊客にはオプショナルで塩工房見学ツアーも行っているそうです。また、こちらのサイトで購入可能ですが、製造量が少ないため、数カ月待ちとのこと。

沼津の井田の塩は、製造量が少ないため数ヶ月待ちになることも??
アユの料理には、沼津「ヤマモリ製茶」の緑茶を。

アユ料理には、沼津「ヤマモリ製茶」の緑茶をミルでパウダーにしたものをぱらり。同製茶の緑茶、ほうじ茶、和紅茶はコースの食後のお茶でも提供しています。ちなみに、テーブルウォーターのピッチャーにはクロモジが。高級爪楊枝に使われるクロモジですが、クロモジ水を飲んでみると、ほとんど味はなく、ほのかな香り。この芳香成分は健胃作用があるのだとか。

他に、スマック、デュカ、生コショウ、マカンボ(カカオの仲間)といったエキゾチックなスパイス類や、自家製で乳酸発酵させた野菜(青トマト、ヒゲつきヤングコーン等)、醤油麹などが大関シェフの手元に並んでいました。「主素材そのものはシンプルに調理し、合わせる風味でより印象づけたい」とのことです。

自家製発酵調味料。
井田の塩、沼津の緑茶、海外のスパイス。
クロモジ水の芳香成分は健胃作用があるとのこと。

text: Yumiko Watanabe photo: Hiroyuki Takeda

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