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日本橋のアンテナショップを巡って作る ハイブリッド郷土鍋


日本各地の物産館が軒を連ねる日本橋。
日本橋小舟町は「sisi煮干啖」の高山いさ己シェフが、 9県の物産館で名産品を厳選し、新しい鍋料理を開発。

全国の食文化をかけ合わせたら辿り着いたのが「発酵」だった。

「最初に思案したのが出汁でした」と高山シェフ。全国の郷土食材を使って構築する鍋ゆえ、各具材をまとめ上げる力強い出汁が不可欠だった。そこで高山シェフは発酵食品に着目。「発酵の技術は日本各地で発達しており、多くの郷土料理の礎にもなっています。それら食文化から 発酵 という共通項を抽出して出汁をつくれば、様々な食材が共存できる鍋になるはず」。滋賀の鮒寿司、奈良の蘇、山梨の味噌…。そんな、各地の発酵食品を組み合わせた出汁は力強いうま味と綺麗な酸味が特徴的。鹿肉のつみれや真鱈の昆布〆、香味高いせりなどの食材が共存する美味が生まれた。

ハイブリッド郷土鍋の作り方(4人前)

(1) 鍋に1500ccの水を注ぎ、ティーバッグの飛魚出汁3袋を入れて沸騰させる。同時に乾燥した麩を水につけて戻す。
(2) その間にペースト状にした鮒寿司30g、味噌60g、蘇30gをあえる(今回は事前に用意した玉ねぎ、人参、セロリのソフリット100gも加えた)。さらにトマトジュース160ccを加え、沸騰した飛魚出汁の鍋に溶かしこむ。
(3) 鍋の火をとめて適量の干しエビを入れ、味をみながら橙ドリンクで酸味を加えて出汁を完成させる。
(4) 鍋に具材を入れる前に、適量のからすみオイルとかんずり小さじ2杯を混ぜ、つけだれ1を作る。同時に潰した黒にんにく4片と、しょうがジャム小さじ2杯を液体ヨーグルト80ccに混ぜてつけだれ2も完成させる。
(5) 出汁が入った鍋に、せり、しろなの野菜類を適量、鹿肉のつみれ160g、近江牛のもつ400gを入れて、ひと煮立ちさせる。
(6) 野菜類と肉類に火が通ったら、真鱈の昆布〆12切れ、水で戻した麩を入れ、最後に粗くおろした適量の赤大根を鍋中央に添えると「ハイブリッド郷土鍋」の完成。

ハイブリッド郷土鍋の食材一覧

メイン食材

みえジビエ鹿肉のつみれ
三重テラス 624円

ジビエを扱ううえで衛生や品質管理についてのマニュアルを作り、捕獲、解体、加工、販売などの各工程において様々な認定制度を設けている三重県。中でも鹿肉は扱う職人の数も多く、つみれ、ハンバーグなどが特産品として親しまれている。

近江牛もつ鍋セット
ここ滋賀 3,700円

近江牛は400年以上の歴史を持つ三大和牛のひとつ。日本最古のブランド和牛で、きめの細かい肉質と口溶けの良い脂が特徴だ。日本各地で愛されており、もつは煮込んでも柔らかく地元でも入手が困難というほど人気が高まっている。

昆布〆刺身 真鱈
日本橋とやま館 1,800円

江戸時代に北海道から富山県に伝わった昆布〆。その保存法が定着し、今では富山湾の海の幸を昆布〆したものが名産品になっている。真鱈の昆布〆はねっとりとした舌ざわりが特徴的で刺身だけでなく、サラダの食材として使用されることも多い。

会津野沢特産 炭火焼手造り 焼麩 中
日本橋ふくしま館 MIDETTE 463円

催事で食されることが多い西会津町の特産品。生地を巻き付けた棒を回転させながら、3回に分けて炭火でじっくりと焼き上げて作られる。料理のバランスを崩さない優しい味わいのため、様々な食材と一緒に煮込まれる鍋には特におすすめ。

野菜類

せり
日本橋ふくしま館 MIDETTE 時価

福島県相馬市では50年ほど前から栽培を始め、今では仙台市に匹敵する産地となっている。シャキシャキした食感が魅力で、鍋の出汁に爽やかな風味を与える。美味しく味わうコツは煮込みすぎないこと。年間数回しか店頭に並ばない期間限定品。

しろな
奈良まほろば館 232円

古くから関西地方を中心に親しまれているアブラナ科の野菜。苦みやくせが少なくあっさりとした味わいなので、鍋に清涼感を持たせたい際に使われることが多い。サクサクとした歯ごたえも人気で煮物や和え物など様々な調理法で食されている。

からいね赤大根
奈良まほろば館 306円

京の伝統野菜として知られる辛味だいこん。奈良県では中でも辛味の強いこの赤大根が栽培されており、蕎麦やうどんの薬味として人気を博している。出汁を薄めることなく味にアクセントを加えることができるため、鍋料理で使用されることも多い。

鍋の〆

五島手延べスパゲティ
日本橋 長崎館 529円

ハイブリッド郷土鍋の〆には長崎県のスパゲティがおすすめ。三大うどんの1つ「五島うどん」と同じ製法で作られた麺はコシが強く、独特な食感が魅力。原料には五島灘が生み出した「いそしお」が使われており優しい塩味が鍋を洋風に仕上げる。

