【漲る!地方食材】長崎県・諫早市「コールラビ」


干拓農地で栽培されている地中海原産の珍しい野菜

「コールラビってまるで宇宙人みたいですよね」と話すのは、長崎県諫早市にある農事組合法人スマイル・ライフの代表理事、吉村輝幸さん。「2年前に種を入手しましたが、馴染みのない形なので『売れない』という意見が圧倒的でした。それでも一度作ってみようと思い、昨年秋に初めて試験的に栽培したんです」

暮れに収穫したコールラビを生で食べてみたら、歯触りも食感もよかった。スマイル・ライフが運営する直売所では約200個が完売。今年は作付面積を広げる予定だ。

長崎県諫早市で2007年からコールラビを栽培していた人がいる。長崎県農林技術開発センター干拓営農研究部門の部門長、木林隆二さんだ。

同部門では、諫早湾の海底土を干し上げた干拓農地で、減農薬栽培技術の確立や農作物のブランド化に向けた栽培技術の研究を行っている。「当時、国内で見かけたコールラビは大半が中国産でした。この野菜を諫早干拓の特産品にできないかと思い、実験栽培することにしたんです」

将来的には首都圏での需要を掘り起こす計画もある。けれどまずその前に、県内でコールラビを栽培してくれる農家を探すのが先決。

「そのためにもこの野菜の食べ方も含め、栽培方法などの情報を発信していこうと思ってます」

白木峰公園(諫早市)から望む諫早湾。その奥には雲仙普賢岳が見える。

【こーるらび】

アブラナ科アブラナ属。地中海北部原産といわれる。語源はドイツ語でキャベツを意味する「コール」と、カブを意味する「ラビ」を合わせたもの。和名はカブカンラン(蕪甘藍。甘藍はキャベツの意)。形や風味はカブに似ているが、キャベツの野生種を改良したもので、茎の一部が肥大し、カブのようになった部分を食べる。日本には明治期に伝わり、球形甘藍と呼ばれていたそうだが、ほとんど普及しなかった。緑色種と紅色種があり、肉色はともに白。初夏と冬に収穫する。ビタミンCの含有量はカブの3~4倍あるといわれる。生食や炒めものにもするが、煮崩れしにくいので煮込み料理にも向いている。

中島茂信・文 高橋仁己・写真

本記事は雑誌料理王国2012年4月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2012年4月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


SNSでフォローする