本記事は、5月7日(木)発売の料理王国6・7月合併号緊急特集「コロナ時代の食の世界で新しい「ものさし」を探しに。」に掲載中の記事から、現在の状況を鑑みて特別に公開するものです。
飲食店のテイクアウトを応援すべく、各地で情報をまとめる有志が現れた。なかでもマップとサイトをひとつに集約させ、全国に輪を広げているのが『#Save the tables! Japan Take Out Map』。発起人3人でスタートしたこのプロジェクトは、現在60名(※取材した4月16日時点)を超すボランティアチームで運営。4月13日からは全国展開となり、店の登録数は2,000件を越している。
第一声を上げた鹿取みゆきさんはワインの世界の人。きっかけは、アメリカで活躍するワインジャーナリストAlice Feiring(アリス・ファイアリング)さんの来日がキャンセルになった折、彼女が書いたブログを読んで「食の循環を絶やしてはいけない」と強く感じたことだ。「こうした危機的な状況下でどういうワインを買うべきか?というテーマで、今は困っている生産者や飲食店を助けるために飲もう、と書いてあったんです」。
さっそく旧知のレストランにテイクアウトの意向を持ちかけると、始める店が続々。取り急ぎ『note』にまとめてTwitterにポストすると、2、 3日で14万を超すリツイートがあった。「これは必要とされる情報なんだと感じました」。
サイト構築にあたって参考にしたのはニューヨークの『somm』。冒頭のマップ、またはサイドナビゲーションの店舗名をクリックすると、レストランから購入できるワインリストが表示され、決済までサイト上で完結。「まずはそこまではいかなくとも、マップとリストが連動というイメージそのままにできあがりました」。
この取り組みは、情報の集約を実現するために日本各地の有志が連携しているのが最大の特長。発起人の1人でソムリエ・一般社団法人ワインアロマセラピー会長の蜂須賀紀子さんは、人を采配するディレクターとして力を発揮。料理人で一般社団法人CookForJapan広報担当の石川雄一郎さんは滅法ウェブに明るかったこともあり、たった半月で全国規模に拡大した。
4月末には、さらに見やすいインターフェースにアップデートし、当初の『Save Restaurants! Tokyo』から現在のタイトルに変更。「今後はテイクアウトできるメニューやオーダーできるURL、店のクラウドファンディング情報、お酒の持ち帰り可否なども集約したい。それと同時に、これからの季節は食中毒なども心配。評価制度とは言わないまでも、掲載店の衛生管理について、最低限の品質が担保されるようなクロスチェック方法も必要。飲食店を通じて、より多くの人々に食を楽しんでもらいながら、飲食店や生産者たちを応援していきたいです」と鹿取さん。
すべては、日本の食の循環を絶やさないため。食べ手・飲み手が作り手に寄り添うことが、コロナの後も自分たちの食を守ることになると信じて、活動は続く。
かとり・みゆき
フード&ワインジャーナリスト。一般社団法人日本ワインブドウ栽培協会代表理事。信州大学特任教授。ワインと食と農業をテーマに取材・研究・執筆等を行う。著書に『日本ワインガイド 純国産ワイナリーと造り手たち』『ワインの香り』『日本ワイン 99本』(共著)など。2020年3月『Save Restaurants! Tokyo Take Out Map』の発起人となる。
Save the tables! Japan Take Out Map
WEB https://save-restaurants.info/
note https://note.com/saverestaurants
twitter @Saverestaurantj
Instagram @saverestaurants_japan
text 佐藤貴子
本記事は料理王国2020年6・7月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は 2020年6・7月号当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。