【漲る!地方食材】島根県・川本町「えごま油」


島根県川本町の新たな特産品優れた機能性を備えるえごま油

韓国料理や焼肉に添えられる、独特の香りがある葉がエゴマだ。その実から搾る油はさらっとして風味がやわらかく、αリノレン酸を多く含み、その機能性の高さも注目されている。島根県では、えごま油やエゴマの葉や実を使った食品を地元の特産品とするため、産官学が一体となって研究を進めている。

そのきっかけを作ったのが「川本エゴマの会」の代表である竹下禎彦さんだ。郵便局員を辞した後に訪れた高山の朝市でエゴマの種を購入し、自分の農地で試しに栽培してみたのが10年前のこと。機能性の高さに以前から興味があったため、川本町の特産品にしようと考えた。生産者を増やすため近隣農家を説いて回り、現在では企業参入も含め、栽培面積は12.5に広がった。

エゴマは病気にも強いため、無農薬での栽培が可能。さらに、化学肥料を使わず、油の搾りかすや米ヌカ、魚粉などの有機物を肥料として与えているため、安全な食材といえる。

エゴマの実は、低温乾燥させてから搾油する。その際、そのまま搾るものと、焙煎してから搾るものがある。好みにもよるが、焙煎したほうが香りが濃くなるという。いずれにも、αリノレン酸が全体の%と多く含まれているのが特徴。体内に摂取されると、青魚などに多く含まれるDHAやEPAに変換される。そのため、畑の青魚と呼ばれることも。

建設業から農業参入した㈱オーサンでは、えごま油だけでなく、エゴマの葉や実を使った商品を多数開発。「えごま葉の青汁」や「えごまだれ」など、人気商品も多い。

㈱オーサンが開発するエゴマ商品は多岐にわたる。

【えごまあぶら】

シソ科の一年草で東南アジアが原産。日本でも縄文遺跡から種や加工品が出土している。岩手県や福島県など東北地方を中心に栽培されている。葉、種、実、それぞれを食用として利用することができ、葉は韓国では焼肉を巻く葉野菜として人気が高い。種はクッキーやふりかけなどに用いるほか、油を搾る素になる。油には、αリノレン酸が%以上含まれており、オリーブオイルやゴマ油など他の油と比較しても圧倒的に含有量が多い。αリノレン酸は、体内で吸収された後、EPAやDHAに変換される。動脈硬化や脳梗塞の予防効果があるほか、アレルギー反応の抑制にも効果があるといわれている。

焙煎したエゴマの実を搾油しているところ。韓国製の機械を導入し、竹下さんが生産者から集荷した実を搾っている。低温乾燥させた実は、そのまま生搾りにするか、焙煎してから搾る。焙煎は、80℃で約10分間加熱し、人肌まで温度を下げてから搾油する。搾油仕立ての泡立った部分を試食させてもらったら、実にクリーミ ーでやわらかなエゴマの風味がふわっと広がった。生産者のみぞ知る味わいだ。

焙煎したエゴマの実を搾油しているところ。韓国製の機械を導入し、竹下さんが生産者から集荷した実を搾っている。低温乾燥させた実は、そのまま生搾りにするか、焙煎してから搾る。焙煎は、80℃で約10分間加熱し、人肌まで温度を下げてから搾油する。搾油仕立ての泡立った部分を試食させてもらったら、実にクリーミーでやわらかなエゴマの風味がふわっと広がった。生産者のみぞ知る味わいだ。

大掛達也・文 飯田徹・写真

本記事は雑誌料理王国2011年6月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2011年6月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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