世界中の料理と引き合い、新たな魅力を提示するアルザスワインは、日本においてもシェフたちの感性を刺激している。この動画では、毎回3種のアルザスワインをテイスティングしながらその可能性を探っていく。
「香りからだけでも清涼感、フレッシュ感。エレガントさや華やかさが伝わる」(大越氏)。生き生きと快活な香りはアイシュベルグのテロワールを見事に反映。引き締まったテクスチャーの中に凝縮した果実がしっかりと詰まり、余韻も長く続いていく。
香りも味わいのバランスと凝縮感。蜂蜜、コンポ―トしたアプリコット、パイナップルにライチの余韻とアロマも複雑。「噛み応えがあるほどの凝縮感はグラン・クリュならでは。リッチで豊かだが、酸によって味わいの抜け感がいい」(大越氏)。
「香りからすでに甘やかで柔らかい。アロマティック」(大越氏)。その中にゲヴルツトラミネールらしいスパイス感も。味わいは少しオフドライで、その甘やかさと酸味とのバランスが心地よいほろ苦さによって引き締められ、繊細な辛口ワインに仕上がっています。
さんまを使った料理。ワイン自体に華やかな香りがあるので、身近な食材、家庭料理でも引き立ててくれる。さんまを揚げることで、油脂分、焼き目をつけ、グラン・クリュレベルのワインのコクとバランスを合わせながら、豊かな酸との相性から、ヨーグルトと白みそをあわせた。
アルザスは土壌とぶどうの組み合わせが多彩。特にグラン・クリュでは土壌形態の違いがキャラクターに良く出ます。ですからどのグラン・クリュにするかという選び方ができます。またグラン・クリュの力強さは魅力的ですが、AOCアルザスは、わかりやすくぶどうの個性が楽しめるので、料理の強さにあわせてどちらを選ぶかも楽しいものです。今回の料理では、揚げたことで油脂分が多くなり、また焼き目のコクもあるのでグラン・クリュとの力関係がいいですね。(大越氏)
アルザスワインは多彩だからこそ難しいという感覚もありました。でもだからこそ楽しい。今回のような日本酒に合うおつまみにアルザスワインをあわせる面白さ。実はいろいろな角度から楽しめるんです。ゲヴルツトラミネールでいえば、甘やかという一言では片づけられない世界。リースリングも酸度は高いけれど、ちゃんとやさしくきれい。食欲を刺激し料理への発想も刺激されるワインたちです。一言添えるとすれば、温度帯。そんなに冷やさないほうがむちゃくちゃうまい。温度の違いでも料理の幅が出るでしょう。(小田島氏)
【知られざるアルザスワインの世界】動画はこちらから!
https://www.youtube.com/watch?v=feXhUD8zm2g
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Text:Daiji Iwase Photo: Yusuke Onuma
紀元1世紀からローマ人により導かれ、何世紀にもわたり発展を遂げてきたアルザスワイン。東をライン河、西をヴォージュ山系に挟まれたアルザスは、北部に位置しながらも気候に恵まれ、南北100km、東西1~5kmの1万5000haの畑から年間約95万hlのワインが生産されている。そのワインは基本的に単一品種でつくられ、生産量のおよそ90%を辛口白ワインが占める。生産量の1/4強にあたる甘口白ワイン、赤ワイン、スパークリングワインにも根強いファンが多い。そのピュアで繊細な味わいは、世界中の人々から愛されている。