欧米人よりやせ型なのに、患者が急増中 日本人に糖尿病が急増する3つの理由


糖尿病は、油ものや甘いものの摂り過ぎで、太っている人がなるもの、という考えはもう古い。今、肥満が少ない日本人に糖尿病患者が急増しているのだ。そこには、欧米人との体質の違い、そして、昔の日本人との食生活の違いが大きく関係しているという。糖尿病治療の権威であり、栄養学にも詳しい関西電力病院の清野先生に解説していただいた。


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糖尿病はどのように発症するのか

 糖尿病は、肝臓から分泌されるインスリンの分泌が少なかったり作用が低下したりすることにより、摂取したブドウ糖が有効に使われずに血糖値が高くなってしまう症状をいう。一度発症すると治癒が困難なうえ、全身にさまざまな症状を引き起こす、非常に恐い病気なのだ。現在、日本における糖尿病患者は、900万人~1000万人にのぼるという。

 なお、肥満体のほうがインスリンを多く必要とするため、発症リスクは高いが、痩せているから糖尿病にならないというわけではない。

【理由1】インスリン分泌量が少ない

日本人に大量のインスリンはいらないはずだった

 上のグラフは、ブドウ糖を口から摂取した時のインスリン分泌量を、日本人と北欧白人とで比較したもの。同量のブドウ糖に対し、日本人のインスリン分泌量がかなり少ないことがわかる。その原因は、日本人と欧米人の食文化の歴史の違いにある。

 農耕民族だった日本人は米など穀物中心の食事をとり、肉を食べることがほとんどないという、高炭水化物・低脂肪の食生活だった。さらに、とても働き者だったため運動量が多く、炭水化物から得たエネルギーはどんどんと代謝されたので、全体的にやせ型で、インスリンが少量で済む生活を送ってきた。そのため、自然とインスリン分泌量が少ない体質になっていったのだ。

対して、牧畜民族だった欧米人は、一度に大量の肉を食べても血糖値の上昇を抑えられるよう、十分なインスリン量が分泌される体質になっていった。つまり、高カロリーに強い体質を作り上げたということだ。健康診断の通知でもよく見られる、肥満度を示す体格指数「BMI」の基準も異なり、日本人は肥満の基準が25であるのに対し、欧米では30以上に定められている。

分泌量は少なくても効き方は努力で変えられる


インスリンの「分泌量」が少ないのは前述のとおり、食生活という環境により日本人に遺伝的に備わった先天的素因だが、「効き方」がよくないのは生活習慣などの後天的理由だ。したがって食べ過ぎに注意する、運動不足を解消するなど、自らの心がけによって変えられる。


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