【厳選】トップシェフに学ぶ自家製の食肉加工品


アンドゥイエット

あめ色になるまでソテーしたタマネギとジャガイモを炒め、酢でデグラッセした「ポム・リヨネーズ」(リヨン風ポテト)を添える。コクのある酸味がまろやかなソースの口直しに。「アンドゥイエットのグリエ」1800 円

「内臓はフランス地方料理のコア。素材が〝本物の味〞に近づく工夫を」

豚の内臓を腸に詰めたソーセージ「アンドゥイエット」のグリエ。フランスではリヨン周辺やロワールなど、多くの地方で見られる食堂の定番料理だが、店によってはかなり香りがきつく、苦手という人も多いだろう。

「サラマンジェ ド イザシワキザカ」の「アンドゥイエットのグリエ」は格別。カリッと焼けた皮にナイフを突き立てると、丸みのある内臓の香りとともに、肉汁があふれ出す。マスタードの酸味、クリームソースと調和して、止まらないおいしさ。しかし、「アンドゥイエット好きだと臭みが足りないかもしれない」と、シェフの脇坂尚さん。脇坂さんが修業したリヨンのアンドゥイエットは、良くも悪くも内臓の香りが強かった。

「日本の内臓は質がいい」と脇坂さんが語るように、日本のモツは屠畜場でていねいに、清潔に処理されるため、臭みの強いタイプには仕上がらない。それでも、同店のアンドウィエットに内臓の旨味があるのは、脇坂さんが仕込み段階で細かい調整をするためだ。

まずフランスと違ってヴィネガーでの内臓の下ゆでを行わず、タマネギ、ニンニク、マスタード、白ワインで24時間マリネする。そこにつなぎとして豚ひき肉を合わせ、セージやキャトルエピスなどのハーブ、スパイス類を加えて小腸に詰めたのち、約10日間熟成をさせてから80℃で30分間ゆでる。マリネの時間を長めにし、熟成後に調理することで、肉の臭みとは異なる旨味を引き出している。

アンドゥイエットはゆでたあとに、冷蔵庫で7日間保存可能。リヨン風はデイジョンマスタードが入る。

グリエしたアンドゥイエットの断面。つなぎの豚挽き肉にも旨味が染み込んでいる。

脇坂 尚さん

1963 年北海道生まれ。稚内市のホテルで副料理長を務めたが、39 歳で仏・リヨンに留学を決意。帰国後、2006 年「サラマンジェ ド イザシワキザカ」をオープン。

サラマンジェ ド イザシ ワキザカ
東京都港区虎ノ門1-11-5
● Phone 03-6903-6730
● 17:00 ~ 23:00LO
●月曜、第2・第4日曜休
●ディナー 5000 円前後


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