つけだれに使用

からすみパスタオイル
日本橋 長崎館 1,500円

貿易が盛んだった長崎県では江戸時代から、からすみが食されてきた。1859年創業の老舗が作るこのパスタオイルはパンや野菜とも相性抜群。

吟醸生かんずり6年仕込
ブリッジにいがた 600円

新潟県妙高市生まれの伝統調味料。1月頃に唐辛子を雪にさらし、数日後に掘りだした後天然の塩などと共に熟成。まろやかな辛味と風味のよさが魅力。

プレミアム無糖ヨーグルト
日本橋とやま館 400円

水の宝庫として有名な富山県。地下水が湧き出る環境は酪農に優れ、良質な生乳を作ることができる。その生乳を100%使用したヨーグルトは絶品。

出汁に使用

長崎五島うどん飛魚だしつゆ(5P)
日本橋 長崎館 430円

長崎県で古くから親しまれてきた飛魚の出汁。風味豊かな味わいは、鍋をはじめ様々な料理との相性がよく、素材本来の魅力をひきたてる。

鮒寿し
ここ滋賀 1,000円

琵琶湖でとれるニゴロブナを塩漬けにし、炊いたお米を重ねて発酵させた滋賀県の伝統的な郷土料理。独特な風味があり全国で根強い人気を誇る。

やまごみそ
富士の国やまなし館 442円

米麹と麦麹をあわせて仕込んだ山梨県特有の味噌。ほんのりとした甘味とまろやかな口当たりが特徴的で、鍋や煮込み料理を作る際に重宝されている。

古代の蘇
奈良まほろば館 1,019円

奈良県に都が置かれていた時代に誕生し、かつては位の高い者に献上されていたと言われる高級品。牛乳を煮詰めて作られ、優しい甘味が口に広がる。

パープルトマトジュース
ここ滋賀 565円

滋賀県東部に連なる鈴鹿山脈の地下水が生み出したトマトジュース。トスカーナバイオレットという品種のトマトから作られており深みのあるコクが魅力。

干しえび 大
おいでませ山口館 1,000円

瀬戸内海の自然が育んだ赤えびをシンプルに味付けした山口県の名産品。煮物や酢のものなどに使われており、えびのうま味が料理の味を引き立てる。

飲む橙
おいでませ山口館 1,428円

柑橘系の果物の産地として知られている山口県。橙、夏みかん、柚子の果汁が含まれているこのドリンクは、地元では鍋の付けダレとしても親しまれている。

合わせたい酒

貴 ドメーヌTAKA
おいでませ山口館 2,240円

山口県から世界を目指す「貴」ブランド。爽やかな香りとスムーズで伸びのあるうま味、そしてキレのある余韻が特徴で、発酵食材との相性がいい。山口県から世界を目指す「貴」ブランド。爽やかな香りとスムーズで伸びのあるうま味、そしてキレのある余韻が特徴で、発酵食材との相性がいい。

Barrique Roge 2016
ここ滋賀 2,200円

滋賀県の、にごりワイン専門メーカー「ヒトミワイナリー」で製造。素材のうま味がしっかりと残っており、ぶどう本来の美味しさを堪能できる1本。

SHOP DATA

A 日本橋ふくしま館 MIDETTE
東京都中央区日本橋室町4-3-16 柳屋太洋ビル1F
TEL 03-6262-3977
平日 10:30 ~ 20:00 /土日祝日 11:00 ~ 18:00 無休※年末年始休み

B 三重テラス
東京都中央区日本橋室町2-4-1 浮世小路千疋屋ビル「YUITO ANNEX」1F
TEL 03-5542-1033
10:00 ~ 20:00 無休※年末年始休み

C ブリッジにいがた
東京都中央区日本橋室町1-6-5 だいし東京ビル1F
TEL 03-3243-2840
10:30 ~ 19:00 毎週火休、年末年始 ※火が祝日の場合は営業

D 奈良まほろば館
東京都中央区日本橋室町1-6-2 日本橋室町162ビル1F・2F
TEL 03-3516-3931
10:30 ~ 19:30 無休※年末年始休み

E 日本橋とやま館
東京都中央区日本橋室町1-2-6 日本橋大栄ビル1F
TEL 03-6262-2723(代表)
10:30 ~ 19:30 不定休

F ここ滋賀
東京都中央区日本橋2-7-1
TEL 03-6281-9871
10:00 ~ 20:00 無休※年末年始休み

G 日本橋 長崎館
東京都中央区日本橋2-1-3 アーバンネット日本橋二丁目ビル1F
TEL 03-6262-5352
10:00 ~ 20:00 無休※年末年始休み

H おいでませ山口館
東京都中央区日本橋2-3-4 日本橋プラザビル 1F
TEL 03-3231-1863
10:30 ~ 19:00 ※12月30日は10:30 ~ 15:00無休※年末年始休み

I 富士の国やまなし館
東京都中央区日本橋2-3-4 日本橋プラザビル1F
TEL 03-3241-3776
11:00 ~ 19:30 無休※年末年始休み

高山シェフのプロフィール
高山いさ己(たかやまいさみ)
1975年東京都生まれ。 西麻布の「シェパヴォーブラン」で腕を磨き2002年に渡伊。その後、都内数店でシェフを務め2007年牛込神楽坂にイタリア料理店「カルネヤ」を、2017年日本橋にパスタ専門店「sisi煮干啖」をオープン。


text 松本峻朔 photo よねくらりょう

本記事は雑誌料理王国2020年2月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年2月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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