世界中の料理と引き合い、新たな魅力を提示するアルザスワインは、日本においてもシェフたちの感性を刺激している。この動画では、毎回3種のアルザスワインをテイスティングしながらその可能性を探っていく。
第一回はこちらから。
ソムリエとシェフが語り合う。アルザスワイン×食の至福 第1回 和食(割烹小田島)
https://cuisine-kingdom.com/alsace001
AOC クレマン・ダルザス NV
≪キュヴェ・プレステージ≫ミューレ
AOC Crémant d’Alsace NV « Cuvée Prestige », Muré
「イースト系の香りから、ナッツ、ほんのりキャラメル、クミンのようなスパイス。泡もキメ細やかでなめらか、フレッシュな酸ながら味わいは複雑」(大越氏)。食前よりもむしろ食中で味わいたいスパークリングワイン。
AOC アルザス シルヴァネール 2019
≪オリジン≫ドメーヌ・ジャン・マルク・ドレイヤー
AOC Alsace Sylvaner 2019 « Origin », Domaine Jean Marc Dreyer
いわゆるアンバー、オレンジ系のワイン。特殊な醸造方法で生産されたアルザスワインで「アプリコット、紅茶、ウーロン茶、オレンジピールなど独特の香り。ナチュラルワインのアプローチならではの良い滋味深さがあって、うま味が広がる」(大越氏)。
AOC アルザス リースリング 2019
カーヴ・ド・テュルクハイム
AOC Alsace Riesling 2019, Cave de Turckheim
軽やかでフレッシュ。ライトな感覚ながらリースリングらしさは存分に。場所や造りで力強さが変わるというのもアルザスの多様性。「料理は力強いものだけではありません。このようなスタイルがあることで幅広く合わせられる」(大越氏)。
あっさりした身が魅力の秋の鮭。それを油脂分が豊富なパイに包んで、バターソースで仕上げた。フランス料理の王道ではあるが、ソースにシルヴァネールやヴェルモット酒を使い味わいを、またレモンのコンフィで爽やかさに、また、パイの焼けた香ばしさとクレマンとのテクスチャーなど随所にアルザスワインの要素と惹き合わせた。繊細な鮭そのもの味わいがあるからこそ複雑さが活きる、軽やかでも丸みのある一皿。
和食の回では土地の個性、テロワールの豊富さに着目しました。今回はアルザスの「スタイルの違い」という多様性が楽しめます。例えば、力強さに対するライトさ、スパークリングワイン、そしていわゆるオレンジワイン、ナチュラル、オーガニックなワイン造りへのアプローチ。イージートゥドリンクでフードフレンドリーであるワインから、地味深さやうまみの重なりのわるワインまで、これもアルザスならではの多様性です。クレマンとパイ生地との食感と香りのハーモニー、シルヴァネールとソース、それぞれのうま味の相乗効果など、今回も愉しい発見がありました。(大越氏)
当初思い描いていたアルザスの典型的なスタイルではなく、初めて味わうようなものがあって、ワインそのものも楽しいですし、料理を考える上でも楽しかった。アルザスの伝統的料理もありますが、これだけの個性があればそこだけにこだわる必要もありません。一つの料理でも、そのいろいろな要素、部分とワインを合わせることができますし、イメージを膨らませて料理を考えることができます。和食、フレンチ、中華と3回にわたって紹介される意味がわかります。また、質は高いですが、食事と合わせて気兼ねなく楽しめるというのも魅力でしょう。(中村氏)
【知られざるアルザスワインの世界】動画はこちらから!
https://www.youtube.com/watch?v=TbyhOnN00g8
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Text:Daiji Iwase Photo: Yusuke Onuma
紀元1世紀からローマ人により導かれ、何世紀にもわたり発展を遂げてきたアルザスワイン。東をライン河、西をヴォージュ山系に挟まれたアルザスは、北部に位置しながらも気候に恵まれ、南北100km、東西1~5kmの1万5000haの畑から年間約95万hlのワインが生産されている。そのワインは基本的に単一品種でつくられ、生産量のおよそ90%を辛口白ワインが占める。生産量の1/4強にあたる甘口白ワイン、赤ワイン、スパークリングワインにも根強いファンが多い。そのピュアで繊細な味わいは、世界中の人々から愛されている。
アルザスワイン公式サイト
https://www.vinsalsace.com/jp/