【新型コロナウイルス特別企画】新型コロナウイルス感染症。その時、日本の飲食店はどう動いた? 「トーキョーギョーザクラブ」 井川裕介さんの場合


本記事は、5月7日(木)発売の料理王国6・7月合併号緊急特集「コロナ時代の食の世界で新しい「ものさし」を探しに。」に掲載中の記事から、現在の状況を鑑みて特別に公開するものです。

□提供方法を変える(テイクアウト/デリバリー/EC)

日本一メロンソーダを売る餃子屋がEC 1週間で月間売上6 割を達成した理由

「御礼。EC立ち上げから1週間で店舗月間売上の6割強を達成しました!皆様のご支援に感謝申し上げます!!ECにまだ不慣れな部分もあり、一部のお客様にはご迷惑をおかけしたりと全てが順調という訳ではありませんが引き続き誠心誠意対応させて頂く所存です。ちなみにBASEのショップランキングは737位まで上昇しました!どうゆうロジックなのかはわかりませんがランキングも楽しみながら頑張っていきます!」

 そんな文面が飛び込んできたのは4月10日、「トーキョーギョーザクラブ」のFacebookだ。店の立地は神田の喧騒から外れたオフィス街。ともするとスーツ族ばかりになりそうなこの立地で、20代の女性を中心にInstagramやTwitterでも話題になっていたのがこの中華バル。事実、2019年12月のオープンから3カ月で「コロナ前は店が開く前に行列ができるほどでした」と、運営会社wackwack creative代表の井川裕介さんは振り返る。

 そんな同店が店を閉め、ECに舵を切ったのは4月1日のこと。居住者が少ないテイクアウトには不利な立地から、このまま営業を続ける選択肢はなかった。ECサイトが簡単に作成できるサービス『BASE』を使い、在庫はなくともウェブショップをオープン。カッコつけずにストレートなメッセージをSNSに投稿し、開けた結果が冒頭の「御礼」である。

 そんな同店が店を閉め、ECに舵を切ったのは4月1日のこと。居住者が少ないテイクアウトには不利な立地から、このまま営業を続ける選択肢はなかった。ECサイトが簡単に作成できるサービス『BASE』を使い、在庫はなくともウェブショップをオープン。カッコつけずにストレートなメッセージをSNSに投稿し、開けた結果が冒頭の「御礼」である。

『BASE』を利用し、2日でオープンしたECサイト。点心類はOEMでの製造だが、中華調味料の輸入商社時代の経験を生かし、井川さん自身がレシピ作っている。

 しかし、ヒットは偶然ではない。実はこの店、これまで販促費は一切かけていない。集客のために井川さんが考え続けてきたのは「お客さん1人1人がSNS等にアップしてくれるサイクルをどう作っていくか」ということ。ロゴ入りのグラスはその象徴。全席を壁に面したレイアウトは、グラスをキレイに撮れる仕掛けのひとつ。ここで餃子や焼き小籠包とともにオーダーされるのは、ビールではなく、このグラスに入ったクリームソーダだ。

 中国のちょっと怪しい料理店をイメージしたネオンや、ゆるいキャラクター「好吃おじさん」など、どこか楽しい気分になれて、ツッコミどころを残しているのもコミュニケーションポイントとなっている。「カッコいいのってさんざん出尽くしているじゃないですか。胡散臭い空間でクリームソーダみたいなノリ、ゆるさとダサさみたいなのが、うまくハマってくれました」。

一番人気のクリームソーダ(右)とガリサワー。「今、Instagramのストーリーに流れているのは、かつての自撮りではなく、店のちょっとした風景や料理が主流。画像が1人歩きするようなクリエイティブを作ろうと狙ったのがグラスです」。

 通販でいち早く買ってくれたお客さんは、知り会いに留まらず、店に来たことがある方、地方なので行けないという方も。急なEC切り替えにも関わらず、お客さんがついてきたのは、これまでのコミュニケーションの結果といえるだろう。今は店売りでも好調だったグッズの新規開発も検討しつつ、もともと視野に入れ、店舗多忙で取り掛かれなかったECを構築する機会ととらえている。

いかわ・ゆうすけ
美容師、中華調味料の輸入商社を経て、幼少のころ住んでいたオーストラリアのバーベキュー文化の楽しさを日本に広めるべくREALBBQを設立。1日1組貸切の「REALBBQ PARK」、ビアガーデン型BBQ場「REALBBQ GARDEN」を展開しつつ、OZラムを広めるラムバサダーとしても活躍する。2019年、初のレストラン事業となる「トーキョーギョーザクラブ」をオープン。

トーキョーギョーザクラブ
東京都千代田区神田司町2-17-10
TEL 080-6746-5882
17:00 ~23:00
土日休
※現在は営業自粛中。ECのみ稼動
EC https://tokyogyozac.official.ec/
WEB https://linktr.ee/tokyo.gyoza.club
twitter @tokyogyozaclub
Instagram @tokyo.gyoza.club


text 佐藤貴子

本記事は料理王国2020年6・7月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は 2020年6・7月号当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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