多くの料理人が海を渡り、本場で洗礼を受けるなか、イタリア料理のDNA は日本人の中でじっくりと確実に育まれてきた。
本場の味にふれて多くを学んだシェフたちの次なる目標は、進化――。
豊かな感性と考え抜いた流儀で新たなおいしさを追求し続ける。
イタリアの伝統と最新技術の融合
郷土料理の基本を崩すことなく、現代的な調理法や
食材同士の共鳴を大切にしたい。
「ヤマガタサンダンデロ」秋田和則
山菜を練りこんだカネデルリ
~サクラマスの43℃調理と孟宗筍の風味をのせたクレマの泡~
白い泡のソースの下には、緑色のディルオイルに浮かぶように色鮮やかなサクラマスが。山間の渓流とそこに棲むサクラマスをイメージしたという。
材料 (1人前)
カネデルリ(15g)……8個
バター風味のディルオイル(E.V.オリーブ油とバター、塩、ディルの葉を80℃ぐらいで加熱。ミキサーにかけてからキッチンペーパーで濾す)……15ml
43℃で調理したサクラマス……25g
孟宗筍の風味をのせたクレマの泡……適量
●カネデルリ(作りやすい分量)
自家製クルミパン……100g
牛乳……90ml
アマドコロ……130g
アイコ……120g
全卵……1個
薄力粉……40g
グラーナ・パダーノ……25g
ナツメグ……適量
塩、コショウ……少量
●孟宗筍の風味をのせたクレマの泡(作りやすい分量)
孟宗筍……40g
タマネギ……100g
マッシュルーム……30g
ベーコン……15g
スペック……100g
ニンニク……3g
牛乳……130ml
生クリーム……260ml
白ワイン……25ml
コンソメ……40ml
孟宗筍のゆで汁……70ml
E.V.オリーブ油……15ml
タイム……2枝
ホットエスプーマの粉……19g
塩…少々
作り方
● カネデルリを作る。
- クルミパンをざく切りにして一旦乾かし、牛乳をしみこませて上から重しをのせて冷蔵庫で一晩おく。
- アイコは塩ゆでし、アマドコロは焦げ目がつくまでフライパンで煎る。冷めたら、食感が残る程度の粗みじんに切る。
- 全卵に、グラーナ・パダーノ、ナツメグ、塩、コショウを加えて混ぜる。
- 2と3、つぶしてほぐした1を混ぜ、薄力粉
- を加えて生地を作る。15gのポール状に成
- 形する。
● 孟宗筍の風味をのせたクレマの泡を作る。
- フライパンにピュアオイルとベーコンを入れて、ベーコンが色づくまで中火で炒める。
- 1にニンニク、タマネギを入れて塩をふり、タマネギがしんなりするまで炒める。
- 2に白ワインを入れて酸味がなくなるまで煮詰めたら孟宗筍の煮汁を加えて、沸騰後、孟宗筍とマッシュルームを入れる。
- 3にコンソメ、牛乳、生クリームを加えて少し煮詰めたら、冷ましておく。
- 4にスライスしたスペックとタイムを入れて真空 用袋に流し込む。真空にしたら70℃のウォータパスに入れて3時間じっくりスペックの風味をつける。
- 5の中身を濾してホットエスプーマの粉を加えてミキサーに。これをサイフォンに入れてガスをセットする。
- 鍋に60℃くらいのお湯をはってサイフォンを温める。
● 山菜を練りこんだカネデルリを仕上げる。
- 皿の中央に常温のディルオイルを注ぐ。
- サクラマスを適当な大きさにカットして、1の上にのせる。
- 適量の塩を入れた熱湯でカネデルリをゆでて皿に盛る。
- 温めたエスプーマを、サクラマスを覆うようにフォームする。
トスカーナの風土と時代が求める軽さを表現
雑味のないトマトソースとふわっと軽やかな食感のニョッキは、約16年のイタリア生活の1つの答え。
「ラ・トラットリアッチャ」河合鉄兵
フィレンツェ風ニョッキのラグーソース
