【厳選】トップシェフに学ぶ自家製の食肉加工品


カルネ・サラータ

薄切りのカルネ・サラータにウズラ豆と赤タマネギの薄切りを合わせ、オリーブオイルをかける。「チロル風サラダ1600 円」

「日本の風土に合う加工肉を選び現地そのままの味わいで出す」

イタリアの各地方を回って修業するシェフが多いなかで「イカロ」のシェフ、宮本義隆さんは、トレンティーノ=アルト・アディジェ州のリストランテにあえて約5年間とどまり、同地の郷土料理を見続けた。長期滞在で見えてくることがあると考えたからだ。こうして現地の郷土料理を完全にマスターした結果、ユニークな郷土料理でも「現地の環境、気候、風土で食べるから旨いものもある」と考えるに至った。加工肉についても同様の考えで、さまざまな種類の中から、日本の気候や日本人の口に合うと考えて選び出したのが、この「カルネ・サラータ」である。

端的にいえば牛肉の塩漬けであるため、肉そのものの旨味を味わえる。ポイントは牛肉の選び方。赤身の旨さを味わう加工肉なので、できるだけ脂身のない肉を選ぶ。宮本さんはいろいろな部位を食べ比べた結果、脂肪分の少ないグラスフェッド(牧草肥育)牛の「北里八雲牛」を選んだ。

そのなかでもとくに運動量が多く、脂身が少ないモモの外側の部位「シキンボウ」を使う。イタリアではジレッロと呼ばれている部位で、カルネ・サラータや挽き肉にする。宮本さんは、塩と香草で10日間マリネし、洗ってから周囲を切り落として使う。赤タマネギとウズラ豆を合わせるのも現地では定番の組み合わせ。噛み締めていると、塩漬け肉ならではの酸味とまろやかな旨味が口の中に広がり、牛肉の味わいを堪能できる。

塩漬けした肉は、真空パックにして冷蔵庫に入れておくとよい。宮本さんは2~3週間以内に使い切ってしまう。

宮本 義隆さん

1974 年横浜市生まれ。渡伊後、7年のうち5年間をトレンティーノ=アルト・アディジェエ州のリストランテで過ごす。帰国後、08 年に「イカロ」をオープン。

イカロ
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