食の未来が見えるウェブマガジン「料理王国」

職人の技と経験が最高のモッツァレラを生む


受け継がれてきた味と質

イタリア南部の中心都市ナポリから北へ約30キロ。ラツィオ州との州境に位置するカゼルタ県は、ナポリ王国の王宮で、世界遺産にも登録されたカゼルタ宮殿があることで広く知られる。このブルボン家の豪壮な王宮と庭園に勝るほど世界中に名を馳せるものがある――。「モッツァレッラ ディ ブッファラ」である。

生地の練り上げを素早い手つきで行うマッシモ・ポンティコルヴォさん。90℃近い温度にまで上がったチーズとの格闘に、汗がにじみ、乱れた息づかいが工場内に響く。

湿地帯の中、のんびりと過ごす水牛たち。カセイフィーチョ ポンティコルヴォ社では現在約15軒の農家から水牛乳を仕入れている。古くは40年の付き合いになる農家もあるという。

『モッツァレッラ発祥の地カゼルタ県から
伝統的な製法を受け継ぎ世界へ発信する』

湿原地帯が広がるカゼルタ県では、古くから水牛の飼育が盛んで、モッツァレッラが作られていた。近年では牛の乳から作るモッツァレッラタイプのチーズも生産されるようになり、「モッツァレッラ ディ ブッファラ(水牛乳)」と「フィオーレディ ラッテ(牛乳)」に区別されている。今回訪れたのはカゼルタ県の中心にあるコムーネ(自治区)・アルヴィニャーノにあるカセイフィーチョポンティコルヴォ社だ。

カセイフィーチョ ポンティコルヴォ社はアルヴィニャーノの中心地へ向かう幹道
沿いにある。

桜の木でできた桶と使いこまれた杓子。チーズの練り上げをこうした道具を使っている工房はイタリアでも珍しい。

「我が家の宝」と呼ぶホエー。Ph16~17、10℃で保管するホエーには、その日に出たものを少しずつ継ぎ足す。そのため製造所独自のホエーができ、それがその家のチーズの味を作る。

ポンティコルヴォ家は1960年代にナポリ湾南岸、ソレント半島の先端近くにあるコームネ・ソレントから移り住んできた。先代のアントニーノさんの妻ジュセッピーナさんと、二人の息子マッシモさんとルカさん。ふたりの長男の名前はともにアントニーノ。南イタリアの伝統に従い祖父の名前を引き継いでいる。

あせりは禁物 練り上げの一瞬を待つ


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