「漁師と猟師 ジャガイモのスープ」に使ったのも乾麺のキタッラ。エビと鶏肉の風味が融合したパスタは絶品。ローストしたジャガイモの香ばしさとハーブのきいたスープがよりふくよかな味わいに。
材料 (1人前)
ニョッキ……150g
ラグーソース……150g
ローズマリー……1本
パルミジャーノチーズ、パセリ、E.V.オリーブ油、塩、コショウ……適量
●フィレンツェ風ニョッキ(8人前)
ジャガイモ(男爵)……1㎏
薄力粉……200g
パルメザンパウダー……100g
卵……1個
塩……8g
ナツメグ、コショウ……適量
●ラグーソース(10人前)
牛ひき肉……700g
豚ひき肉……300g
タマネギ……500g
ニンジン、セロリ……各200g
ニンニク……5片
赤ワイン……300ml
フォン・ド・ヴォー……200ml
セージ、ローズマリー……各20g
ローリエ……3枚
ホールトマト(水分含む)……1㎏
塩、コショウ、E.V.オリーブ油……適量
作り方
● ニョッキを作る。
- ジャガイモをゆでで、冷たくなるまで冷ましてマッシャーにかける。
- 1にふるった薄力粉(マッシャーにかけた後のジャガイモの分量の20%が目安)、パルメザンパウダー、卵、塩、コショウ、ナツメグなどを入れて混ぜ合わせる。つながりが悪い場合は少量の薄力粉を加えて調節する。
- 少量の打ち粉をしながら、直径1.5㎝ほどの棒状にのばし、1㎝の長さにカットしてバットにならべ急速冷凍する。
● ラグーソースを作る。
- フライパンでひき肉をパラパラになるまでしっかり炒める。
- 鍋にE.V.オリーブ油、みじん切りにしたタマネギ、ニンジン、セロリ、ニンニク、ローリエを入れて弱火でしっかり炒めてソフリットを作っていく。
- 2に1を入れて炒め、塩、コショウで味付けをしたら、赤ワインを入れて少し煮詰める。焦げないように注意しながらしっかりと炒めてコクを出す。
- ホールトマトを液体ごとミキサーにかけたものとみじん切りにしたローズマリー、セージ、フォン・ド・ヴォーを3に加えて弱火で3時間ほど煮る。水分が足りなければ、水を足しながら加熱する。
- ローリエを取り出し、塩、コショウで味をととのえる。
● フィレンツェ風ニョッキのラグーソースを仕上げる。
- 塩分1.5%ほどの湯の中でニョッキをゆでる。
- 鍋にラグーソースとローズマリーを入れて熱し、ゆで上がったらニョッキを入れてからめる。
- 2を皿に盛り、適量のパルミジャーノチーズ、パセリ、E.V.オリーブ油、コショウをふる。
ニンニクのきいた
ピリ辛トマトソースのスパゲッティ
「ラ・トラットリアッチャ」の人気メニューの1つ。イタリア産トウガラシの辛味がきいたクセになる味。
材料 (1人前)
スパゲッティ(乾麺)……80g
自家製トマトソース……130g
ニンニク……10g
赤トウガラシ……1~1.5本
パセリ、E.V.オリーブ油、パルミジャーノチーズ……適量
●トマトソース(作りやすい分量)
ホールトマト……2.5kg
タマネギ……大1個
ニンジン、セロリ……各1本
ニンニク、E.V.オリーブ油、塩……適量
作り方
- 自家製トマトソースを作る。鍋にE.V.オリーブ油、ニンニク、適当な大きさに切ったタマネギ、ニンジン、セロリを入れて炒める。ホールトマト、塩を加えて煮込んだら、セロリとニンジンは取り出してミキサーにかける。
- フライパンにE.V.オリーブ油、ニンニク、赤トウガラシを入れて温める。
- 香りが立ってきたら、パセリと自家製トマトソースを入れて加熱し、ゆで上がったスパゲッティを入れてからめる。
- 3を皿に盛り、パルミジャーノチーズ、E.V.オリーブ油をふる。