【厳選】トップシェフに学ぶ自家製の食肉加工品


豚バラ肉の北京風干し肉

アオハタのカマに、ネギと薄切りにした干し肉を加え、ハスの葉で包んで中火で15 分間蒸す。干し肉の旨味に負けないよう、身のしっかりした魚を選ぶ。「古法蒸魚 コッポウツェイユイ」5000円

「素材と加工肉の旨味の相乗。
中国料理の伝統技術を伝えたい」

金華ハムや腸詰め、干し肉などの加工肉は、中国の家庭でもレストランでも非常になじみ深い食材。しかし、料理長の小林武志さんによれば、加工肉を自家製し、それとともに魚を蒸すという、今回のような伝統的な調理法を採用するレストランは、現地でも減っているとのこと。

「20年以上にわたって、香港のレストランを毎年『定点観測』していますが、手がかかるためか、自家製で加工肉を作る店は少ないですし、こういった調理法も減っています」

だが、加工肉には生肉とはまた異なる旨味がある。とくに今回の「豚バラ肉の北京風干し肉」のように、味わいがギュッと濃縮した赤身の部分と、まろやかな脂身の組み合わせは、水分が抜けて味が凝縮した加工肉ならではの醍醐味だ。小林さんは「乾燥や燻煙は素材から旨味を引き出す手段」と考えており、店舗では魚も含めて常時5〜6種類の自家製加工品を常備する。干した肉に、茶葉とハス
の葉、ザラメで燻製をかけてさらに豪華に、複雑な旨味を加えることもある。

今回は、バラ肉を醤油と酒に4〜5日間漬け込んでから1週間ほど干す「北京風」に仕立てたが、よりスパイシーに仕上げる「客家風」なども作る。いずれも肉の厚みや肉質、季節によって水分の抜け方が異なるので、随時様子を見ながら加減する。加工時には加熱しないため、調理時の加熱は必須だが、その際に脂身に透明感が出ていれば、成功だ。

バラ肉は味を染み込ませてから干し、ラップ紙に包んで約30 日間は冷蔵保存が可能。

小林 武志さん

1967 年愛知県生まれ。「大阪あべの辻調理師専門学校」の教授を務めたのち、吉祥寺「知味 竹爐山房」などを経て、2005 年に「御田町 桃の木」を開店。

御田町 桃の木
東京都港区三田2-17-29
● Phone 03-5443-1309
● 11:30 ~ 14:00 LO、17:30 ~ 21:30 LO
● 水曜、第2火曜休( 月曜はランチのみ休)
● ランチ 2500 円前後
  ディナー10000 円前後

本記事は雑誌料理王国181号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は181号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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