料理人2人がテイスティング!プラントベースミルクとの付き合い方


──今回、「タイガーナッツミルク」もラインナップに入れてみました。

森枝 この「EcoMil 有機タイガーナッツミルク」はタイやベトナムなど東南アジアの豆乳みたいな味がします。どこかヤクルト系飲料の味わいに近く、懐かしい感じ。

井口 微妙に酸味もあって。ごぼうなどの根菜の味がする。

森枝 タイガーナッツって、「ナッツ」ではなく根菜なんですね。これを料理に使うなら、意外とウニとかに合いそう。あとはカニの内子(卵巣)の部分に合わせても。

井口 これでスクランブルエッグとか作ってもおいしそう。

──続いてオーツミルクを。

井口 オーツミルクは、どれもおいしいですね。

森枝 うん、全部おいしい。確かにコーヒーに合いそう。

井口 「ブリッジ オーツドリンク」がアイスラテで、 「イソラビオ オーガニック大麦ミルク」がホットラテに向いているように感じます。うちの店でもカフェラテには「BRIDGE ~」に近い味わいのオーツミルクを使っていて、アイスをおすすめしています。

森枝 ちなみにライスミルクに関しては、正直、どれもそれほど大きな味の違いは感じられませんでした。(編集部注:テイスティングの中にライスミルクも入れたが、ブランドによる味わいの差があまりなかったため、下記のリストからは除外)米なので、同じ穀物であるオーツと似た感じなのかと思いきや、オーツの方が 断然、穀物らしい風味を感じましたね。

味のボリューム”を増やすのにプラントベースミルクは重宝する料理よりカクテルに合うかな

──ひととおり振り返ってみると、今回は極力、素材そのもので構成されている製品を選定するよう心がけましたが、ひまわり油をはじめ、油脂分で味を調整しているものが多かったですね。

森枝 乳製品の代替品として生まれた背景を考えると、そういう流れになるのかもしれません。だからこそ、成分が調整されていることを前提に料理に使うのであれば、それはそれで時代に則した、理にかなった使い方だと思います。
逆に、僕たちプロの料理人がミルクの代わりとして料理に使うには、まだ難しい段階だと思います。その点、同じ植物由来でもココナッツミルクは代替品としてではなく、ココナッツミルクとしての使い方がすでに食文化として定着していますよね。

──プラントベースミルクを“どんな文脈で使うか”が重要になると。

井口 そうですね。ちなみにうちの店では、ラテに合わせるアーモンドミルクには、あえて香料が効いているものを選んでいます。試作段階ではオーガニックのものや添加物が入っていないものも試しましたが、アーモンドを使う必然性を考えたら、ロースト系のアーモンドの香料が入っている方がいい。お客さんが飲んだ時にアーモンドの味を感じられることが大切だと思います。

森枝 その考え方、よくわかる。ストレートに味を伝える方が、プラントベースミルクを使う意味が出るよね。一方で、さっき井口くんが話していたオマールエビと生のアーモンドペーストの話みたいに、ナッツの生のエッセンスを料理に取り込めるのであれば、ガストロノミーの文脈でプラントベースミルクを取り入れることもできる。
たとえばココナッツの内側の胚乳の部分や、梅干しの種の芯の白い部分を使うような感覚で、オイスターなど生の魚介類に合わせたり、肉の骨髄と合わせるとか。

井口 フランスだと、フレッシュなアーモンドが手に入るから、それをごく薄くスライスして、仕上げに 料理の上にパラッとのせるような感覚です。

森枝 そうそう。今回試したなかでは、そんなふうに最終的な味の着地点を描けるプラントベースミルクが「無添加 濃いアーモンドミルク」でした。


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