鮮やかなブルーで目をひくものが多い、イタリアのパスタのパッケージ・デザイン。そこには何か理由がありそうだ。各社にパッケージ・デザインにまつわる話を聞いた。
パスタ工場の規模が小さく、個人商店での販売が主流だった17世紀頃、パスタの包み紙はブルーだった。「水色よりも薄い色、カルタ・ダ・ズッケロ(砂糖の包み紙)と呼ばれ、砂糖やたばこの包装にも使われていました。当時一番安い紙だったそうです」(バリラ社)。やがて各社各様のパッケージが誕生しても「買う人が、昔の包み紙の色からパスタを連想しやすいように」(バリラ社)というのが、ブルーを採用する会社が多い理由のようだ。
また、パスタの聖地といわれるナポリ近郊のグラニャーノの各社からは「地元の手漉き紙の色」(アフェルトラ社)「空と海の色」(ヴィエトリ社)など、地域の風土を思わせる理由が挙がった。ブルーとはいってもご覧のとおり、各社のトーンはさまざま。全体の傾向として、古いパッケージで多かったペールブルーは、時代とともに色鮮やかなブルー、深いブルーへと変化している。
1886年創業。2000年にパッケージを改訂。ブルーのグラデーションで、社名のバックにモダンで目立つ青を配した。
1876年創業。「ディ・ノーラ社」にネクタイで有名なマリネッラ社が経営参画。マリネッラのイメージカラーがこのブルー。
1953年トスカーナ州ポンテデーラで創業。トスカーナでは、ナポリほどブルーのパッケージは多くないとか。同社は卵麺専門。
1848年創業。5年前より現行のパッケージ。ブルーは、グラニャーノ近郊のソレントに伝わる伝統的な手漉き紙の色に由来。
1908年創業。6年前より現行のパッケージ。現在のロゴは赤とブル ーだが、1900年代初頭はペールブルー、一色だった。
1877年創業。同社のブルーは「バリラ・ブルー」といわれ、時代とともに鮮やかに。2003年に最新のデザインになった。
1890年創業。ブルーは地中海と青空の色。パスタを天日干しした時代の空の色がパッケージに反映されたといわれる。
本記事は雑誌料理王国第183号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第183号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。